Beat of My Own Drum:2. Sandy Denny

Sandy Denny/Live At The BBC(1971)

今日のBGMは、60〜70年代英フォーク界を代表する(というかブリティッシュ•ロックの歴史に残る)女性シンガー•ソングライターと言えるサンディ•デニーのソロ「The North Star Grassman and The Ravens」(1971年)。

女性ヴォーカルだと昔から低めの声/個性の強い歌い手/リッチな艶と響きを伴う黒人シンガーが好み。なので「天使の歌声」とも称されるサンディ•デニーのクリーンかつ正統的なフォーク歌唱〜美声にはなかなかハマれず、フェアポート•コンヴェンションにも90年代になるまで手を伸ばせなかった。しかし音楽のいいところは、聴く側の成長につれて「聞こえ方」が変化していく点にある。

もちろん、それがマイナスに転じることもある。たとえば時代色が濃過ぎて、今聴くと(愛着こそ感じるものの)冗談とすら響く「ヒット曲」というのはいくらでもあるだろう。しかし優れた音楽というのは時代を越えて後の世代にも発見されていくものだし、サンディ•デニーあるいはフェアポートの音楽にはそうした「生命力」が備わっている。温故ばかりがいいとは毛頭思っていないけど、遠い過去に蒔かれた種子が自分の中で何かの拍子で芽吹く、その驚きと喜びは大事にしたい。

このアルバムを若い頃の自分が聴いていたら、きっと左耳から右耳へとさらっとスルーしていたことだろう。しかし今聴くと、繊細なソングライティング、アレンジや表現の妙、フォーク/ジャズ/ブルースのブレンドぶりに打たれる(リチャード•トンプソンのギターを聴いていると、なぜクラプトンばかりが神格化されるの?と感じずにいられない)。

<上に貼付けた映像はサンディ•デニーのソロ演奏なので、念のためリチャード•トンプソンの曲も。クィックシルヴァー•メッセンジャー•サーヴィスももちろんですが、テレヴィジョンのギターへの影響を感じるプレイですな>

にしても、本作のジャケット写真で薄暗く古くさい薬局のカウンターで薬剤師を演じるサンディ•デニーの巫女/魔女めいた雰囲気には、引き込まれる何かがある。そのコンセプトの意図が何だったのかはもはや分からないし、カメラマンのアイデアに過ぎないのかもしれない。しかし確実に「自分の世界」を持った――お仕着せの「ポップな女の子イメージ」ではない――女性アーティストの存在は伝わる。と同時にそのアクの強さゆえに、彼女はキャロル•キングのような大スターになれなかったのかな……とも思う。

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Mariko Sakamoto について

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