All Tomorrow’s Parties: TNBC curated by Shellac of North America(30Nov-2Dec2012)@Camber Sands

ただいまキャンバー!チョコレート•ケーキとチーズに囲まれた帰還の図です。

ただいまキャンバー!チョコレート•ケーキとチーズに囲まれた帰還の図です。

こっちで人気上昇中の「シェラック」マニキュアを場内で楽しめる趣向も。

こっちで人気上昇中の「シェラック」マニキュアを場内で楽しめる趣向も。

もはや大昔の話で誠に恐縮ですが、昨年12月に開催されたシェラックおよびザ•ナショナルのATP体験記を連続でお送りしたいと思います。会場変更で再び「仕切り直し」となった感のある今回、その結果やいかに?!

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ここ数年マインヘッドで開催されてきたAll Tomorrow’s Parties、今回はATP発祥の地=ロンドン南東部サセックス州の海辺の町ライにあるキャンバー•サンズ(起源は1999年にベル•アンド•セバスチャンが同地のホリデー施設Pontin’sで開催したBowlie Weekender。このイベントのアイデアを借りる形で、モグワイ仕切りのATP第1回が2000年に行われた)に里帰りと相成った。
その背景としておそらくもっとも大きいのは、6月に破産宣告したATPが規模縮小を余儀なくされた、という点だろう。マインヘッドのマックス集客は5000人近くで、対するキャンバー•サンズは3000人レベル。マインヘッド開催回の中にはチケットが完売しなかったケースもあったし、その意味では10年を経てATPが初心に戻るタイミングだったとも言える。また、マインヘッドの会場であるリゾート施設会社:バトリンズがATPを模したミュージック•ウィークエンダー企画(と言っても、内容はメインストリームな懐メロとかポップ•アクトのファンクラブ興行、ダンスものですが)を積極的に呼び入れていて、スケジュール取り合いの余波を受けた……というのもあったんじゃないかと思う。
シェラックのトッドが「マインヘッドで演奏するのは、ガールフレンド(キャンバー)に隠れて浮気してるようで落ち着かない」と語っていたように、ATPの精神的な「家」であるキャンバーへの久々の帰還は一部の古株ファン――広い会場を誇るマインヘッドに移って以降、「インティメイトな空気が薄れた」とATPから離れていった知り合いは何人か知ってます――にとってはウェルカムな決定でもあった。不況まっただなかのイギリスゆえに、前売り券ソールド•アウトはザ•ナショナルの回にとどまったとはいえ(チケット代だけでもひとり頭180ポンドかかるし、そこに交通費•食費ectを加えれば決して安い娯楽ではありません。筆者がこの両イベントに行けたのも、前回のパブ•クイズで優勝して賞品=ザ•ナショナルの4人部屋をゲットできたから)、ATPの歴史が迎えた新たな局面に立ち会えたかな〜、とは感じている。

まずはシェラック回の話から。キャンバー•サンズはロンドンから電車で約2時間半(最寄駅から会場までのバス乗車も含む)、車で1時間半。今回はシャレー•メイトと車で向かったのだが、同行人のひとりが金曜の仕事を抜け出せなかったのでロンドンからの出発は午後3時半近く。フェスのオープニングとしてシェラックは毎回トップ•バッターを飾るのだが、開演時間=4時にはどう考えても間に合わないタイミング。彼らはクロージング•アクトとして日曜にもプレイするので我慢の子だ〜。
しかしその道中、早めにチェックインすべくキャンバーに前乗りしていた生シェラック未体験の若い友人達から「チェックインの行列が長過ぎて、全然中に入れないど♨」「これじゃ俺達シェラック見れねーよ!!」とほぼ10分おきに苛立ちテキストが入ってくる。今回はマインヘッドの頃と違ってIDチェックが厳しく(飲酒イベントで「未成年お断り」を徹底しているようです)、シャレーの鍵をゲットする段階で宿泊者全員が写真つきIDを提示し雁首揃える……という面倒さが、チェックインのわずらわしさ&混雑に結びついた模様。
マインヘッドに較べキャンバーはチェックイン•エリアそのものも狭いので、そこに部屋をシェアする4人とか6人だとかが窓口に顔を並べれば混み合うのも当然である。また、開演時間を目指して同時間帯にお客が密集するのにもかかわらず、入り口でチェックイン客をさばくスタッフが一人しかいなかったというのもマイナス。行列待ちが大嫌いという方達は、多少早く会場に着いてでも(昼過ぎからチェックインは受け付けてます)キャンバー入りするのが安全かもしれません。ライヴの開演までは2、3時間待つとはいえ、シャレーに入ってまったりお茶するのもいいし、会場から歩いて10分くらいで海も見れるので時間つぶしはできるはず。

