The Nightmare Before Christmas curated by Godspeed You! Black Emperor@Butlins.Minehead/4Dec2010

午後もはよからドープなサイケ、Bardo Pond

ジャズ・サキソフォンの才媛Matana Roberts

かっこよかった!Mike Watt&The Missingmen

Maher Shalal Hash Bazの別世界

UFOキャッチャー。中央の黄色い奴がスッティー

ニューロシス入場待ちのすごい行列

Ocropolis By Oneida

ダッチ・パンクの雄The Ex

Thee Oh Sees!!!

2日目は、午後2時前後からライヴが始まる。朝4時までDJもプレイしているこのイベント、前夜から飲みまくっている血気盛んな若い衆には、それでも早いスタートかな?
ともあれ、自分はフラワー/コルサノ・デュオをちょっと観て、2:30~バード・ポンドから本格スタートにしよう・・・とあらかじめ見当をつけていたものの、場内の小劇場で1時から上映される「ATP Cinema」の短編プログラムに観たい作品があったので、普通に早起き。その前に、夜食用に準備していたゴマ麺用の食材を、近くのスーパーで買出ししておきたい、という思いもあった。

ATPのシャレーは、キッチン付きとキッチンなしの2タイプがある。キッチンなしの方が若干チケット代が安いため、シャレーは①荷物置き場②休憩/寝場所③友達と呑んで語り合えればそれでOK!と割り切っている向きにはいいと思う。ただ、割り当てられた滞在エリアによっては施設が旧いため、部屋の設備がかなり質素になる可能性もあるので、覚悟しておいた方がいい。筆者は基本的に宿舎でもまったりくつろぎたい人間なので、キッチンなしを体験したのは過去2回だけ。が、最初の1回は、部屋をシェアした友人が全員男だったため、初日で挫折。他の友達のシャレーに移ってしまった。
6人部屋の大バコだったってのがそもそも良くなくて、構成は①ダブル・ベッド②ソファーベッドにふたり③ツイン・ベッド。内装も、シャレーというよりバラックという雰囲気。それに、いくら仲が良くても、恋人でもない異性と一緒の部屋でベッドを並べるというのは、いざ現実になってみると、色々と気を使うものだ・・・という点を完全に失念していた(とにかく、そのATPに行きたかったので「なんとかなる」と考えていた>アホ)。全員良識をわきまえたいい人達なので、妙なことが起きる可能性は皆無。とはいえ、着替えひとつするにも、トイレを使うにも、シャワーにも、相手が男5人だと、いちいち手間取る。それは、当方がシェア生活にあまり慣れていない日本人で意識しすぎだから、というのもあったかもしれない。一度、北欧人の女の子とシャレーをシェアしたことがあったけど、寝袋も友人の男と一緒だし、半裸に近い格好でシャワーから出てきて、みんなの前で普通にウロウロしてたもんな。自分には、そういうのは無理っす。

あとまあ、この同行友人達が全員スコットランド人で、飲みっぷりがやはりすごかった、というのもあった。キッチンがないので、持ってきた食品はすぐ食べられる食パンやスナック、果物程度。残りはすべて、基本的にコーラ他ソフト・ドリンクとアルコールである。中でも、一番の呑み助(でもすんごくいい人!)は缶ビール2ダースを箱で持ち込み、冷蔵庫が部屋にないのに気づくや、早速バスタブに水を張ってビールをドカン!と冷やしていたのを見た時は、笑うしかなかった(そして、彼は3日間で、それらのビールをほぼひとりで黙々と飲みきっていた模様)。シャワーは使えても、風呂は使えない。でも気にしない。そんな独身男の生態って、ハードコアです。
でも、サイト内には飯を出すパブやファストフード店があるので、彼らが飢え死にすることはない。また、最寄の町(徒歩10分程度)にはパブ、レストラン、カフェ・・・と色々あるので、シャレーから出るのを億劫がらなければ、もうちょっとマシなものに足を伸ばすことも可能。なんで、この朝も、かなりの冷え込みにも関わらず、スーパーへの行き来の道すがら、たくさんのATPっ子が海辺を散歩したり、コーヒー飲んだり朝ごはん食べたり、あるいは早くもパイント・グラスを傾けている姿(!)を目撃。夏のハイ・シーズンはともかく、冬は地元民しかいないであろうこの寂れた海辺の町に、このフェスはそれなりの経済効果をもたらしているんじゃないだろうか。

