Only Lovers Left Alive(screening + live concert)/06Feb2014

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昨年のカンヌ映画祭に出品され、日本では公開済みのジム•ジャームッシュ監督の最新長編「Only Lovers Left Alive」。タイトルにふさわしくこちらではヴァレンタイン•デーを軸に一般公開されるようだが、その一足先にAll Tomorrow’s Partiesが特別上映会を主催。上映に続き、カンヌでサントラ賞を受賞した同作OSTにフィーチャーされたアクト(ジム•ジャームッシュ本人の音楽プロジェクトであるSQÜRLや、劇中にカメオ出演するご機嫌なスペース•ロッカー:White Hillsも含む)によるライヴ•パフォーマンスも観れる……ということで、これは行かずにおれません。楽しかったっす!

ジム•ジャームッシュとATPの縁は、2010年秋に彼がNY版のキュレートを担当して以来だろう。筆者はこの回には行かなかったけど(その前の年のフレーミング•リップス回に行って、会場環境のタフさにメゲてしまった……あれは1度体験すれば充分です)、ラインナップはなかなかナイスで指をくわえて「いいなあ」と見ていた。以前からATPの代表者:バリー•ホーガンは「キュレーターに(ミュージシャンばかりではなく)映画監督を起用したい」と話していて――もっとも、彼の念願はウェス•アンダーソンなんだろうけど――インディ作家にして音楽好きなジムとの連携はそのいい「第一ステップ」になるだろう、と感じた記憶もある。

そこから3年以上が経過したわけだけど、その間もジャームッシュはSQÜRLの音源をATPレコーディングスからリリースしたりATPに出演したり、両者の関係は深まる一方。4年ぶりの新作である「Only Lovers」のロンドン特別先行上映はもちろん、同作サントラもATPから英発売されることになった。

あと、この上映会のちょっと前には今年7月に開催されるATP:アイスランド版の一環としてニール•ヤング&クレイジー•ホース(「午年」に、初のアイスランド上陸だそうです!)のライヴも告知されて、快哉を叫んでしまった。いや、たぶん自分は行かないんですけど、ATPみたいなインディ•プロモーターがニール――言うまでもなく、ロンドンでは大アリーナ数回、あるいはフェスのヘッドライン級の人です――を引っ張って来れるなんて、マジすごいじゃん!と。

でまあ、そこには少なからずジムとのコネが活きたのでは……?と思う次第。もっとも、バリー•ホーガンもニール•ヤングのショウを企画するのは長年の夢だったようだし、実際、以前に本向けの取材でスティーヴ•アルビニと話した時、「シェラックがキュレートしたATPで、呼ぼうとして呼べなかったアクトは?」との質問に、確か真っ先にあげてくれた名前がニールだった。そう思うと、宿願を達成できたんだな〜、良かったねATP、と感じずにいられないのだ。

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さて。ここのところずっと大雨続きでまったく冬らしさに欠けるイギリス、この日もロンドンはべちょべちょだった。ちなみに、このイベントの数日前からプリンスが新バンド:3RDEYEGIRLのプロモ•ゲリラ•ツアーのためロンドンに潜伏(笑)、話題を振りまいている。今年は「Purple Rain」から30年なわけですが、もろにジミヘンなニュー•ルックも含め、久々に殿下がロックしまくりらしい!――ということでネットで関連情報をチェックしていたところ、最初のシークレット•ギグ会場となったカムデンのエレクトリック•ボールルームに並んだファン行列(基本的に、チケットは先着順配布)の写真に出くわした。この雨の中、濡れながら開演まで12時間近く並んだハードコアな人もいたそうで、うーむ、可哀想&ファンは辛い。

なんて思っていたところ、この晩の第一会場:レスター•スクエア(かつての歌舞伎町映画館街みたいなもんで、複数の映画館が集まってます)にあるオデオン館に向かった自分も同じような目に遭ったのには参った。一般客の入場ドアはひとつしかなく、ちゃんとした指示アナウンスもないので混乱が生じ、雨に濡れたまま、行列とも群衆ともつかない烏合の衆に加わるしかないではないか。映画上映スタートの予定時刻まで15分ほどしかないのでハラハラしたし、一方でゲスト向けの入り口は閑散としているのに一般客には解放されず、うーん、気が利かない仕切りが余計に腹立たしい(と言いつつ野次馬なのでゲストを眺めていたところ、ドン•レッツが来てました)。