ちなみに、大不評をかこったこの問題は翌週のザ•ナショナル回のチェックイン時には早速改善されてました。流れとしては、①施設の入場ゲートでセキュリティが参加者全員のIDをチェック→②実際のリスト•バンド交換/受付処理に立ち会うのはチケットを予約した代表者一人のみ……ということで、チェックインでの混乱は若干緩和しておりました。

鍵を受け取りシャレーに向かう。ポンティンズのウェブサイトによれば「去年大金をかけて大々的に改装工事した」……そうなのだが、シャビーさは変わってない気が(笑)。なるほど床は合板に張り替えてあったし、ソファーベッドもかつてのそれに較べれば遥かにマシになった(それでもシングル•ベッドはスプリングが甘くて寝心地悪し)。しかしカーテンはカビ臭いままだし、窓枠や手すりに残ったヒビ、錆び付いて穴の空いた鉄階段、誰かの口紅の跡がついたままの什器類(!)など、お粗末感は否めない。そもそも4人部屋なはずなのにこの時のシャレーは実質2人部屋で、家族滞在ならまだしも、ソファーベッドを他人とシェアしなくちゃならないのは人によっては苦痛だろう。
慣れればどうってことないし、たかが3泊4日の話である。しかし宿舎環境という点ではマインヘッドの方が遥かに上。会場内にあるコンビニもしょぼかったし、歩いて10分の圏内に巨大スーパーがふたつ並ぶマインヘッドの便利さに慣れた身にはつらいかも。別に宿舎で料理しなくたって平気だよ〜という方もいるだろうが、キャンバー会場内の唯一のカフェは70年代で時が止まったようなメニューだったし、残るチョイスはジャンクなホットドッグ屋(料理っ気ゼロの友人達すら「不味そう」と避けていたが、結局空腹に負けて食べていた。酔っぱらったらなんでも食べれるものですな)。ヴェジ/ヴィーガン向けに屋外にBuddah Bowl(玄米と野菜とココナツ•カレーの組み合わせでなかなか美味)の屋台がひとつ特設されていたとはいえ、食のオプションは限られている。ピザといった簡単に調理できるチルド食品をたくさん持ち込んだので問題なかったけど、電車で来た面々は運べる荷物にも限界があるわけで、なかなかタフかもしれない。

それだけならまだ我慢できるが、場内のバーがスーパー役立たず!だったのはシャレにならなかった。オフ•シーズン開催のイベントゆえそんなにバンバンお酒を仕入れるわけにはいかないんだろうけど、土曜夜8時の時点でギネスが完全に品切れってのは驚き。ラガーは飲まないし、残るチョイスも甘ったるいサイダーか安ワイン、カクテルかアルコポップくらい……というわけで、バーにほとんどお金を落とさなかった(そもそもバーのスタッフも数が少ない&あまり慣れていない風情で、おつりを間違えるとか客さばきの下手さ等がたたって一杯買うのに20分待ちってこともあった)。
その対策(?)として、宿舎に戻っての自酒飲み&持ち込み酒に頼ることになった。マインヘッドでは入場のたびバッグがサーチされたものだけど、キャンバーは(おそらく入場/退場ルートが限られている建物の構造上)リスト•バンドのチェック以外はスルー。ペットボトルに詰めたマイお酒を飲みながらほとんど過ごすことになった。マインヘッド会場では通常のバー以外にもローカルな地ビール醸造所が出店していて、他ではなかなか飲めないエールを楽しめたり、楽だったんですけどね〜。キャンバーの位置するライにもインディなクラフト•ビール醸造所はたくさんあるはずだが、たぶん(アルコールの収益を損ねたくない)会場側が、出店を拒否したのだろう。

