All Tomorrow’s Parties curated by Jeff Mangum@Butlins,Minehead/9-11March:Day3

異形の衆、The Magic Band

この日もっとも愛されたSun Ra Arkestra

唯一無二の泣き虫パンク•ロッカー:Sebadoh

E6ミーツSun Raのスペシャル•ジャム。不明瞭ですが、写真の一番手前で背中を見せてるのがジェフ•マンガム本人です。

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最終日の一番手は、A.C.M.E.(American Contemporary Music Ensemble)。20〜21世紀現代音楽の演奏を主眼とするNY拠点のアンサンブルで、柔軟な感性でクラシック好きからアングラ/インディ•ファンにまで幅広くリーチ。これまでに、グリズリー•ベア、マトモス、ハウシュカといった面々とのコラボ経験があるという。
弦楽四重奏編成の今回のパフォーマンス、メインは英国人コンポーザー/音楽家ギャヴィン•ブライアーズの「Jesus’ Blood Never Failed Me Yet」再演だった。トム•ウェイツ絡みでなんとなく記憶に残っていたものの、ライヴ演奏を体験するのはもちろん初めて。針飛びする蓄音機のようにえんえんループされる「Jesus’ blood never failed me…」のフレーズ(ロンドンの街路にいた浮浪者の声を拾ったもの)を軸に、ストリングス•カルテットが徐々に音を添える展開はさしずめミニマルとフォークロアの出会いと言ったところ。ジュリアン•コースター(The Music Tapes)がミュージカル•ソーで参加し、あのスプーキーな音色が不思議で美しいトワイライト•ゾーンを醸し出したのも良かったです。

続いてポップ•クイズ。今回のチーム:シャレー•メイトは音楽オタクが多いので「イケるかも?」とにらんでいたが、第一ラウンドの質問が非常に難しく、しかも参加チームも多かった=競争率高し。「1位になれないんなら意味無し、切り上げてライヴに行こうぜ〜」と序盤はブーたれ気味だったやる気のないチーム•メイトを、ビールを買ってなだめすかし…しているうちに、見事勝ちました!!これで二冠達成っす!
もちろん全員の知恵袋の貢献があっての勝利だけど、今回は頼りにしていた他のシャレー•メイトが案外駄目だった。お前ら、普段「レディオヘッド大好き〜!」とかさんざん言ってる割に、イントロ•クイズでトム•ヨークのソロ曲とレディオヘッド曲を聞き分けられないのはいかんでしょう(怒)。役立たず! (と、心の中で張り手)。ともあれ、ピクチャー•ラウンド、すなわち「写真を見て、それが誰かを当てる(肝心のスターの顔は塗りつぶされていて判読不可能)」では自分がかなり得点を稼いだと自負しております。たまたま、この質問の元ネタとして多く使われていた「ロック•スターとその両親(主に60〜70年代)」ってテーマのLIFEの写真家の本を、最近英タブロイド紙Daily Mail(=イギリスでいちばん低俗かつ右寄りな、最悪なタブロイドです)のサイトで見かけたのがラッキーだったんだけどね…フランク•ザッパの両親とか、やっぱ気になって眺めちゃいますよね?
昔からヴィジュアル•アイデンティフィケーションには強いのだが(これは、耳への刺激よりも目の情報に頼る傾向の強い日本人の習性も大きく作用している気がしますが)、他のチーム•メイトの男性3人がこのラウンドでズタボロだったのを思い起こすに、女性の方が細部に目は効くのか?と。以下が実録:

自分「この写真の女性スターは誰だろう?」
メイト「横にいる母親を見ろよ。鼻とか、イタリア系の顔じゃん。マドンナだ、マドンナッ!」
自分「…うーん…マドンナの写真は色々見てきたけども、これは記憶にないな」
メイト「マドンナだってばー」
自分「いや、マドンナは、そもそも腕のこの位置にタトゥーないよ!」
メイト「俺はマドンナに賭けるな。お前が間違ってたら、一生後悔させてやる」
自分「イタリア系なら、ガガちゃんだと思う。両親の服装が、どう考えても80年代じゃないし…第一、マドンナは父親と仲が悪いから、こういう〝父母娘仲良し写真〟って、白黒の子供時代じゃないとあり得ないでしょ。ガガだ!」

