All Tomorrow’s Parties curated by Jeff Mangum@Butlins,Minehead/9-11March:Day1

いらっしゃいませ!フォト•コラージュのタンバリン娘がお出迎えです

Elephant 6 Holiday Surpriseのナイスなフィナーレ

ご機嫌でしたHalf Japanese

Thurston Moore。左端が筆者を悩ませた「えっジム•オルーク?」

Minutemen Duo=無敵

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昨年10月、約1ヶ月半後に予定されていたジェフ•マンガムのキュレーションによるATPが3月に延期になったと知った時は、ついつい「FFS!」とブーたれてしまった。ATPは誠意のあるプロモーターとしてリスペクトしているし、そんな彼らにとってもあの延期決定は楽な決断じゃなかっただろう。けど、ATP史上初の椿事であるのはもちろん、これくらい大規模なイベントの延期そのものがなかなかない話でもあり、まじにおったまげ村〜。最寄駅:トーントン行きの電車を予約しようとしていた直前のアナウンスだったので、ほんとぎりぎりセーフ(電車チケは払い戻し不可能なので)。ロンドン版I’ll Be Your Mirrorのスレイヤーと並ぶマイ目玉:ガイデッド•バイ•ヴォイシズもキャンセルになったし、いや代打のアフガン•ウィッグスもいいんですけどねえ…という感じで、「黒星やん」なモヤモヤが生じてしまったのは事実である。が。

すまなかったATP!やっぱあんたら素晴らしいフェスだ!

…と、マンガムATP終了後に心底思った&平謝り。それくらい楽しく、充実していて、雰囲気も最高。延期決定当初もっとも不安だった出演者の顔ぶれも、目当てのアクトはほぼキープ/変更にしてもマグネティック•フィールズ他が追加されたことで、自分にとっては吉。というわけで、ATPに対する愛と忠誠心がリニューアルされる内容になったのは意外でもあり、喜ばしくもあった。英版は自分にとってこれが18回目(12月のNBCも含めて)の参加だったが、その中でも歴代ベスト5に入る経験だった、と付け加えておきましょう。
※このポストを書いているうちに、奇しくも4月開催予定だった日本版IBYM延期のアナウンスが。楽しみにしていた方はさぞがっかりしているだろうが、上記のように「延期の結果内容が向上」って可能性もあるので、落ち着いて今後の展開を待ってもらえればと思います。

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今回の道程は、パディントン駅から電車で2時間半弱→会場の最寄駅トーントンへ→スコットランドからはるばる来襲〜ブリストル空港に入った友達にレンタカーで拾ってもらい会場に直行というコース。シャレー(宿舎)をシェアする残るもうひとりの友人は、一緒に行こうと誘ったにも拘らず「俺はマイカーでロンドンから飛ばすんで〜」と豪語していた…が、案の定、金曜午後のロンドン渋滞に巻き込まれ、我々より到着は3時間近く遅れていた。ちなみに我々が乗った電車は実に乗客の7割近くがATP客という「Festival Express」状態で(笑)、ジンのボトルとトニック持参のアメリカ娘が早くも車内で同行者と酒盛りを繰り広げる光景も見受けられた。

受付で友達がチェックインを済ませるのを待っていたところ、「マリコ、来い!」と呼び入れられる。なんじゃ?と思ったら、受付の壁に「Machine-wrapped,with butter」の見慣れたフレーズを綴ったプリントアウトが貼られているではないか! 友人達とハイ•ファイヴして爆笑の嵐だった…と書いても、このブログをマメにチェックしてくださている実に奇特な方以外には「なんのこっちゃ?」な話だと思うのでいちおう説明すると、この奇妙なフレーズはこちらのポストで取り上げた、エリック•アイドルのポスト•パイソン企画「Rutland Weekend Television」でももっとも有名、かつ人気のスケッチ「Gibberish(ちんぷんかんぷんな会話)」がオリジン。エリック先生の超絶舌芸はもちろん、ヘンリー•ウルフのもっともらしい受け答えも最高なこのフレーズ、一時期音楽好きな友達との間で大流行したこともあり、偶然とはいえおかしかった。
ちなみにジェフ•マンガムはパイソン•マニアなようで、宿舎のテレビで見れるATPTV(キュレーターとATPがセレクトした映画/ドキュメンタリー他が金曜から月曜朝まで常時放映されている)もパイソンてんこもり、Flying Circusから始まりラストはLife of Brianでありました。

