Avi Buffalo@Hoxton Bar and Kitchen,28Aug2010

シンガー/ギタリスト:エイヴィ・ザーナー=アイセンバーグを中心とするロック・バンド、Avi Buffalo。今年サブ・ポップからリリースされたセルフ・タイトルのデビュー・アルバムがじわじわと話題を集めたようで、単独公演に続き、The Walkmenの前座、とどめにこのギグが追加決定と、今ツアーで計3回、ロンドン客の前でプレイすることになった。
3日前に観たThe Walkmenギグでのオープニングは、ヒス・ノイズはもちろんミキシングもチグハグとPAの不備が響いて、自分的には不完全燃焼。ピアノ~キーボード抜き:トリオ編成で行われた今回のライヴは、丁寧に構築された音のハーモニーやディテールよりも「間」そして「バランス」がキモなわけで、サウンド・チェックもさせてもらえない前座スポットの悲しさがあったのはもちろん、機材も人員も多いウォークメン向けに(恐らく)調整されたサウンド・ミキシングとは、しょせん相性が悪かったのかもしれない。とはいえ、エイヴィ君のパッショネイトで素裸なパフォーマンス、バックの2名との息の合い方など、音響云々のレベルを超えた何かにガツン!と触れたこともあり、この日のライヴはとても楽しみにしていた。

Wolf People

前座は、イギリス出身の4人組:Wolf People。Wolf Parade、Wolf Eyes・・・と、オオカミ絡みのバンドがまたかい!という感じでしょうか。しかしこのバンド、米名門Jagjaguwarが史上初めて契約したUKアクトということで、筆者的には興味津々。このバンド、遡ればAndy Votelとも縁の深いFinders Keepers周辺のレーベルから7インチなども出していて、それだけで紫煙がもわ~ん(笑)と漂ってくる気がしますな。イコール、昔気質なサイケ集団なのだろうし、Black MountainやThe Besnard Lakesといった面々を擁するJagjaguwarの方向とも、そこでクリックしたのだろう。
その予想は当たりで、とにかくコテッコテのプログレ・サイケが展開。Dungenとまではいかないものの、ギターからアンプまで使用機材はどれもヴィンテージっぽく年季が入っていたし、リフ中心の音作りとジャミーに入り組んだプレイは70年代英ブルース~サイケ、特にクリムゾンとジェスロ・タルを思い起こさせるもの。演奏もマジ達者で聴かせたし、音の選び方も実に正しく、やってることそのものは好き。また、こういう音が逆に今新鮮というのも理解できる・・・のだけれど、このバンドならではのサムシングにはまだ欠けていると思う。ニュー・アルバムももう出ている頃だと思うが、モンスター級の名曲をひとつモノにするのが、この人達の課題かもしれない。

Avi Buffalo

女性ドラマー(=Lowのミミを若くしたような雰囲気)&男性ベーシストを従え、Avi Buffaloが登場。エイヴィ君はとても小さくて(ヘタしたら身長は筆者と同じくらいかもしれない?)、穴だらけのブラック・ジーンズと壮絶に履きこまれてクタクタのスニーカーは、3日前に観た時とまったく同じである。しかし、その小柄な体躯からは想像のつかないくらい、力強いメロディとバンカラなギター・プレイが迸るのは痛快そのもの!アルバムではもっとリリカルでテクスチャー重視な音作り、たとえばThe Shins的なポップ・メイキングに傾いている彼らだが、ライヴ・アクトとしてはもっとしゃにむにロックしている。若くていいっすね~~。
そのアルバム中でも屈指の名曲、〝What’s In It For?〟からキック・オフしたのも最高だったし、そこからセグウェイで繋ぎ、次の曲へとスライドしていくメドレーな展開も、楽曲をソングブック的に連打していくのとはまた異なる、王道ロックの雰囲気だ。デビュー・アルバムの曲だと〝Remember Last Time〟の無限大(かつTelevisionばりにルミナス)な広がり、あれがいちばんライヴでの姿に近いかな。その意味でも、イアン・ハンター型ロッカ・バラードの〝Jessica〟はぜひプレイしてほしい!と思って観ていたが、今回のセットには含まれなかった。とても残念。しかし、〝New Old Song〟と紹介された新曲(なのか?)は、爆音の長尺ジャムで超かっこよかった&酔わされた。Real EstateやSurfer Bloodといった連中と近いかと思っていたが、自分的に超贔屓な「テキサスのザ・ラーズ」ことThe Strange Boysとも相通じるものがあるかもしれない。
まあ、現時点での彼らがたまたまこういうクラシックなアメリカン・ギター・ロックのモードに入っているだけなのかもしれないが(若いバンドなので、次の作品までに、また変化している可能性はあるだろう)、インスト部でのエイヴィのギター・プレイはマジにすさまじく、エフェクト・ペダル、バーを駆使してうなり、吠え、泣き・・・と、音源以上にインプロ色が濃く表情豊か、かつエモいっ!
実際、若干ラテン系が入ってますか?と訊きたくもなるエイヴィのくっきり眉毛+茶色に思いつめた瞳+シャープな頬骨、爪先立ちで背伸びしながら目一杯声を振り絞る様、「元メタラー疑惑」すら浮かぶリキの入ったプレイを観ていたら、かつてのリヴァース・クオモ(ただし、93~94年頃限定ね)ってこんな感じだったんじゃないか、という思いすら浮かんだ。煮立ったスープがどうしようもなく吹き零れていくように、メロディもギター・プレイも、歌いまくり。そんな風に、音楽に突き動かされているパフォーマーを観るのは最高である。
エイヴィの忘我を受け止める形で、リズム隊2名はシンプルで腰の据わったグルーヴを淡々と紡いでいく。とはいえ、ただ引っ張られてダラダラ弾いているのではなく、この天然シンガーの呼吸とブレイク感を即座に読み取り、流れをシフトしていく機敏さも備えているのは頼もしい。いいコンビネーションだと思う。

まだ原石ながら(たまにギターをトチってたし)、エイヴィのパフォーマーとしての磁力、そしてソングライターとしての天与のセンスからは、ここ最近の新人の中ではずば抜けたインパクトを受けた。この晩のライヴにしても、バンドが登場するまでは「アメリカのクールな新人を迎え撃つ」という、まあ、ありがちにファッションでうざった~い雰囲気(これまでAvi Buffaloのライヴを企画してきたのはUpset The RhythmそしてAll Tomorrow’s Partiesと、ロンドンのヒップスター御用達プロモーターだから、ある程度は仕方ない)があった。しかし、いったん音が出てみれば、そこには真っ当すぎるほど真っ当なソングライティングの技、そして凡才が小ざかしく知恵を働かせても一生手にできない「俺の中から出てきた歌を、歌えるのは俺だけ」な確信が輝いていて、筆者も含むオールド・スクールな観客連が、(電灯に引き寄せられる蛾さながらに)ステージににじり寄る形になったのは面白かった。そんな、ある意味混沌と混在したファンを前に、でもエイヴィ君は何事もなかったかのようにあっけらかんと、「ありがとう~!ナイスなオーディエンスに感謝」の言葉を残し、去っていった。自らのハイプに途方もなく無頓着な、その自意識の欠如がなんともアメリカンで眩しかった!

Avi Buffalo公式サイト

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