なーんて、冒頭から文句ばっか並べ立てましたが……この回に関してはシャレー•メイト他もほぼ同じ意見だったし、あくまで「より良い未来に向けて」の建設的な批判のつもり。まあ、「何につけても楽が一番」「サービスはスムーズ&パーフェクトなのが当然」感覚が染み付いた日本人年寄りのたわ言、と無視してもらってもオッケーですが。ちなみに会場から出てちょっと歩けばカフェ/ビストロやフィッシュ&チップス屋もあるし、朝食はトーストとお茶くらいで済むという粗食な方なら充分。快適度よりも音楽!まずもって音楽!!という若く元気な音楽ファンならサヴァイヴできるかと。
それに正直言って、この週末は自分にとっては音楽フェスというだけではなく一種のリハビリでもあった。会場変更ゆえの設備〜環境面の劣化に直面したことでいかにマインヘッドATPに甘やかされてきたかを痛感したし、同時にその落差を自分内で補正•修正するのがポイントにもなったということ。そう言いつつマインヘッドに関しては「音響が悪い」「広過ぎ」「ムードに欠ける」だの注文をつけていたわけで、結局自分は重箱の隅をつつくうるさ型文句ババアなのかも? でも、ATPのコミュナルな雰囲気が好きで毎回心に残る体験にしたいと願う人間としては「チケット買って会場に入っただけでオッケー!」と満足するだけではなくユーザーの視点から改善すべきと思う点はちゃんと指摘したいのだ(イコール、期待が大きいってことです)。

The Oxbow

The Oxbow

ともあれ。肝心な音楽に話を移しまして――今回のTNBCはライヴ未体験&知らないバンドが多く、前もって予習もしないタイプの怠け者な自分は「2、3曲観てみて、面白かったら最後まで」というノリである。先述したようにシェラックのオープニングは見逃したので(一足先に会場入りしていた友人によれば、40分程度のコンパクトなセットながら新曲もプレイしたそうだ)、スタートはサンフランシスコ発のアヴァンギャルド•バンドOxbowから。
アルビニ録音作品もあり、またHydraheadからのリリースあり……というだけあって、重い鉄鋼サウンドがしたたかにムチ打ち、耳にのしかかってくる。そこに黒人ヴォーカル氏のワイルドなシャウトと恫喝まがいのアクション(スポーツマンばりに鍛えた身体の持ち主で、服をどんどん破り捨て、しまいにパンツ一丁姿に!)が混ざることで、バースデー•パーティをバックにリトル•リチャードがフリーク•アウトしたごとき異様なテンションが生まれていた。

この後にはScrawlMonoも控えていた……のだが、原稿書きで徹夜明けだったツケがドーンと回って来て、宿舎での軽い休憩が始まった途端眠りこけてしまった。シャレー•メイト達は「もうギヴ•アップか? マジ?」とがんばって起こそうとしてくれたが、気力が追いつかない。1バンドしか観ずに撤退とは我ながらだらしないが、疲れたらゴロ寝できる隙間エリアが会場内にいくつもあったマインヘッドに対し、キャンバーはその意味でしんどいのだ。もっとも広い2階メイン•ステージはフロア後方が休憩所っぽくなっているものの、混雑気味なショウの際には座ったり横になっていると警備員に「立ちなさい」と命令されることもしばしば。1階のパブもラウンジ•ゾーン以外は椅子が撤去されていて立ち飲みを強いられるし、のんびりしにくいのよね。
ちなみに、シャレー•メイトのひとりは朝6時近くに帰還。どこぞのパーティで飲んでたのかな?と思いきや、アルビニ主催のポーカー•ゲームに参加したんだそう(シェラックが演奏した際、ステージ上から「深夜からポーカーやるからプレイしたい奴は俺のシャレー○×▲号室に来い」とお達しがあったらしい)。アメリカ版ATPでもポーカー•パーティやってたくらいだから、よっぽど好きなんですねアルビニ先生。「アルビニとプレイしたい」というファンが集まって行列状態だったそうだが、誰かプレイヤーが退席したら待ち組のひとりの携帯に電話がかかってくるという仕組みで流れはスムーズ〜知人はまんまと先生の隣に着席。現金を張っての真剣勝負ながらビギナーズ•ラックのおかげで知人は最終的に20ポンドせしめたそうで、これまた隣席でプレイしていたグレアム•ルイス(ワイアー)との雑談に花を咲かせたとか。

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グラマー•スクール•レコードの外観(ナイスでしょ?)

グラマー•スクール•レコードの外観(ナイスでしょ?)