まずはセンター•ステージ:フェス開幕を告げるElephant 6 Holiday Surpriseからスタート。ホリデー•リゾート施設で開催されるフェスにもってこいの名称の彼らはエレファント6および関連バンドのメンバーから成る流動的な音楽コレクティヴで、かつてはエレファント6オーケストラと名乗ってもいた。それぞれの楽曲を、その場に居合わせたラインナップでプレイする…というゆるい構成で、飛び入りもあり。オリヴィア•トレマー•コントロール、エルフ•パワーの面々を中心にした今回の顔ぶれからは、懐かしやジャービルズ、サーキュレートリー•システムなどのトラックが披露された。
男女10人以上が入り交じり、ステージには普通のロック楽器(ドラム•ベース•エレキ)からチェロ、フルート、バンジョー、チューバ、サックス他の管楽器、ミュージカル•ソーまで所狭しと詰め込まれ、さながらカオティックな音楽ジャンク•ショップの楽しさというか、混浴銭湯というか…しかし抜群だったのが、フィナーレのサン•ラの「Enlightenment」カヴァーのロング•ジャム。演奏を続けるプレイヤー達が二手に分かれてステージ両端からフロアに降りていき、観客の中を行進しながら会場の中央で再び合流、会場外にまで進み続ける…という展開にオーディエンスも大盛り上がりで、一緒に練り歩きシンプルなリフをハミングする者もちらほら。
ニュートラル•ミルク•ホテルの「The Fool」を思わせる曲であるのはもちろん、ニューオーリンズの伝統的な葬列パレード、あるいはカーニヴァルにも似たその行進の光景は、同時に、ATPの基本である「ファンとミュージシャンによる音楽の祭典」というコミュニティ•スピリットをバチーンと胸に焼き付けてくれた。その連帯感があるからこそ、ATPは特別だし気持ちいい。オープニングにふさわしい、とても素敵なパフォーマンスだったと思う。

60年代のグリニッジ•ヴィレッジ時代から活動を続けるパフォーマンス•アーティスト:Charlemagne Palestineは白髪の好々爺。ぬいぐるみやおもちゃでごてごて取り囲んだ、いわば「祭壇」の中央にグランド•ピアノ他を据えて演奏する姿はエキセントリックだが、和音中心のミニマルなプレイは厳かですらあり、アウトサイダー•ミュージック(タイニー•ティムとか)と前衛の間をいく存在と言えそうだ。お客が集中するであろうと思い、そのままセンター•ステージに居残ってJeff Mangumに待機。ATPにしては珍しく「写真撮影/ビデオ撮影は厳禁(見つけたらつまみ出します!)」の張り紙が出ている。