正解はガガちゃんでした。ケイティ•ペリーすらオレが当てたぞ。イェイ!つーわけで、くだらない女性週刊誌系のゴシップ誌だのセレブ写真を眺めてうつつを抜かす女性を「ミーハーだな」とバカにする男性も多いとは思いますが、たま〜にこうして役立つこともあるので、彼女達を責めないでくださいね。トップのメイン賞品は、次回12月のATP(=ザ•ナショナルがキュレーション)の4人部屋チケット!他にも音楽/アート本、CD他をいただきまして、ほくほくです。
なんだかんだで終了予定時刻を上回り(こういう仕切りの緩さはイギリスでは当然。少なくとも、どの進行もハナから30分プラスで考えればいいのに〜と、時間を守るのが得意な日本人としてはよく思います)、クイズに使われた会場:Crazy Horseに続いて出演するLost In The Treesの開演が遅れてしまい、会場の外にはうじゃうじゃと入り待ちの長蛇の列ができていた。申し訳ない気分でこそこそと外に出たのだが、賞品のポスターだのCDを両腕に抱えて外に出て来た我々に、その列の中から「クイズ勝ったんだね? おめでとう!」と声をかけてハイ•ファイヴしに寄ってきてくれた人々がいて、そのあたたかさにはジーンときました。

音楽に戻り、まずはキャプテン•ビーフハートの意思を継ぎ、その音楽を称えるThe Magic Band。去年暮れのロンドン公演は熱演の一言で、その素晴らしい印象がまだ記憶に新しいせいもあっただろうが、今回はちょっと物足りなかったというのが本音。ステージのセット•アップがスムーズではなかったのか、メンバーが苛立ちの表情を交わすなど開演後もしばしちぐはぐで、ジャズとブルースが溶け合うカオスの中からにょきにょき音の枝葉が伸びる、あのスリリングな切れ味と絶妙なバランスが聞こえてこない。
徐々に熱が上昇していくのがこうしたパフォーマンスの常なので、もうちょっと留まってじっくり観れば良かったのだろうが、他にいくつか観たいショウが重なっていたので切り上げざるを得なかった。とはいえ本当に演奏が上手い人達なので、機会があったらぜひ生で真価を体験してほしい。アメリカのジャム/即興好きロック•バンドの原点と言えると思う。

エレファント6の次男坊(?)とも言えるノイジーでサイケデリックなポッパー:The Olivia Tremor Controlは、大所帯ながらハーフ•ジャパニーズばりに爛漫にぶっとばすガレージ•ロックンロール•コンボぶり、そしてメロディックなチャームが実にご機嫌だった。決してスマートでもクールでもない(っていうかでこぼこ…)、しかし各々のオタッキーなセンスが活き活きとハーモナイズしシンクロするハッピーな音楽集団という意味で、彼らもまたE6スピリットの象徴だと思う。
「Jumping Fences」はほんと必殺のスウィートさだったし、ビル•ドス&ウィル•カレン=ハートのフロント•メン2人を見ていて、この人達はE6のビートルズだったのかぁ〜、と改めて。オーラスは名曲「The Opera House」で、サイケな爆音が怒濤の勢いで広がり、UFOクラブ時代のピンク•フロイドもかくや?のかっこよさだった。レコーディング音源での凝った音作りとリリシズムも大好きだけど、ライヴのはじけっぷりもOTCの大きな魅力のひとつっすね。

センター•ステージで、恐らくこの晩もっともオーディエンスを集めたのはSun Ra Arkestraだったと思う。もうじき88歳(!)というサックス奏者:マーシャル•アレンの指揮のもと、サン•ラの音楽/哲学/思想/音楽宇宙を現代に伝える彼ら。3年前のロンドン:Café Otoでのレジデンス•ショウが評判をよび(以降、ほぼ毎年同会場でプレイしている)、以来ATPを含む英インディ系フェスにもひっぱりだこと、古株のジャズ•ファンのみならず英欧のヤングな音楽好きに再発見されている観もある。
パフォーマーは総勢10人以上のビッグ•バンド編成で、年配ベテランもいれば中年も、マーシャル•アレンの孫と言っても過言ではない世代=オーケストラの未来を担う若いプレイヤーも含まれる。こんな風にラインナップの年齢層が広い音楽ユニットを観る機会は、それ自体が珍しいだろう。
個性的でアドヴェンチャラスな音楽/ミュージシャンが大好きなATPピープルをまず惹き付けるのが、さながらQuality Streetの箱をひっくり返したごときカラフルなステージ衣装。初めて見た時はほんとびっくりしたものだが、マルディ•グラとクリスマスとエジプト神話とジョージ•クリントンが混じった…としか形容できないこのアーケストラ•コスチューム、見ているだけでも気分がアガりますね〜。