一般映画館を使っての上映会はATPにとってもたぶん初の試みだから、スムーズに事が運ばないのも仕方ないのか……と鷹揚に構えることにしたが、しばらくして群衆が前進し始める。リスト•バンドを受け取り、ギリギリで場内に入れたわ!とホッとしたけど、結局我々の後ろに続いた行列もかなり長く、最終的には予定開演時間から約30分押しでイベント•スタートと相成った。この日は折悪しくロンドン地下鉄の48時間ストライキにもぶつかっていたので、天候と足の悪さも災いしたようだ。

とはいえ、オデオン館の内部は最新鋭&ゴージャスで、さすがにウェスト•エンドのメジャーな商業映画館だけある。このスクエア(広場)には他にもオデオン系列館があるけれど、中でも一番大きいこの旗艦館はプレミア他にも使われるらしい、最大キャパ2000近くの大オーディトリアム。ゆったりめで居心地が良く、しかもヒョウ柄プリント(笑)のシートはもちろん、一部の通路席にはドリンクを置けるサイド•テーブル(これもヒョウ柄)まで設置。普段は場末の格安封切シネプレックス、あるいはBFI他の「試写会レベル」な会場で映画を観ることが多い自分にはこれまで無縁だった場所なだけに、つかのま贅沢な気分を味わった。

ジム•ジャームッシュ&ジェレミー•トーマスの舞台挨拶

ジム•ジャームッシュ&ジェレミー•トーマスの舞台挨拶

客席も9割方埋まり、ポップコーンだのビールを買う列も落ち着いたところで、まずは短い舞台挨拶。最初にステージに登場したのは身体の悪そうなおっちゃんで、誰かいな?と思っていたら、なんと本作のプロデューサー:ジェレミー•トーマスだった。この英人はスコリモウスキ、ローグ、大島渚、ベルトルッチ、クローネンバーグ、割と近いところでは三池崇などとも組んできた、真の意味でインターナショナル、かつ曲者監督にも動じないマヴェリックな映画製作者。実物を拝むのはもちろん初めてで、ちょっと感動しました。

ジェレミー•トーマスにイントロデュースされ、ジム•ジャームッシュが壇上に登場。観客も「ヒューヒュー!」と歓声をあげて迎え、ロック•スターのお出ましと変わらないノリである。悪天候&ストの中集った「ATPフリークス」をねぎらうと同時に、メイン•キャストへの賞賛の言葉、そしてイギリスとのコネクションも多いこの作品をロンドンでこういう特別な形で上映できるのは嬉しい……といった旨のコメントが続いた。

にしても、「Stranger Than Paradise」から30年〜当人は今年で61歳(!)というのが信じられないくらい、遠目で見る限りジムのルックスや立ち居振る舞いはほとんど変化していない。驚異的。まあ、昔から若白髪〜銀髪のエキセントリックな風貌+黒づくめとスタイルの揺るがない人なので、「老け」とも無縁なのかもしれないが。にしても髪の毛の立ち方は見事で(スプレーか何かで固めてるのかな〜)、これまた髪型の面白いデイヴィッド•リンチ、デイヴィッド•バーンと並べてみたら面白そうだ。

映画は現代を舞台にした吸血鬼モノで、主役のヴァンパイア•カップル=宿命に縛られたアダムとイヴを演じるのはトム•ヒドルストンとティルダ•スウィントン。ティルダだけではなく名優ジョン•ハートやジェフリー•ライトもキャストに顔を並べていて、トムやミア•ワシコウスカといった新風を支える形でジャームッシュ常連組も健在ということになるだろうか。

吸血鬼映画のモダナイズには色々あるけど、世紀を越えて都市を徘徊し続けるスタイリッシュなヴァンパイア……という設定にトニー•スコットの「The Hunger」を思い浮かべる人もいるだろう(ナイト•クラブの場面でホワイト•ヒルズがカメオ出演するところも、「The Hunger」の冒頭で「Bela Lugosi’s Dead」を披露するバウハウスを思わせる)。しかしニューヨークを闊歩する80年代ユーロ•ゴシック調=セクシャルな捕食系パワー•カップルだったドヌーヴ&ボウイに対し、ティルダ&トムはブルックリンあたりに棲息するクールな草食系ヒップスターのイメージだ。

だからって、彼らがヴィーガンなわけではない。しかしサヴァイヴァルに欠かせないアダム&イヴの「吸血」メソッドは従来の吸血鬼達とはずいぶん違うし、血のクオリティにこだわり、「食物汚染」を避ける彼らの姿は、「出所のはっきりした有機野菜や肉以外はNG、オーガニック食品じゃないと口にしない」、いわゆる「Portlandia」で、Whole Foods Market御用達の連中に通じるものすらあって、ちょっと笑える。