フル•アルバムはたったの2枚、しかしセカンド「In The Aeroplane Over The Sea」が一部に熱狂的なカルト人気(筆者の友達に、あの作品を「90年代のベスト•アルバム」と言い切る人もひとりいるほど)を誇るバンド:ニュートラル•ミルク•ホテル。その中心人物であり、近年まで隠遁者めいた存在だったジェフは、モダン•インディ界の伝説のひとりだろう。登場を待つ場内の空気も張りつめているが、かつてのディラン〜ドノヴァンを思わせる帽子から長髪がのぞくジェフがアコギ4本に囲まれたスツールに着席、1曲目=必殺な「Two Headed Boy Pt.2」が終わるや、堰を切ったように喝采が広がった。独特なやや鼻にかかった声と節回しはまぎれもなくジェフであり、ライヴ音源「Live at Jittery Joe’s」とさして変わらないのはある意味驚異的でもある。続く「Holland,1945」で早くも合唱のさざなみが沸き立ち、「Song Against Sex」の軽快なカッティングとグルーヴがキックインするや、(神妙に遠慮がちに、しかし歓喜せずにいられなかった)。立て板に水とでも言うべきジェフの字余り気味な歌いっぷりに、だんだんエンジンがかかってきた感じだ。
「Gardenhead/Leave Me Alone」もこれまたラムシャックルなノリが素晴らしかったし、ザ•ミュージック•テープスのジュリアン•コースターがミュージカル•ソーで共演、ほのかなペーソスの味を添えていたのはナイス(ちなみにジュリアンは他のアクトのショウにも顔を出し、週末中八面六臂の活躍ぶりだった)。「The King Of Carrot Flowers」ではマジに大合唱で、NMH人気の高さを改めて見せつけられた。以前もどこかで書いたことがあるけど、この作品のリリース当時もたまたまロンドンに暮らしていて、そのあまりに地味なリアクションとエレファント6人気の低さには驚かされたもの(日本ではアップルズ•イン•ステレオの「Fun Trick Noisemaker」、オリヴィア•トレマー•コントロール「Dusk At Cubist Castle」が話題〜エレファント6にも脚光が当たっていたので、そのギャップがショックだった、というのもあるかもしれない)。しかしそこから10余年、着実に地下水脈のごとくファンのネットワークを広げていたカルト•ヒーロー達(ジェフだけではなく、E6連全員へのトリビュートでしょうこのATPは)がこうしてきちんとペイバックを受ける光景を見守るうち、思わす涙腺がゆるんでしまった。
しかし、いちばん泣かされたのは「Oh Comely」。地味かもしれないけど素晴らしい曲だし、ジェフのシド•バレット〜英ウィアード•フォーク(ドノヴァン、インクレディブル•ストリング•バンドetc)味がばっちり伝わるパフォーマンスには、ほんとしびれたっす。オーラスはE6勢8人が加わっての「Two Headed Boy」〜「The Fool」で、バルカン•フォーク調の盛り上がりで締めくくってくれた。

いつもに較べ金曜に人気パフォーマンスが集中した感もある今回、自分にとってのこの晩の締め:マイク•ワット&ジョージ•ハーリー(ミニットメン•デュオ)が終わる午前2時までびっちり詰まっている&かなりの長丁場なので、食料&ドリンク買い出しのため近所のスーパーに一瞬抜け出すことにする。ジョアンナ•ニューサムはもちろん観たかったけども、彼女は明日の2回目のパフォーマンスで目撃することにしよう。
その前に、Matana Roberts&Seb Rochfordのコラボを鑑賞。マターナはシカゴ生まれのジャズ/インプロ•サキソフォン奏者で、以前もATPで素晴らしいショウを見せてくれた人。セブはポーラー•ベア/アコースティック•レディランド他で知られる多方面から引っぱりだこの腕の立つジャズ•ドラマーで、クリスマス•ツリーを思わせるジューフロ(Jew Flo)も最高。アフリカンな緻密なビートが静かに刻まれ、そのバックドロップにマターナがモーダル&ミニマルなサックスを点描していく様は、まるでそこだけ60年代のジャズ•クラブにワープしたかのようだった。

会場=バトリンズのそばには歩いて10分ほどの距離にでかいス―パーマーケット:テスコが横たわっているのだが、昨年その隣にもうひとつの大手チェーン:モリソンズもできた。ので、今回はものは試しとモリソンズにトライしてみたのだが、いやー、やっぱ最悪だわ。イギリスにおける大衆的なスーパーの格というのは、「中流っぽさ」でジャッジすれば①センズベリー②テスコ③モリソンズの順になるのだが(ウェイトローズとマークス&スペンサーは中の上くらい)、モリソンズは…安いとはいえどの食品もいちいち不味そうに見え、デリのピザひとつ買うのも躊躇するほど。もしもATPで自炊をしたいと思われる方は、調達はテスコの方がまだマシ&チョイスも豊富ですぜ。とはいえ、閉店時間間近のイギリスの片田舎のモリソンズの通路で、グループ•ドゥーエのメンバーが(派手なステージ衣装のまま)うろうろしながらジュースなどを買い出ししているシュールな光景に出くわしたのは楽しかったけども。