Café Otoで観たショウはアヴァンギャルド〜フリー•ジャズ味が強かったが、今回はスウィング感たっぷりのビッグ•バンド•オーケストラ/ニューオーリンズ•ジャズ風で(守備範囲がとても広いバンドです)、ファンキィなリズム、歌い、踊り、ソロの見せ場で競い合うメンバーの陽気なノリと相まって、観客もどんどんヒートアップ。フェス気分を再び再燃させてくれたと思う。
アフリカンなポリリズムが打ち鳴らされる楽曲は実にコズミック&ヒプノティックな上昇感で、いやー、まじに彼らが宇宙からの使者に見えましたよ。しかしグルーヴィな偉容だけではなく、繊細に寄せては返す音が重なり、織りなす美、ギターの目もくらむ速弾き、エイドリアン•ブリューばり(?)のクレイジーな動物系ノイズなどなど、軽々と変容する柔軟さ&細部への目配りもばっちり堪能。GSYBE!キュレートのNightmare Before Christmas(2010)でオーディエンスをかっさらってくれたバルカン•ポップの雄:Boban&Markoでの盛り上がりに匹敵する、何も考えず楽しめる/近くに立っている人達を笑顔を交わし踊りたくなる、そんなライヴだった。
アーケストラの面々もオーディエンスの熱さに感動したようで、いっぱいの笑顔と感謝の言葉が場内に響いた。またも喝采。フィナーレはメンバー紹介を兼ねたインスト•ジャムで、ミニマルな演奏が続く中ひとり、またひとり…と挨拶し短いソロを披露、ステージを後にする。オーラスに控えるのはもちろん御大マーシャル•アレン(白髪ととんがり帽の姿は、さながら魔術師マーリン+ムーンドッグ?)だったが、紹介に続きステージ前方に歩み寄り、いきなりウィンド•シンセの即興独奏でパウパウぶいぶい言わせた奔放さと力強さに場内も再び発熱! 繰り返すけど、88歳でこれってのは尋常じゃないですよ。オーネット•コールマンもそうだけど、菜食主義はなんだかんだいって長寿なクリエイティヴィティの秘密なのか?

新作「Love At The Bottom Of The Sea」をリリースしたばかりのThe Magnetic Fieldsは、実はATP初登板だったりする。そもそもあまりツアーを多くやらない人達なので(筆者もこれまで2回しか観たことがないっす)、同行英知人のほとんども今回が初体験。その最新作は、かつての彼らのトレード•マークとも言えるMF流エレ•ポップ/ポケット•シンフォニーな音に久々に戻った…ということだが、ライヴの編成はステファン•メリット&クローディア•ゴンスンのおなじみ「かしましコンビ」に、アコギ、チェロ、ウクレレ/ヴォーカルと室内楽団の趣き。これはステファンの耳の持病(大きな音に過剰に反応し、耳の中で反響が起こる)のせいもあると思うが、ライヴの音量もぐっと抑えられており、周囲の雑音がどうしたって混ざってくるセンター•ステージの広い空間は、ミスマッチ感が否めなかった。バンドの格から言ってもここしかないとはいえ、前回観た時のようにクラシック向けのホール/シアターというのがベストだろう。
しかし、「69 Love Songs」の「A Chicken With Its Head Cut Off」からスタートしたセットは、たとえば夏の美しい宵に美味しいワインを傾ける時のような、あるいは瀟洒なプチフールを買って来てひとりきりで味わうような(うう、我ながら陳腐な形容だ:汗)、憂き世をふと忘れさせてくれる典雅で贅沢なメロディをひもといていった。「Come Back From San Francisco」に早くも心の中に降る涙に傘をさすことになったし、チェロのふくよかな響き、ステファンの物憂いバリトン/女性陣の涼やかな歌声、ピアノの刻むステップ…と、長年培われた細やかなアンサンブルとその磨き抜かれた完成度は、決して派手でもセンセーショナルでもないけれど、1曲ごとにため息が漏れる。