また、ヴィンテージ•ギターを収集し、ターンテーブル他アナログな機材(AmpexとかTelefunkenとか、エレクトロニクス•フェチにはたまらない!)で音楽を聴き/自主制作する隠遁ロック•スターというアダム、本の虫で古今東西の古本に囲まれながら生きるイヴ……と、両者のレトロ〜フィジカル•プロダクトへのこだわりはモダン•ヒップスターの特徴のひとつでもあるだろう。

特に新しいテクノロジーを避け、現代人達を「(増殖しっぱなしの)ゾンビ」呼ばわりし毛嫌いするアダムの頑固なラッダイトぶりは、「今どき〝レコード〟なんて聴いてるんだ?物好きだねー!」と変わり者扱い〜バカにされがちな少数派ヒップスターにとっては、崇めたくなるお手本のような存在じゃないだろうか。まあ、それを「元祖モダン•ヒップスター」的存在であるジム•ジャームッシュの遠吠えと看做すこともできるかもしれない(80年代に、わざわざモノクロ映画を撮っていた人ですからね)。しかし、劇中でチャーリー•フェザーズの7インチが流れる素ん晴らしい瞬間、このデカダンとすら言えるレトロへのこだわりは正当化されるはずだ。

とはいえブルックリンではなく、デトロイト(アダム)、タンジール(イヴ)とそれぞれの根城も興味深い。デトロイトは今のアメリカの「荒廃」をシンボライズするとすら言われる土地で、無人のゴースト•タウンを両者がドライヴする様は、美しくもどこか最終戦争後の光景を思わせる。モロッコの港町であり観光地としても名高いタンジールにはもうちょっと活気がある……とはいえ、時のとまった迷路を思わせる古い街路と闇にまぎれた交易がベースの社会は、「旅人」である両者のアウトサイダー性/漂泊性を強調する。

このトポロジーは「世界の終わり」のイメージであると同時に、サブカルチャー、ロックンロールとの縁も深い。デトロイトに関しては、言うまでもなくモータウン•レコーズ、MC5にザ•ストゥージズ――アダムのリヴィング•ルームには彼がリスペクトする歴史上の人物の写真が飾られているけど、イギーもしっかりその中に混じってます――からホワイト•ストライプスに至るモーター•シティの伝統がある。ジャック•ホワイトのギャグも登場します。

タンジールについてはむしろビート勢他の文学(バロウズ、ポール•ボウルズ他)との関わりの方が有名だろうが、イヴ&アダムの室内着ルックは60年代後期ストーンズにも通じるものがあって、モロッコ滞在期のアニタ&キースがキャラ造形の参考になっているんじゃないか?と想像してしまう。そもそも、隠遁したロック•スターっていうアダムの存在•佇まい自体が「Perfrmance」のターナーっぽいよね。この時期のイギリス人にとって、照りつける太陽に焦がされた砂漠〜その下で可能になる自由を象徴したとも言えるモロッコへの憧憬が伺える映画「Joanna」のクリップを。

<ジュヌヴィエーヴ•ウェイトの甘ったるいヘリウム声が邪魔してますが、ドナルド•サザーランドの台詞は泣けます>

また、言うまでもなくどちらの地もそうした「アウトサイダーのカルチャー」を惹き付けた/惹き付ける場所だけに、ドラッグとの縁も深い。薬物中毒者=ジャンキー(ロッカー)と血に取り憑かれたヴァンパイアとのアナロジーには長い歴史があるわけで(先述した「The Hunger」にしても、ボウイのキャスティングは彼の世俗を超越したエイリアン的な存在感が大きいだろう:映画俳優としてはあまり上手い人ではないので)、そのパラレルはアダム&イヴの彷徨によりロックンロールなテイストを加えている。

ストーリーはあるようでないようなもので、いったんキャラ達が動き出したら彼らのグルーヴに任せる、というFree Wheelin’なノリがある(もちろんスクリプトはちゃんと存在するんだろうけど)。そこらへんは、ジャームッシュ映画が好きな人にはおなじみの展開だろう。

とはいえそういう映画作りはハードルも高いようで、前作「The Limits Of Control」は、〝ジャームッシュ•カルト〟の熱が日本より遥かに低いこっちでは「冗長でかっこつけ、自己満足作品」と一部にさんざんこき下ろされていた覚えがある。

に関わらずあの作品を自分はとてもエンジョイしたんだけど、本作は「Limits〜」のコンポジション/フォルム/音へのこだわり&ユーロ•ミステリー調なシュールさ(スペイン撮影の美しさに、大好きなアントニオーニ作品のひとつ「The Passenger」がだぶるのも抜群)と、ある意味「Dead Man」から続いている「人間は何のために生きるのか?」というソウル•サーチングを名優ビル•マーレイを通じてコメディ〜チャーミングなヒューマン性に昇華した「Broken Flowers」とがいいバランスでミックスされた1作、と言えると思う。