会場に戻り、The Fall。作品もどんどん出るし、ライヴもよくやっているのでわざわざここで観る必要もないっちゃない…のだが、マーク•E•スミスはやはり拝まないと気が済まない。彼らをATPで観るのはこれで3回目だと思うが、音響が悪く、むやみにでかいだけの大スペース:パヴィリオン•ステージ(今回も使われてなかった。たぶん、今後ここが使用される可能性は少ないだろう)で映像まで使っての大規模なショウだった前回に較べ、このバンドのガリガリに硬質なガレージ•サウンドが堪能できる今回のセンター•ステージは大正解! モーターヘッドばりに鉄板で熾烈なスピード狂ロックンロールが炸裂し(ソニックスのカヴァーもご機嫌や)、伊達に30年以上やってないなぁ〜と。現在の核であるマーク&エレーナの極北夫婦コンビも素晴らしいが、「The Real New Fall LP」以来、マークの解き放つ濁流に屈しないタフなドラム•ベース•ギター勢をバックに据えているのもナイスである。にしても、演奏中も片時も肩から離れないエレーナのハンドバッグには、いったい何が入っているのだろう??と、非常に気になった。マークがステージ上で急に発作か何か起こした時の応急処置/処方箋だったりして…?

レッズに移動し、Half Japanese。フォールに負けず劣らずのこれまたベテラン:デイヴィッド&ジャド•フェア兄弟を軸として始まったこのユニット、たとえばジョナサン•リッチマンがパワー•ポップを演ってるというか、朴訥で天真爛漫な驚きと音楽に対するピュアな興奮•喜びを維持しながら今も活動を続けていて、ほんと素晴らしい。この晩のパフォーマンスもご機嫌で、勢いよくバーストするノリのいいメロディとジャドのプレイに難なくついていくバンドのタイトさ(=SSTバンドを思わせるものがあった:素敵)は、深夜も近づき酒気が支配しつつある会場に爽快なバースト感をもたらしてくれた。酔い&眠気に負けてはいられませんね!
というわけで、Thurston Moore。構成はサーストン+ドラムス+ギタリスト+ヴァイオリン奏者で、最新ソロ「Demolished Thoughts」での、それこそモーリス•ディーバンクを彷彿させる端整なギター•プレイを聞かせてくれるのか…と思いきや、インスト•ジャムから始まったセット前半は「See Through Play/Mate」、「Queen Bee And Her Pals」など「Psychic Hearts」中心で、ソニック•ユースとはひと味違うサイケでノイジーなパッセージを堪能した。
しかし、それ以上に気になったのがサイド•ギタリスト…若い頃のジム•オルークに瓜二つのプレイヤーで、いやまじに最初は「わおジム付き!」と勘違いしたほど。4月の日本版IBYMキュレーターでもあることだし、ここらで打ち合わせも兼ねて来英したのか?等々思いめぐらせてしまうほどだったが、どう見てもルックスは00年代のジムのそれだし、「他人? それとも??」と音楽そっちのけでえんえん考えこんでしまった。とんだライヴの邪魔者である。しかし、今ATPを手伝っていた知人の友達が彼のアテンド役だったそうで、その人によれば「ジム•オルークに見えるけどジムじゃないよ」とのこと。翌朝、コーヒーを買いにサイトをうろついていたところこのギタリスト氏が宿舎の外で雑談している姿に出くわし、改めてさりげなく観察したらやっぱりジムではなかったのを確認。まぼろしのジムだったっつーことで。

1時になり、いよいよお待ちかね〜Mike Watt&Geroge Hurleyによるデュオ版ミニットメンです。制服と化した感もあるチェック柄シャツのマイク•ワット、すっかり白髪のジョージ•ハーレイが喝采の中登場、Dブーンへの言葉に(自分も含め)年配客中心のフロアがガオォーと盛り上がったところでムチのようにしなるファンク•ベースが一閃、ジョージの突貫ビートと組んず解れずのジャム•バトル開始とあいなった。プレイしてる時が一番楽しいんだろうなあマイク•ワット…と思わず頬がゆるんでしまう笑顔いっぱいのプレイ、ジョージとの呼吸の合い方にいたっては芸術品の域。ほぼノンストップでびっちり1時間というスタミナもリスペクトだし、何より「パンク版キャプテン•ビーフハート」とでも言うべきミニットメンの複雑で入り組んだ楽曲に思いっきり酔わされた。
友人達はジョンスペを観に行ってしまったが、ひとり宿舎に戻り、ATPTVでスタン•ブラッケージの名作「Dog Star Man」を久々に鑑賞。そのままがんばって起きていて、サン•ラ映画「Space Is The Place」を観るのじゃ…と思っていたのだが、ソファで眠ってしまっていた。

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Mariko Sakamoto について

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