ひなびたウクレレでこんこんと聴かせるカントリー調の曲、シャーリィの童女のごとく無垢な歌いっぷりなど、随所に「ふふっ」と微笑みが湧くユーモアも随所に埋め込まれている。けれど、ステファン•メリットが描き出すビター•スウィートでデカダン、時に驚くほど赤裸々で辛辣、悲愴な歌詞の痛烈さと優美なメロとのギャップ/多層性は、さながらとげを隠したバラのよう。中盤のハイライト「Drive On,Driver」〜「My Husband’s Pie’d A Terre」はソングライティングの質とアレンジの妙が合致して素晴らしかったし、「69」から名曲中の名曲「The Book Of Love」「Grand Canyon」(ライヴならではのジェントルな音が絶品)と続き、再びゴーゴーの涙と鼻水の大洪水である。
とはいえ、ライヴの終わりの方で「もう二度とフェスはプレイしたくない」と言い放ってATP客の心に冷水をぶっかけてくれたように、ステファン•メリットという人の思考回路はなかなか難しいようだ(その、一部に名高い難儀さは、こちらの記事でも伺えます)。あの発言は、彼の耳のコンディションを承知していて、拍手も控えめで静かに聴く…というのが(暗黙の)了解であるMFファンだけを相手にする、というわけにはいかないフェスという状況と、MFというユニットのライヴにおける相性の悪さをジョークまじりに漏らした、ってことなんだろう。
が、それをああいう風にぶっきらぼうに言い切ると、背後の事情を測りかねる人々の中には、「せっかくこっちが演奏に感動し、拍手で応えてるのになんだよぉ!」と誤解も生じてしまう…。しかし、そこで四方が丸く収まるように当たり障りのないコメントをする=反応を気にして自己規制するのではなく、思ったことはそのまま口にしてしまう、ステファンの辛辣さ/強さはなかなかまぶしい。それは、「気に入らないなら、ここに留まる必要はないよ(=自分で決めなさい)」という客観的な姿勢であり、長い目で見れば、アーティストにとってもファンにとっても、いちばん正しいあり方だと思うのだ。
自分は、留まります。というのも、音楽家が毎度毎度素晴らしい作品を作るってケースは実に少ないし、たとえある作品が好きでも、他の作品は苦手…ってことは、ままある。だから、そのバンドなりアーティストを追うのは「義務」ではないのだけども、えてして、ファン心理というのは「(何があっても)見捨てないのがファンのつとめ!」みたく作用してしまう。もしかしたら、中には、その心理を(意図せず)利用する音楽家もいるんじゃないかと思う。それに較べたら、ステファンのように「来る者は拒まず、去る者は追わず」という根本をはっきり示してくれる人の方が、遥かに誠実じゃないか?と思うのだ……という面はさておき、自分は彼の紡ぎだす、デリケートな恋愛の綾=心理に内包される裏腹な思い(残酷さや憎しみも含む)を面倒がらずに描き出す、その優しさが好き。なので、たとえ「お前はクズだ」と罵倒されても、MFを愛でる思いに変わりはないんです。マゾ体質なのかしら?? 

ジェフ•マンガムをもう一度観て(初日よりも、個人的にはいい出来!と思いました)、この晩のライヴ篇のトリであるSebadohに待機。昨年のロンドンのショウに行った友達も「良かったよ〜」と言っていたので、とても楽しみだった。彼らを観たのは、確か「The Sebadoh」が出た時期の東京公演以来だから、かれこれ10+α年ぶりってことになりますか。うっひゃあ! 激しく老化を実感する瞬間です。
昔から「ジェイよりもルー」派ってのはもちろんだが、今回はミニットメン•デュオ時のマイク•ワットのMCのせいで03年:ATP@ロサンジェルスを思い出してしまい、あの時エリオット•スミス•トリビュートをやってくれたルーへの深い感謝の思いがぶり返してしまったため、このステージへの思い入れは炎上状態。が、ことセバドーに関しては、実はジェイソンの隠れファンだったりもします(若い頃のジェフ•トゥイーディーにちょい似なので)…ごめんねルー。なんでジェイソン側=ステージ向かって右側に歩を進めたのだが、男客の層がみっちりで突破が難しかった。くそ〜っ。
ともあれ。今回のツアーは「Bakesale」および「Harmacy」=90年代半ばが中心のセットで、「Harmacy」好きの自分にはたまらない!わけですが、深夜近い出番にも関わらずルーは満面ニコニコ&ジェイソンもお客を前に素直に嬉しそうで、いいライヴになりそう!な予感がひしひし。1曲目から「Too Pure」、そして2曲目で早くも!来ました〜〜〜っ!「On Fire」と続き、膝がガクガクです。メロディックかつジェントルでありながら、その下に流れるおさえられた切迫感がたまりません。はうー。