そういや「Broken Flowers」も、撮影時タイトルは「Dead Flowers」――歌詞の「♪I won’t forget to put roses on your grave」はモロにインスピレーションだと思う――で、これまたストーンズだ。

<めちゃいい曲ですな>

<ついでに連想した、この名曲もおまけに>

その、時代の変化に翻弄されるひ弱な存在としての「哀れな(そしてある意味滑稽な)」ヴァンパイアと、現代になぶられながら生きるオールド•ソウル達のエグザイルの悲しみとを体現する、とてもモダンかつ底抜けにロマンティックで共感できる恋人達=イヴ&アダムを演じるティルダ•スウィントンとトム•ヒドルストンは、いずれもはまり役だった。

ティルダに関しては、既にジャームッシュ作品には登板済みとはいえ、「動く彫刻」とも言うべきアンタッチャブルな美しさ――性差も現世的な人間性も年齢も超越したところに存在する、天使を思わせるレアな「creature」だと思います――が、今回本当に活きた感があった。デレク•ジャーマンの頃からそのウィリアム•ブレイク型な可変クオリティは重用されてきたとはいえ、「Michael Clayton」みたいな現代劇にも進出し、アートハウスとメジャーの双方にアピールする彼女のカリスマは本作を引っ張る主幹エンジンだと思う。

というわけで、ティルダの最近の仕事を。まずは「歳をとらないヴァンパイア」としてリスペクトされてもいる、ボウイとの共演。

<2013年。監督はフローリア•シジスモンディだけあって、表層な美はよく捉えられてます>

<「〜Kevin」は2011年、「Thumbsucker」は2005年作。どっちもやや疲れ気味なサバーバンな母親役で、ここから「Only Lovers」での官能的な恋人に折り返せる、ティルダのスパンはすごいとしか言いようがないです>

ティルダがスクリーンに発する威力は重々承知なので、今回注目に値するのはむしろトム•ヒドルストンだったかもしれない。「Thor」のロキでおなじみな彼だけど、ここでは内向的で気難しいアーティスト型のロッカーを好演。ややゴスの入った佇まいも含めて「This Must Be The Place」でのショーン•ペンのロック•スター解釈を思い出しもしたが、彼のように「ロバート•スミスのカリカチュア」に堕していないのもナイスだった。

これまで何人もの歌手/ロック•スターとコラボしてきたジム•ジャームッシュが誰よりよく知っているだろうが、俳優がロック•スターを演じると大体説得力がなく、一方でロック•スターが(本人以外の)ロッカーを演じるとこれまたダサくなり……と微妙なもの。その意味で、名門イートン校出身のぼんぼんでロック界とはあまり縁のなさそうなトム•ヒドルストンの、ニュートラルなゆえの化けっぷりは新鮮だった。

というのも、もともとこのアダム役に想定されていたのはマイケル•ファスベンダーだったりする。それはそれでアリだったと思うけど、ファスベンダーのマスキュリン&ストレートなセックス•アピールはロック•スター特有のアンドロジナスな魅力とはちょっと違う(それでも「Prometheus」でのアンドロイド:デイヴィッド役は秀逸だったと思いますが)。もしも彼が予定通りにキャストされていたら、これまた両性具有なティルダとの、ある種「姉弟」的な=インセストすら感じさせるディープな繫がりまでは醸せなかった気がする。

それに本作にはミア•ワシコウスカも出演してるので、ファスベンダーが出てたら「Jane Eyre」がだぶってしまいますよね……。

ジム•ジャームッシュも現在トム•ヒドルストンが出演中のシェイクスピア舞台劇「Coriolanus」を観に行ったらしく、この上映会での挨拶時に彼の演技を絶賛していたけど、いい感じで役柄の幅を広げているのは頼もしい限り。以下に、筆者の好きなヒドルストン出演作のクリップをどうぞ。

<BBC制作の「The Hollow Crown」は、豪華キャストで「リチャード二世」から始まるシェイクスピアの歴史悲劇を翻案したTVシリーズ。ベン•ウィショーも良かったけど、ハル王子役のトムは光ってました>

<ジョアンナ•ホッグのインディ作「Archipelago」。地味だけど、実はあまり映画の題材になることのない中流階級の倦怠を描いた非常に秀逸な作品。細やかな描写やさりげなさ、日本映画の感性に通じるものがあります>