買い物も無事終え、ATPシネマに向かう。今回の企画はDouble Negative CollectiveとCinema Abatoirが担当。短編/実験映画を集めたそれぞれ約1時間の4プログラムを、会期中かわりばんこに上映していた。60年代から00年代に至る、フランス、カナダ、アメリカの作品を中心とした内容で、もちろん自分は知らない作品ばかり。が、フェスのプログラム冊子を読んでいたら、フランスの1968年実験映画「Chromo Sud」にピエール・クレマンティが出演しているのに気づき、これは観なければ!と思い立った次第。
会場内のミニ・シアターは、普段は基本的に「家族向けリゾート施設」であるバトリンズだけに、系列のヒット映画を上映している。なんで、入り口には最新の子供向けアニメの立て看板とか、ブルース・ウィリス主演のアクション作「RED」のポスターなんかが賑やかに貼ってあり、白髪の老夫婦(=ATPとは関係ない滞在客も、12月とはいえ、たまに混じっている)がそれにつられて中に入っていく。
にしても、昼間から、暗い映画館の狭苦しい座席に身を押し込めて実験映画を観に来る奴はいるのか・・・という好奇心もあったんだけど、ミニ・シアター(たぶん、座席数は100~120程度)は8割くらい埋まっていてびっくり。ATPは、恐らく他のフェスに較べてお客のアーティスト/ミュージシャン/クリエイター度が高いイベントだと思っているが、さすがである。

お目当ての「Chromo Sud」は、まさに68年!パリ!という感じの、素晴らしい内容だった。ストーリーはなくて、ドラッギーな若者達のアングラなオージーやニュー・カラーで撮られたパリ市外の光景、ポップ・カルチャーの諸相やネオン・サイン・・・といった雑多な映像がコラージュされオーヴァーラップしていくだけ。一種の映像詩と言えるし、ケネス・アンガーやジョナス・メカスにウォーホルの「EPI」がブチ込まれたようなフェティッシュで表層とリズムのみから成り立つ世界観は、激美しい&ロックンロール。
例のピエール・クレマンティは、この作品の監督エチエンヌ・オリアリーの友達だったらしく、オージー(ハッパ吸ってる奴、ラリった若者の表情、おねーちゃんが下着姿になるってノリの、60年代日本映画にも出てくるような光景が続々)の場面で、確かに一瞬尊顔を拝見できました。彼は当時のパリではアングラ劇団に参加したりもしていたらしいし、映画出演作もアナーキー(パゾリーニ、ブニュエル、マカヴェイエフだからね、何せ)。うーん、やはり面白い役者である。めいっぱい、マイ・カルト・ラブを送ろう。
他に面白かったのは、「L’Etrange Portrait de la Dame en Jaune」。2004年のベルギー産で、ほぼワン・ショット、ワン・シーンのシークエンス(10分以下)に、皮手袋、電話、シャワー、タイル、血・・・と、伊ジャッロ(つーか、バーヴァ/アルジェント)の殺人美学のエッセンスを凝縮していてナイス。もっとも、そんな映画を誰が観たいと思うかは、見当もつかないが。入り口で見かけた老夫婦は、この作品の後で「どう考えても『RED』は上映されないらしい・・・」と気づいたようで、そそくさと退場していった。

会場に戻り、マーチャン売り場(バンドのCDやアナログ、Tシャツ他の物販エリア)を覗くと、WARP FILMSが出店していた。先だってのATPドキュメンタリーDVDももちろん並べられているが、ハーモニー・コリンの「Trash Humpers」DVD(英公開はワープより)が市価よりかなり割引いた価格で販売されていたので購入。ポスターもおまけで付いてきたが、洒落でトイレにでも貼ろうかなあ・・・でも、夜中にトイレに行って、あんな写真が視界に入ってきたら相当不快だろう。やめておこうっと。

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やっとライヴ探検の開始~。90年代から活動しているフィリー・サイケの星:バード・ポンドは、大昔に1度だけ観て、ど~んよりと重い音にヤられたことがある。しかし、この日の演奏はストーナーな面ばかりではなく、マーキュリー・レヴ~デルガドス系の耽美なフォーク・メロディも編み込まれていたし、ドライに通る女性ヴォーカルの歌声&フルートの調べがやさぐれた悲しみを醸していて素晴らしい。しかしラストの「This Time」では音圧が一気に上昇、ステージから溢れ出した20分近いヘヴィ・ノイズの渦潮に飲み込まれ、音の別世界を体感。映画「The Right Stuff」で、速度の壁を破る場面でサイケデリックなオーロラ映像が登場するが、あの感覚に近いかも?