グーグー寝たこともあり、2日目はばっちり早起き。窓の外を見やると芝生にはうっそうと霜が降りていて、道理で夜間寒かったはずである。ライヴは午後3時からスタートと時間はたっぷりあるので、近くの街ライまで出向いてパブ•ランチ&レコードあさりと決め込む。
キャンバーから車で15分くらい•丘の上にあるライのハイ•ストリートは、コンパクトながらジョージアンの雰囲気も随所に残るナイスなエリアだ。小洒落たショップ(=アンティーク、キャス•キッドストン系雑貨店、デリカフェ、Le Creusetの最新ラインをずらり並べた食器店、Barbour扱いのセレクト•ブティック等々)が林立する様は「スコーンに紅茶」な英ミドル•クラスの典型で、駅からちょっと外れているからだろうが、マクドナルドやスタバ他のチェーン店が一切視界に入らないのには住民のプライドを感じますな〜。

ともあれ、ここでの我々のターゲットはGrammar School Records。その名の通りかつては校舎だったというがっちりしたレンガ建ての建物の中にある、(恐らくこのエリアで唯一の)中古レコード屋さんだ。以前も書いたと思うが、インディのレコ屋/中古レコ屋はイギリスでも近年本当に苦戦している。ブライトンの老舗(ここは固そうだと思っていた)Rounder Recordsが昨年店じまいしたのには、マジびっくりしたっけな。

キャンバーは4年ぶりだし、その間の不況etcの荒波に揉まれこのお店も「もしかしたら閉店してるか?」――そう思いつつ坂を上っていくと、健在だったのは偉い。ロケーションや土地柄を考えても中古レコード店が栄えるノリじゃないのだけど、①恐らく貸店舗ではなく建物のオーナーが経営しているのと、②一番の主力商品というサントラ(ニッチですな)と通販で成り立っている模様。店内を占めるアイテムの大半は中古アナログながら、映画/音楽書籍、DVD、CD、カセット•アルバム(!)といい意味でごた混ぜショップなので、宝探し気分がそそられるのも魅力かもしれない。
とはいえロック/ポップに関して言えばストックはメインストリームな作品が中心=普通で、正直なところ「めっけもの」は乏しい。中古DVDの方が、その意味ではカルト作がちらほら混じっていてナイスだろう。価格設定自体も相場に較べ少々割高なので(地方のショップでは仕方ないのだけど)、年季の入ったシビアなコレクターにはあまり向かないかも? しかし自分はシビアなコレクターでもなんでもないので、ルイス•フューレイの名作「The Humours of」をゲットして満足。このアルバムはCDもアナログも数バージョン持ってるんだけど、見かけるとつい強迫観念的に買ってしまうほど好きな作品のひとつ。安くはなかったが、イギリスでルイス•フューレイの中古――といってもシールド美品だったのでどこまで「中古」なのかは微妙ですが――を見かけたのはこれが初めてだったので(イギリス人、ほんとこの人のことを知らない)それを記念するという無意味な思い入れも手伝ったお買い物。同行知人のひとりはワイアーの「Ideal Copy」を5ポンドで購入できたのでホクホクです。
店番していたのは寂れた漁港が似合いそうな白髪&髭のおじいちゃんで、売り上げた作品の品番をいちいちノートに記入する様も含め、オールド•ファッションである。レジの傍らには「Grammar School Records welcomes All Tomorrow’s Parties at Pontin’s!」のチラシ(お店への案内図付き)が山積みされていて思わずにっこりしてしまった……が、ATP会場内ならともかく、店内にこのチラシを置いても意味がない気がするんですけど〜(笑)。それでもリスト•バンドを付けた輩は店内をうろうろしていたので、いずれこのショップにとってATPが売り上げ増加期になったらいいですね。

Arcwelder

Arcwelder

いよいよ2日目の開始、バーミンガム出身のパンク•ロッカーズThe Cravatsから。77年結成だけにさすがにガチンコでアナーコな音で、軍服姿のギタリストがジュリアン•コープを思わせる佇まいだったのが面白かった。元シルクワームのメンバーを含むBottomless Pitのダージ&ソウルフルな咆哮をエンジョイし、続いて元タッチ&ゴー勢のトリオ=Arcwelder。名前にうっすら聞き覚えがあるくらいでレパートリーはほとんど知らなかったのだが、3人の息の合い方/演奏の勢い/オルタナとエモの混じっためっちゃ90年代USなメロディは自分的にストライク•ゾーンで抜群に良かった。何より、メンバー各人がほんと嬉しそうに満面の笑顔を交わしながらプレイしている様が素敵。ファッショナブルでもかっこよくもないけど、いいバンドです。

