No Age,Male Bonding@XOYO,14Oct2010

新作「Everything In Between」をリリースしたばかりのNo Age、この晩はUKツアー・ファイナル。東ロンドンに9月にオープンしたばかりのイベント/アート・スペース=XOYO(地下ロフト風)に足を踏み入れると、さすがソールド・アウトだけあってすごい熱気&人ごみだ。
オープニング・アクト2組のうちAbe Vigodaは見逃してしまったが、ノー・エイジと同じサブ・ポップの(しかもロンドン出身!)Male Bondingからスタート。このライヴの企画者、Upset The Rhythmが開催した最初のミニ・フェス=Yes Wayでもヘッドラインのひとつを任されていた彼らは、眼鏡ギークのギターとマーク・アームみたいなグランジ長髪のベース(両者がヴォーカルを分担)、ドラムスのトリオ編成だ。
ぶりぶりにリヴァーブの効いたサーフ・パンク/ノイズ・ポップが持ち味のバンドで、音量はやたらとでかいものの、声、そしてサウンドそのものはフェザー級に軽く、フレットと戯れスキップするリフといい、手数の多いドラムといい、全体がテレパッチの泡のようにピチパチ跳ねまくっている。そのADD気味(?)なフットワークを活かし、ラモーンズ~ヴィヴィアン・ガールズ系のサーフ・パンク、ハードコア、あるいは80年代英インディ(シューゲイズ組も含む初期クリエイション、ザ・スミス等)ばりにリリカルなメロディを音速&ノンストップでぶっ飛ばしていく様は、なんとも爽快&痛快だった。

前座スポットということもあり、ノリのいい曲だけで要領よくまとめたセットは時に一本調子になることもあったが(アルバムでは、スローでアトモスフェリックな曲もあるんだけど)、若くしゃにむな勢い、そしてここ1、2年人気を博している、「英80Sインディ・ポップの影響下にあるアメリカのバンド」のセンスと素直に共鳴しているイギリスのバンド、という意味ではとても面白い存在だと思う。

そのメイル・ボンディングがばっちり場をあっためてくれたところで、お待ちかね~!ノー・エイジの登場。それまで時間つぶしで外にいた連中やメインのみ目当ての客が結集してきて、フロアはえらい密集ぶりである。ディーン(パンク界のドン・ヘンリー?こと、歌うドラマー)、ランディ(G)、ライヴ要員のWKSM(Keys&マニュピレーション)がセットアップを終えたところで、背景に流れるビデオ映像のシンクロナイズをちゃんと待つ・・・こともなく、プロローグ的にもう演奏はスタートしている。
1曲目は、やはりこれでしょう、な「Life Prowler」(彼らのこれまでの作品の中でもベストなアルバムだと思っている、最新作「Everything~」の1曲目)。ノイズ・パンクと称されることの多いノー・エイジ、確かにハスカー・ドゥら80年代USハードコア、あるいは疑問の余地さえ与えないラモーンズの電撃なポップさに負うところは大きいバンドなのだが、この曲の雄大なギター・リフとシンセが織り成す空間性には、たとえばザ・フーの叙事詩的な高揚感(ひいてはガイデッド・バイ・ヴォイシズのポジティヴィティ)すら宿っていて、ただうるさいだけのノイズ馬鹿一代ではない。奥行きのある、素晴らしいイントロダクションだった。
そのアーティな多層性と横揺れのグルーヴ――と言っても3人なので、基本的にローファイにスカスカしているんだが――を維持しつつ、名曲「Fever Dreaming」(WKSMによるピロピロ・キーボードのブレイクが、絶キャッチー。サウンドを自在に操作するこのヒスパニックな男前の御仁、バンドにとってのブライアン・イーノ的存在と言っていいかもしれない)や「Depletion」など、合間にドロップされる縦ノリのパンク・チューンでは、電光石火なビートとジャンクなウォール・オブ・サウンドがバーストし感覚を聾していく、そのメリハリも気持ちよし。プレイは熱いのだが、エモーショナルなシャウトだのに走ることなく、常に醒めているディーンのヴォーカルと相まって、ここらへんの曲は「You’re Living All Over Me」「Bug」期ダイナソー・ジュニアの快感に一脈通じるものがあると思う。これって、もしかしてスラッカー・パンク?

冒頭フラついていたライヴPAも立て直し(観客向けのスピーカーが熾烈な爆音だったのはもちろん、モニターもマックスだったのか、ヴォーカルの音程が外れる場面も何度かあった)、ずんずんヒート・アップしていく観客の反応の良さにバンドのノリも上々で、最後まで出し惜しみなし/フル・スケールの演奏が続く。巧みなペダル使いで浮遊と爆裂を綱渡りするランディのギターもいいけど、やはりディーンのビートに導かれたヴォーカルが、このバンドのエンジンだな、と思う。
最新作の(これまた)名曲「Valley Hum Crash」でこちらも遂に自制心がブチ切れ、スラム・ダンスする客と共に♪Catalina~のコーラスを目一杯合唱。こういう「もっていかれる」瞬間がパカッと口を開けるから、(いい年こいて)ライヴに行くのはやめられません。後半ではステージ・ダイヴをかます若衆(女の子もひとり混じっていて、その勇気&元気に喝采が起きていた)も続出、完全にイっちゃってるモッシャーがこっちに弾き飛ばされてきたり、ノー・エイジは音と混沌、興奮というプライマルな反応から成り立つ、ピュアなるつぼを生み出していった。そのエネルギーにライヴで触れ、シャッフルされるのは、スピン・サイクルをかけた後に強制乾燥されたごとき、パリパリの表層を残していく。そういう経験を求めている人は、ぜひノー・エイジの「生」を体験してほしいと思うし、それが無理だとしても、彼らが「Everything In Between」で生み出したアイデアと衝動との美しい融合を味わってもらえたら、と思う。

広告

Mariko Sakamoto について

Hi.My name is Mariko.Welcome to my blog,thanks for reading.坂本麻里子と言います。ブログを読んでくれてありがとう。
カテゴリー: music タグ: パーマリンク