REDSステージでは、女性ソロ・サキソフォニスト:マターナ・ロバーツが熱演していた。爆音から一転、サックスのふくよかで澄んだ音色に背筋が伸びる。その理知的で流麗なコンポジションに、アート・アンサンブル・オブ・シカゴの60年代作品を思い起こしていたのだが、なんのことはない、もともとシカゴ出身の人であった(笑)。ジャズはまだまだ勉強中の身、巨塔で攻略しにくい・・・と当惑も抱くのだが、こういうコンテンポラリーなアーティストに触れると、もっと聴こうと元気になる。

トリオのザ・デッドCは、ニュージーランドのパンク・レジェンド。集客も良く、音は思ったよりスラッジ&ノイジーでびっくり。が、あまり新鮮味は感じなかったので、長居せずあっさり抜け出て、マイク・ワット先生に移動。このセットは、自分的にはジー・オー・シーズと並んで、土曜のマストである。広大なパヴィリオン・ステージに、たった3人というマイク・ワット+ザ・ミッシングメンのエコノな編成(しかも、全員チェックのシャツ姿・・・マイク・ワットの制服ですねえ、ほとんど)はちっぽけにも見えた。が、「自作オペラをプレイします」との挨拶に続き、約50分間、セグウェイで繋ぎながら文字通りノンストップの演奏は、特大級のパワーでぶっちぎっていった。
ぶりぶりのファンク曲からフリー・ジャズ風、変拍子の超絶ロックンロールまで、3人の火を噴くようなエネルギーとテクニック、集中力そして息の合い方の壮絶さは、レコードをそのままなぞる・・・というものではなく、まさに生、まさにパフォーマンス。ご機嫌です。シメはややグランジ調の泣かせるメロディで聴かせる曲だったが、ザッパ~ビーフハートの流れを汲む、アメリカ西海岸ならではのハイブリッドでハイパー、シュールなミクスチャー感覚をばっちり堪能させてもらった。と同時に、これからもマイク・ワットにはパワー・トリオの奥義を極めていってほしい、と願わずにいられなかった。

ラスト10分ほどだったが、ヴィオラ+ドラムのデュオ:ハングドアップを観戦。しばし活動を休止していたそうだが、Constellation組(シルヴァー・マウント・ザイオンにメンバーが参加していた)だけあって、音楽性はやはりゴッドスピードを思わせる。急いでセンター・ステージに戻り、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ。カテゴライズが通用しない音楽ゆえにメディアにあまり取り上げられず、ここイギリスでもまだ「知る人ぞ知る」なカルトである彼ら・・・とはいえ、ATPに出演するのはこれが初めて、というのは意外でもある(トクマル・シューゴなんかも、出ておかしくないと思うのだが)。
総勢14人近く、「ミニ・オーケストラ」と呼んでも過言ではない佇まいだけでもインパクト大だし、床に座った奏者には5歳くらいの少女も混じってタイコを叩いていて、オーディエンスも「なんじゃ?」とパチクリさせつつ、目を離せない様子。山道をえっちらおっちら登っていくトロッコのようにたどたどしい演奏、時に急停止する楽曲のフリーなスピリット、アブストラクトなサウンドの中に打ち上がる美しい和音など、翻弄もさせられる。しかし、彼らがマイペースで編み進める音の世界にくるまれるうち、一見ランダムに思えて、そこにMSHBの自律した音楽則みたいなものが働いているのに気づく。
自分にとっての則――「ここが自分のツボ」とか、音楽を聴く時の、一種の快感のメカニズム――がはっきり決まっている人はそれを拒絶するのかもしれないし、故に好き/嫌いは分かれる音楽だと思う(以前、ATPでダニエル・ジョンストンを観ていて、友人に「こんなの音楽じゃないよ!」と断言されたことがあったもんな・・・その点、自分は良く言えば柔軟、悪く言えばポリシーがきっちり固まってないので、「これもあり、美しい」と受け入れてしまう)。が、スウィートでナイーヴな彼らの音の奥には、アグレッシヴでラウドなパンク・ロックよりも、ある意味もっとラディカルな意思が隠されているんじゃないか、と感じた。ともあれ、熱演にはオーディエンスも心打たれたようで、フィニッシュと共にあたたかな拍手が巻き起こったのは嬉しかったっす。