若い友人連が「Red Fangはマスト!」と盛り上がっているのでチェックしに行ったが、うーん……もろにメタルで、サウンドガーデンがこんな感じだったよなとしか自分には思えなかった(若衆は根っこメタラーなので、幸せそうに黙々とヘッドバンギングしていましたが)。のでWireに待機すべくメイン•ステージに舞い戻りシャレー•メイトと合流。しかし先述したバーの酒問題がたたりビール2杯買うのに30分近く待たされたため(ブー!♨)、ワイアーの冒頭3曲はステージ脇からチラチラ覗く羽目に。アホや。しかしプレイそのものもワイアーらしくクール&アーティというのか、ある種事務的なノリだったので1時間のプレイで盛り上がったのは(自分的には)最後のみ。ちょっとがっかり。
ここから知人連は「Melt Bananaに行くか、それともKim Dealのソロを選ぶか?」と意見が割れていたが、自分はShannon WrightNeurosisに向けて残る体力温存するオプションを選択。キム•ディールは観た知人によれば相当に緊張しとっちらかっていたそうで(曲を思い出せない場面もあったとか)、お客の愛情に支えられて乗り切った模様。初のソロ•ショウでメイン•ステージの中日=実質トリを任されたのはいささか荷が重かったんじゃないかな。緊張の克服と自信をつけるのが今後のキム姐の課題みたいです。
シャノン•ライトはものすごい集客で、入場規制に阻まれ観れなかった。素晴らしかったそうなので、うーん残念。気を取り直し、この晩のマイ•ラスト:ニューロシスが奏でる悠久な音の死海に漂う。まだまだ元気な知人連は12:30開始のZeni Gevaに向かったが、自分は宿舎に撤退。ほどなくして彼らも戻ってきたところで、各人が持参したアナログをプレイしながら早朝までプチDJ大会と相成りました。

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3日目にしてやっと登場した写真コラ―ジュ=今回はシェラック「Terra Firma」がお題。

3日目にしてやっと登場した写真コラ―ジュ=今回はシェラック「terra Firma」がお題。

最終日。宿舎酒も底をついたので、まずはライまで出向いてお酒を買い込むことにした――のだが、駅近くにある大きなスーパーが営業してない! 日曜に閉店って、今どきすごく珍しい。仕方ないのでコンビニでありあわせのビール/ワイン他を買い込み、会場そばで海を見るついでにビーチ•カフェに寄りブランチという運びになったが、このカフェが使えない(笑)。地元客を除き基本的にオフな時期にも関わらず急遽(ATP客を当て込んで)オープンしたんだろうけど、スタッフがこれまたバイトで慣れておらず我々のテーブルの注文を完全に失念。たかがサンドイッチとコーヒーのため結局40分近く待つことになり、ほとんどギャグである。家族で経営しているカフェらしく、去り際に娘さん(14歳くらい?)が近所の店で買った追加のミルクを抱えて息を切らせながら走り込んで来た姿に出くわしたのは微笑ましくもあったが。

しかしおかげで予定が狂い、元Rachel’sのRachel Grimesのショウを半分しか観れなかったのは切なかった。ATPのプログラムは大体①金曜は出演者も少なめでウォームアップ②土曜はハイライト=もっとも盛りだくさんでオールナイトな全開(キュレーターが出演するのもここが多い)③日曜は穏やかなアクトを交えつつトリに向かう……という暗黙のノリがあるが、ばきばきのギター•バンドやヘヴィなアクト、フリークスの饗宴が2日間みっちり続いたところで、やっと落ち着いた音楽にありつけた感。チェロを交えてのピアノ弾き語りは癒しと共に時に学校の音楽授業を思わせる雰囲気もあったが、クラシックとフォークを軸とするひなびたメロディに骨まであたたまった感じ。
そこから才媛Nina Nastasiaに続けるつもりだったが、一瞬会場(セカンド•ステージ)を離れたのが大間違いで、入場規制に阻まれて開演に間に合わなかった。ニーナ、やっぱ人気ありますねえ。久々のATPということもあってか警備スタッフの姿勢は全般的にタフだったとはいえ、この時は「ひとり退場=ひとり入場」の原則ルールを厳守していて、入場待ちの列が一向に前に進まない。横に長い会場なので実は両サイドはガラガラだったりするのに、入れてもらえないのだ。ブー♨! 
更に苛立ちに油を注いだのが、最近のフェスでよく見かける「マッサージ•ギャルズ」。ライヴを観ながら肩こりをほぐすという主旨は結構一般化していると思うけど、決して広くないセカンド•ステージのフロアにマッサージ師5人が居座ることで、オーディエンスがドアの外で待ちぼうけを食らわされるってのは本末転倒(マッサージのスペースにお客20人は軽く立てる)。セキュリティ側もこの矛盾に気づきしばらくしてマッサージ•ギャルズは追い払われたが、ラスト20分しか観れなかった……が、バンドではなくギター弾き語りスタイルだったこの日のニーナはレパートリーに乏しかったのか、自分が場内に入った頃には演奏予定曲をすべて消化していた模様。時間を埋めるべく(?)10分くらいトウィンキー(アメリカの悪名高いお菓子)に関するエキセントリックな駄トークが続いたのは、チャーミングだったとはいえ、彼女の音楽を聴きたい身としては正直トゥーマッチでした。