ウィーザー•クルーズに出たばっかで楽しかったけど、お客さんの中に誰かあのクルーズに行った人いる?」という話もMCに取り混ぜつつ、セットはほぼノンストップで畳み掛ける。演奏はばっちりタイトだ。「Skull」など、ルー曲の美しさを堪能させてくれる場面も良かったけど、ザクザクしたギターが冴えるパワー•ポップ調「Rebound」、ジェイソン曲でのハードコア•パンク(ハスカー•ドゥか?とすら思う火炎ブラスターだいっ!)…と、硬軟のバランスも抜群。ギター•チューニングの合間に「スクラッチ•アシッドにJSBXと、今回のATPはマッチョだよな…それに較べて、当時の俺たちは女々しかったよなぁ」等々笑えるMCをルーがカマしていたけど、セバドーの素敵さというのは、なけなしの男っぽさで粗く削りつつ、その奥に潜む切なさ/悲しさもちゃんと歌えていたところであり、グランジ〜オルタナ世代のエッセンスを体現していたとこなんだな、と思った。新作もレコーディング予定らしいですよ。イェイ!
で、この晩のセバドーに関して、「いやー、だけども俺は〝Gimme Indie Rock〟を聴きたかったんだけどねぇ」とかなんとか、知ったかぶり&うなずき顔でブーたれていた知人がいたのだが、そういう「気の利いた一言(quip)」を言うため=自己満足のためだけにライヴに来るようなこの手の輩――はっきり言って、今40代の男性には、掃いて捨てるほどいますな――には、思わず「じゃかーしいわ、引っ込んでろ!」と言いたくなった。
彼がこの晩SUB POPロゴのTシャツをわざわざ着込んで、さりげなくアピールしていたのも自分のシャクに触ったかも…いやまあ、ほんとにセバドーとサブ•ポッパーが好きなのかもしれませんよ?? が、たかがTシャツごときでバンド/シーンへの忠誠心を表明しようとする、その浅さは傍目にはすぐに底が割れますよ〜っていう事実に、いい年こいた大人=齢40過ぎても気づかない無邪気さ(悪く言えば無神経さ)が、自分には疎ましいのですね(ちょっと前に、Black FlagのTシャツを着ている男が急増してムカついたのにも似てる)。
この人は5月のIBYMにも行きたがっているんだけど、その時にはきっと、サブポップTではなくスレイヤーのTシャツを着て会場に向かうのでしょうね…そうやって、バンドTシャツを日や気分によって着替えるのと同じように、この人にとっての音楽ってのは、結局のところ、彼自身の(ひもじい)アイデンティティを語る「道具」にしか過ぎないのではないか?と。

ちなみに日本人でもひとり、こういうphonyなノリの男性が思い当たるので、これはおそらく国の違い云々ではなくて、世代の話なんだろうな。わー、怖い。わー、不快。こういう大人はなるべく避けましょうね、みなさん!!――ともあれ。この秋にはセバドーの来日公演/ツアーも決まってますので(詳細情報はこちらね!)、ばっつりと汗•涙•鼻水まみれで盛り上がってくだされ。すごく楽しいショウになるのは、100%保証。
はあ、これで終わりだわ〜…と脱力していたところに、同行知人達から携帯テキスト着信。「REDSステージで、スペシャルなコラボが急遽これから行われるみたい」!つーわけで急ぎ駆けつけたところ、サン•ラのメンバーとエレファント6勢による、急ごしらえ=即興のライヴ•ジャムがむんむん展開しておりましたよ。もちろん、演奏されたのはフェス初日にエレファント6ホリデー•サプライズが披露してくれてご機嫌だったサン•ラの「Enlightenment」のカヴァーです。
シンプルなリフが淡々と練る中、それぞれの楽器(サックス、ギター、チューバ、アコーディオン、トランペット、ヴァイオリン、ドラム…なんでもあり)を手にしたプレイヤー達が好き勝手に出たり入ったりする、ブリリアントにカオティックな光景。それはまるで、「最後の晩餐」に、ディランの「The Basement Tapes」のジャケット写真の面々が乱入したようだった。その、摩訶不思議なコミューン的情景を見聞きしているうち…そして、たまたま自分の目の前に立って、そのごったまぜに美しい光景をぼーっと眺めていたジェフ•マンガムの後ろ姿を見ているうちに、改めてATPというフェスそのものの魅力に思いが至りもした。