パヴィリオンでは、スカウト・ニブレットがたったひとり、空を刺すヒバリのように美しく鮮烈な声で歌っていた。この人は、歌も上手いけど、実はギターも達者な人なので、ソロでもばっちり聴かせる。途中からドラマーが加わって演奏の熱もじわじわヒート・アップ、彼女のギター・プレイもますます饒舌になっていった。たったふたりのスケルタルな編成でも耳を惹きつけられる、曲そのものがしっかりした人は強いです。
別ステージでのニューロシスに向け、すさまじい行列ができている。彼らは土日の2回演奏したんだけど、いやはや!とんでもないリスペクトぶりです。アルバム1枚しか持ってないので今回はためらったが、次に機会があったら、ちゃんと生で体験しようと思う。スカウトが終演し、そのまま居残ってティンダースティックスを観る・・・こともできたのだが、夕飯を作る約束をしていたので、集合時間までしばし時間つぶし。パヴィリオン・ステージの後方にはゲーセンがあるのだが、そこのUFOキャッチャーのひとつに、英子供番組の人気キャラ=Sootyのぬいぐるみがあり、どうしても欲しかったので(ATPで、キャッチしたスッティーを誇らしげに持ち歩いてる人を何度か見かけ、以来マイルドなオブセッション化)この機会に!とトライすることに。

スッティーは手パペットの熊ちゃんで、50年代から活躍しているらしい。テレビでデビューした頃はまだ白黒映像だったため、もともとは黄色い熊だったのが、Soot=煤で耳を黒くしてメリハリをつけたことから、スッティーの愛称が定着したのだとか。このキャラのかわいさは、一切喋らず、アクションがメインなこと。魔法の杖を持っていて、それでやたらと乱暴に物を叩いたり、動き回るアナーキーなところが、ちょっとマルクス・ブラザーズのハーポっぽくてナイスです。で、スッティーはもちろん、彼の仲間キャラであるSweep(スーパー・ドッグ)、Soo(スッティーのGFであるパンダ)もキャッチャーの中にあるのに気づき、思い切りハマってしまった・・・キャッチャーやったことないんで、トータルで6、7ポンドくらい使い果たした気がするが(1ゲーム=20ペンス)、最終的には全キャラをゲットできました。
ちなみにスッティーのノスタルジックなパワーは大人子供が大半を占めるATP客にも人気なようで、皆スッティー狙い、競争率が高かったのも浪費の原因だったかもしれない。スポンジボブといった今の子供に人気のキャラに混じって、なにげにオリヴァー・ポストゲイト(「Clangers」は名作)のBagpussとかもあったし、いつか「Magic Roundabout」(これは、もとはフランス産の人形アニメなんですが)のキャラなんかも、キャッチャーに入るようになったらいいなあ~と思う。

大漁のスッティーに満足しつつ、シャレーに戻る前にオクロポリスBYオネイダをチェック。ブルックリンの実験ロッカー/ノイザーであるオネイダが、自分達のスタジオ=オクロポリスをフェスで再現・・・というこのナイスな趣向は、2009年米ATPでもピカ一の企画(以前やってたAudioBunnyでバリー・ホーガンに取材した際、「英ATPでもぜひ」と振ったところ、「やるつもりだよ」と答えが返ってきて嬉しかった☆)。
一会場を占領し、午後2時から深夜まで、計10時間ぶっ通しのマラソンでバンドがフリーにジャムるというこの企画は、インスタレーションとパフォーマンス・アートの間をいく感じ。フェスに出演する他のアクトが、好きな時にドロップ・イン/アウトすることで、インプロの枠も無限に広がっていくのがミソだ。会場に入った時は、ちょうどザ・デッドCの面々がオネイダに混じり、サイケデリックなノイズ空間を展開中でありました。興味深かったのは、米ATPではお客がもっと音とインタラクトしていて、ステージ際まで寄って座り込んでる陶酔気味な連中がいたり、更にはジャムに参加しちゃう奴まで現れたのに対し、英欧客はあくまで「オーディエンス」として遠巻きに見守っているノリだった点。国柄の違いが、なんとなく感じられます。