ちなみに、今後のトム•ヒドルストンは降板したベネディクト•カンバーバッチに代わってギレルモ•デル•トロのゴシック•ホラー「Crimson Peak」に出演。こう書くとファスベンダーやカンバーバッチといった人気俳優の代役めいたイメージが生じるかもしれないが、「Only Lovers」のプロデューサーであるジェレミー•トーマスが長年あたためてきたJGバラードの名作「High Rise」の映画化――「A Field In England」も素晴らしかったベン•ウィートリーが監督する予定――でも彼が主役を演じることがアナウンスされてました!というわけで、今後も注目の人ですね。

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場内には、映画に登場する「アダムの洞窟」のレプリカ•コーナーも

場内には、映画に登場する「アダムの洞窟」のレプリカ•コーナーも

映画上映に続き、舞台をクラブ:Heavenに移してのライヴ•パフォーマンス篇。サントラにフィーチャーされた面々が生で観れる……というのも楽しいし、場内には作品予告編を流すモニターやポスターはもちろん、登場人物のコスプレをしたスタッフが徘徊し「血」を飲ませてくれたり(本物ではなく赤のマルド•ワインでした)、セット•デザインのレプリカも展示されていて素敵。このパーティなノリは、ここ数年イギリスで人気のコンセプト性の高い映画上映イベント(「Secret Cinema」他)の影響なのだろう。

熱唱でわかせたYasmine Hamdan

熱唱でわかせたYasmine Hamdan

古楽器リュートを演奏するオランダ人音楽家であるJozef Van Wissemはジャームッシュのコラボレーターでもあり、彼の雅びなラーガは秀逸な同作サントラのキモとも言える。しかし、サントラに流れるミニマル〜ポスト•ロック味を踏襲していたのは彼だけだった感じで、続いて登場した美しいレバノン人歌姫Yasmine Hamdanは実にセンシュアルかつエモーショナルなパフォーマンスで観客を魅了。劇中ではローカル人と思しきエレキ•ギタリストの伴奏がいい味を出していたんだけど、ここでは普通のバック•バンドを従える形だったのはちょいと残念だった。

ハイライトはジム•ジャームッシュ本人がフロントを張るSQÜRLの登場で、スモークと暗めでムーディな照明に浮かび上がるトリオ編成、その中央に白髪の御仁が立つ姿はそれだけでもヴァンパイア映画のノリがある。

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Sun O)))やボリスのファンとしても知られるユニットだけあって、ドローン•ロックと称されることの多い彼ら。しかしライヴではカーター•ローガンのボトル•ネックのサウンドが効いていて、むしろプリミティヴなブルース〜ロスト•ハイウェイをさまよう夢遊病者のロックンロールといったところ(オーディエンスのほとんども、そのゆったりしたグルーヴにスローにヘッドバングしながらマインド•トリップしている感じ)。その意味でも、ディアハンターとはいつかぜひ共演を実現してもらいたいもの。

<この曲のイメージ、映画にぴったりだと思う>

インストがメインのセットながらジム•ジャームッシュのヴォーカル曲も登場し、そちらはもろに後期VU〜ルー•リード調のテンダーなメロディだったのはなんとも愛らしい&ニール•ヤング「Vampire Blues」のカヴァーもグッド•チョイス。サントラ盤ではコラージュ色の強くアトモスフェリックな作りを聴かせるが、ライヴではよりルーズでインプロ志向……というわけで、「趣味の高じた」バンドとはいえ、今後もフリー•スタイルな音と映像のクロスオーヴァーを期待できそうだ。

トリは、素晴らしい爆音スペース•ロック•バンド:White Hills。この晩もヴォーカル/Gのデイヴ•W氏は銀ラメのズボン姿で(その芸人根性が素敵)、ホークウィンド直系のコズミック•サイケを展開してくれました。にしても、ヒップスター/ヴァンパイアといったキーワードの散らばる作品だと、カメオ出演しそうな男女バンドと言えば今ならザ•キルズあたりだろう。しかしホワイト•ヒルズのようにマニアック&マージナルなアクトを持ってくるところが、さすがジム•ジャームッシュ。ホワイト•ヒルズの持つスリージィな雰囲気はザ•クランプスにも通じるところがあって、それはザ•キルズには出せない味なので。

その後に続いたDJイベントは眠くなったんで放棄し、帰途に着く。スケールこそ小さかったものの、映画+ライヴというこの企画はプチ•フェスティヴァルのようでとても楽しかった。今後も音楽プロモーターという立場を活かして、ATPにはこういうマルチ•メディアなイベントも仕組んで行ってほしいなと感じた次第。

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Mariko Sakamoto について

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