気心の知れた仲間達と過ごす週末は、それだけでも楽しいもの。しかし、そこに自分の本当に好きな音楽や映像がガンガン流れていて、しかも、同じくそれらの音楽を愛しサポートする人々が集まった場というのは、参加した個人個人の意識しないところで、見えないパワー(…まあ、その表現が大げさなら、一種の磁場と言ってもいいけど)を産むようなのだ。
ATPは過去に何度も体験してきたけど、場を共有するオーディエンスがフレンドリーで親切で、そのおかげで気持ちよくライヴを観れた…という意味では、今ATPは自分の中でもかなり上位に位置する。パフォーマンスの素晴らしさももちろん重要なんだけど、基本的には烏合の衆である観客達が「We are in this together」をシェアする、その感覚は、フェスという一時的なコミュニティのマジックに他ならない。そういう「場」がどんどん減っている現代社会において、こうした良いフェスというのは、やっぱり存続してほしいものなのです。

その継続/存続という意味で、次回=12月のATPをザ•ナショナルがキュレートするというのは、自分にはとても納得がいく。いや、ぶっちゃけ、マイ知人の大半の間では、このキュレーターは「なんでナショナルが?!?」と不評だったりもします。これは別にザ•ナショナルが悪い云々ではなくて、ATPのこれまでのノリには、どうもいまいちそぐわないくらい、イギリスにおいて彼らは「メインストリーム」と目されるバンドだからでせう。しかし、このジェフ•マンガムATP、ものすご〜〜〜〜く……いい意味でも悪い意味でも、非っ常に「90年代」な香りの強いラインナップだったわけで。若手やベテランも混じってはいたけど、エレファント6勢を筆頭に、90年代インディ〜オルタナの再評価って雰囲気は確かにあったと思う(それは、近年叫ばれている「90年代ブーム」ともシンクロしているわけですが)。
そう考えるに、次回はもうちょっと「今」で、00年代はもちろんのこと2010年代やブルックリン勢にも明るく人脈/コネも多い、ザ•ナショナルみたいな人達を呼び込むのは、流れとして適当ではないのか?と感じるわけです。80年代や90年代は確実にオ―ルド•ファンを呼び寄せるけど、それに頼っていると、フェスとしてはいずれ袋小路に陥っていく。その意味で、比較的若手バンドをキュレーションに抜擢し新たな血を取り入れるのは、ATPにとっても大事だと思うのです。
とはいえ、今回のフェス•プログラムにバリー•ホーガンが寄せた「挨拶」によれば、ジェフが本来提出した出演者のWish Listに含まれていたものの実現しなかったアクトには、Daniel Johnston、Caroliner Rainbow、そして…The Feeliesが含まれていたそう。さすがジェフ!! しかし、そんな引きがあっても、やはりフィーリーズはNY/NJ近郊以外ではライヴやらないみたいですね。やっぱ、自分からアメリカに行くしかないのか(トホホ〜)。でもまた観たいぞフィーリーズ&ヨーロッパ人にもぜひ彼らのライヴを体験してほしいので、バリー&ATP側には、引き続きしつこく交渉打診/説得工作を継続してもらいたいところ。あ、Mergeということならついでにもう一組、East River Pipeもぜひ。これはフィーリーズ以上に引っ張りだすのは難しいだろうが(たぶん無理)、一度でいいから生で拝んでみたい人です。

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Mariko Sakamoto について

Hi.My name is Mariko.Welcome to my blog,thanks for reading.坂本麻里子と言います。ブログを読んでくれてありがとう。
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All Tomorrow’s Parties curated by Jeff Mangum@Butlins,Minehead/9-11March:Day3 への2件のフィードバック

  1. ken より:

    これはニューヨークのバンドなんですかね。おれはニューヨーク在住です。たぶん、まりこさんはロンドンに在住なんですね。ニューヨークのブルックリンという地区から面白いバンドがたくさん出てるみたいです。去年はロンドンのJames blakeのアルバムがとても好きでした^^

    • Mariko Sakamoto より:

      どのバンドを指してるのかいただいたコメントからでは判断できないですが、Jeff Mangum(ニュートラル•ミルク•ホテル)のことでしたら、もともとはジョージア州アセンズが拠点のバンドです。彼らとElephant6についてのミニ•ヒストリーはこちらでどうぞ。ブルックリンは過去数年面白いバンドが出て来るハブになっていますね。というか、アメリカ各地からアーティスト/ミュージシャン集まってきてシーンになっている印象でしょうか。James Blakeは今のロンドンらしいアーティストのひとりだと思います。

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