シャレーに戻り、ゴマ麺の調理に取り掛かる。と言っても、以前のポストに書いたように、中華乾麺を茹で、具材(茹でたエビ、刻みネギ、もっと彩りを良くしたければ錦糸玉子もいいですね)と共に、準備しておいたゴマだれを和えるだけ。そのゴマだれさえモノにできていれば、手間のかからない簡単料理だけど、宿舎メイトのイギリス人にも「美味しい」「すごい」と好評で、お代わりコールも出ました~。ちなみに、たれの原料は①タヒニ②ゴマ油③おろし生姜&ニンニク④ピーナツ・バター⑤お酢⑥唐辛子⑦ハチミツ⑧ダシ汁⑨隠し味のお味噌。①は中近東で一般的なゴマのペースト。そのまま食べるのは日本人には濃いけど(>むせます)、料理には便利だ。まあ、瓶詰めのゴマ・アイテムがドレッシング他色々手軽に入手できる日本では、こんなものをわざわざ作る必要もないけどね。
お腹も膨れたところで、皆まったりしてしばしのテレビ・タイム。この時間帯にOAされていた映画の中に、英Public Information Films(略称PIFs)のアンソロジーが混じっていて、名前は知っていたものの初体験だった自分は大受けしました。PIFというのは、直訳すれば政府広報情報映画。たとえば「火事が起きたらどう対処するか」「地震時の適切な行動は」といった災害から、「道路を安全に渡るには」「見知らぬ人にはご用心」と言ったレベルまで、日常における危機管理および意識の啓蒙を狙った映像と言える。日本の感覚だと、ポスターとか標語、道徳の時間に近いかな?あるいは、飛行機に乗った時、スチュワーデスがやる「緊急時のデモンストレーション」に近い。

政府機関が仕切るだけに、基本は真面目で情報メインな内容なんだけど、今見ると、そのしかめ面とシリアスさで、逆に笑える。「核戦争が起きたらどうするか」というのもそもそもすごいが、「核兵器が爆発した時、万が一あなたが屋外にいたら?」というケース・スタディの回答は→「手近な建物に身を潜め、じっとしていましょう」・・・って、放射能で死んじゃうよ!しかし黄金期は60~70年代で、無意味にホラー映画入ったイメージとか(そんなに子供を怖がらせたら、逆にトラウマになるだろうが)、キッチュな人形劇にアニメと、手を替え品を替え「用心」をアピールしていく。政府広報作品にも関わらず、イギリス人らしい悪乗りとエキセントリックさが顔を出してくる感じもある。
同室のシャレー・メイトは全員これらの作品を覚えていて、ひとしきり盛り上がっていた。今も作られているらしいPIFsだが、ネットやゲーム、テレビに商業映画他でもっとすごいパニックや危険、ニュースを疑似体験している世慣れた今の子供にしてみれば、ぬるい??そう思うと、こんな風にPIFsネタで盛り上がれる世代というのも、徐々に消え去っていくものなのかもしれない。以下に、いくつかPIFsのハイライトを。

http://www.nationalarchives.gov.uk/films/1964to1979/filmpage_lonely.htm
http://www.nationalarchives.gov.uk/films/1964to1979/filmpage_tufty.htm

思わず眠くなってそのまま宿舎に居残っていたくもなったが、今夜はこれからが最高!ということで、ヨタついた身体に鞭打って、夜風の中を会場に戻る。裏にゴッドスピードが被っていたために集客はやや地味だったものの、会場に入った途端飛び込んできたものすごく耳障りな音(=サックス2本の威力。アフリカ象がパオーンと鳴いてるイメージ)で迎えてくれた、ノイズ・インプロ・トリオのボルビトマグースはとても良かった。
メンバーは皆ごま塩のおっちゃんなのに、ジャズや民族音楽(時に、日本の念仏っぽく聞こえるミニマルな曲もあった)がベースなだけに、サイキックなテンションは高い。興に乗ってズンズンと進む演奏ながら、途中でヴォコーダーみたいなチューブを通してサウンドを深く落としてみせたり、水(ビールか?)をサックスの管に流し込み、噴水を吹き上げまくる一種の水芸を披露したり、音だけではなく見せ場もたっぷり。夜でオーディエンスもがっつり酔いが回っているところに、どんぴしゃな盛り上げライヴだった。ちなみに、このユニットは日本のノイズ勢とも縁が深いので、また日本に来ることがあったら、ぜひトライしてみてくださいまし。
同ステージに続いて登場したのは、カナダのベテラン・ノイズ・パンクス:ノーミーンズノー。このライヴを楽しみにしている友達も多かったし、前方にスシ詰めた野郎どもの熱気もすごい。2曲目で早くもビールが頭上を飛び交い、モッシュが始まる始末である。バンドもそのリアクションに嬉しそうで、ハード&タフな音をゴリゴリにノリノリに、容赦なくぶつけてくる。しかし、自分には、NMNはちょっとストレートにパンク過ぎる・・・と感じたのは、その次にハシゴして観たジ・エックスが、やはり猛烈にかっこ良かったから。オランダ発のこのバンドは、ハードコアのソリッドな爆発力を核にしつつ、アレンジがプログレっぽく緻密、かつグルーヴィなところ(ドラマーが女性だからなのか、しなやかなんですよね)が好きだ。要するに、飽きない。クリムゾンや初期イエスの度を越えたテンションもかっこいいと思う自分には、こういうパンクはありです。