Pinebender

Pinebender

シカゴ発のPinebenderは、前日のArcwelderに並ぶめっけものだった。これまたはっちゃけたトリオで音はがっつり90年代なんだけど、メロディのギザギザした動きの妙に「Blue Album」の頃のウィーザーを彷彿させるところがあり、思いっきり盛り上がりました! 

知人連はFuture Of The Left(元マクラスキー)、名前のバカさを見込んでGay Witch Abortionあたりも観に行ったようだが、自分は8時スタートのMission Of BurmaからThe EX+Brass Unbound、トリのShellac(終演1時)までメイン•ステージにかじりつき。先にも書いたようにこのATPは個人的にはリハビリ色が強く、3日目でやっと調子が出て来た。ってかほんと、シェラックが選んだのはうなずける容赦ないギター•ノイズ/ダークな攻撃性が強くて、最終日までリラックスできなかった……というのもある。ハードコア&タフの合間に、たまに前衛ミニマルやラップトップ•ミュージック、フォークも聴きたいわけですが、今回はそのバランスがヘヴィに傾き過ぎだったかな。まあ、「だったらシェラック主催のフェスに来るな!」と言われればそれまでですけど。

MoBのエンジニアリングを担ったボブ•ウェストン

MoBのエンジニアリングを担ったボブ•ウェストン

相変わらずかっこいいですねー!ミッション•オブ•バーマの勇姿

相変わらずかっこいいですねー!ミッション•オブ•バーマの勇姿

ともあれ、ミッション•オブ•バーマに待機しているとライヴのミキシング卓にボブ•ウェストンが直々で登場。さすがのリスペクトですが、ブラスターなサウンドのキレの良さと活き活きしたエネルギーに圧倒された&昨日のワイアーのショウがますます「お仕事」的にダレて聞こえるほどの好内容。純粋に音だけで足を引き止められてしまう、それだけでもすごいと思う。
しかし! 個人的に今回のベスト•アクト賞はオランダ発のベテラン•パンク•バンド:ジ•エックスに進呈。彼らは以前も観たことあるんだけど、ここではブラス•セクション(シカゴの雄ケン•ヴァンダーマーク含む)を加えてブーブーゴーゴー遠慮なく吹き荒れるサウンドの厚み、ソウルのパワフルなしなりとポスト•パンクのエッジ(女性ドラマーの硬いプレイも素敵)とが火花を散らして交錯する演奏は文句無しにエキサイティングでぶっちぎりでした。っていうか、このATPで自分が最初から最後まで余さず観たのはこのショウだけだった、それくらい素晴らしかった。

自分的にジ•エックスでピークに達してしまったからだろう、続くシェラックは半睡状態で観ていた。最初は立っていたけど、この人達の低音メインでじわじわ迫ってくる揺さぶりに長くはもたず、中盤以降しゃがみこんで音だけ聴いていた――場内の暖房がきつすぎて、途中で脱水状態になったのも良くなかったかもしれない。シェラックのライヴは毎回スペシャルで素晴らしいとはいえ、自分はもう5回以上観ているし、ショウの流れが基本的には変わらないので次に何が起きるかは大体予測がつくこともあり、だんだんと集中力の糸が切れていった。それでも、「The End Of Radio」の鬼気迫るモノローグ&インプロのパワーには目(耳)が覚めましたが。

その後も別会場でDJ、各シャレーで月曜朝を目指したヤケに近い飲み!とパーティは続いていたようだが、自分はジ•エックスがもたらしてくれた昂りで満足。彼らはとてもDIYでジャンルフリーな活動をしている人達なのでなかなか日本には行けないだろうけど、もしも来日したら絶対観に行ってもらいたいなぁと思う。過去の作品を聴いていなくたって大丈夫! 常に「前」を見ている現在進行形な彼らなので、体験するのが大事なんです。ロバの耳でも何かを感じ取れるくらいバンド/演奏集団として秀逸なので、騙されたと思ってトライください!

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Mariko Sakamoto について

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