そして、今夜のマイ・オーラス:シスコのガレージ番長ことジー・オー・シーズを最前列かぶりつきで待機。彼らは今年5月=マット・グレイニング回でATP初登板、ジョン・ドワイヤー先生本人もこのフェスを気に入ったようで、ウェルカム・バック!である。前回記念写真を撮らせてもらったボディ・ペイント連中(=オー・シーズのアルバム・ジャケットをお腹に描いていた、熱狂的なファン)もちゃんと結集していたし、会場も同じくREDS。この会場は一番小さいが、もっとも熱く汗臭く盛り上がるクラブ・サイズなので、深夜2時という前後不覚な時間帯にロックンロールを聴くにはぴったりだ。
このバンドは、スウィッチが入ると止まらないところが最高。ジョンのキリキリに張り詰めたギター弦(ゆえに、ライヴ中に弦が切れることもしばしば)から飛び出すサイケデリックなサウンドに感電し、テンパったリズム隊が猛チャージ。ドラマーはこの晩カット・オフした短パン姿で男前だったし(若い頃のヘンリー・ロリンズにちょい似)、両腕・首とタトゥーだらけのベーシストは・・・この人は、常にクリスタル・メスとかスピードでトんでるんじゃないか?との疑惑が(笑)。目が、いつも完全にイっちゃってるんだよねー。でも、そういうケミカルな人だからこそ、あんなシンプルなベース・ラインをえんえんがむしゃらに弾き続けられるのかもしれん。

そんなノリで1曲目「I Was Denied」から見事に吹っ切れてバースト、オーディエンスも明日をも知れぬ勢いで盛り上がり、ジョンもすぐにシャツを脱ぎ捨てタンクトップ姿に変貌。汗だくでシャウトしギターをかきむしりながら、しかしジャンプしそっくり返り、手を使わずビールを飲む芸当も披露・・・と、ショウマン/カリスマとしての本能全開。たぶん、このATPでもっともモッシュ・ピットが沸騰し、ステージ・ダイヴする人数が多かったライヴになった。ポップコーンみたいに、次から次へと男も女もボディ・サーフを連発だよ~。
とはいえノイジーなだけのガレージ・ロックではなく、リヴァーブかけ過ぎでジョー・ミークみたいなジョンのギターはB級ホラー映画を思わせてキッチュだし、紅一点ブリジット様のオルガン調キーボードがレトロなリフやクール&セクシーなコーラスを合間に挟んだり、曲にはポップなフックとひねりがちゃんと備わっているので、暴れずとも楽しめる。音楽性は異なるが、クランプスみたいな笑いとゲテモノ性が抜群だ。
ジョンを始めメンバーもオーディエンスの熱気にご機嫌で、セキュリティの制止を振り払いステージに乱入したキッズとハイ・ファイヴを交わしたり、一体感がなんとも気持ちよし。オーラスは最新作のタイトル曲「Warm Slime」で、転調しブギー・リフで揺籃するミドルをじわじわ10分以上積み上げ、テンションがマックスになったところでボーンッ!と爆発する、そのコントラストが最高にかっこよかった。
嗚呼、何度でも観たいバンド、それはオー・シーズ・・・との思いで外に出たが、このバンドがライヴで生み出す破天荒なエネルギーって、いまだちゃんと盤=音源の形で記録されていないかも?という気も。ローファイなプロダクションやライヴ一発で録ればいいってものでもないようだし、案外と生とスタジオの差を埋めるのは難しいものである。ともあれ、極上のバンドなので、チャンスがあったらぜひ生で体験してみてくださいませ。

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Mariko Sakamoto について

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