Beat of My own Drum:25. The Copper Family,John Martyn

昨日は、先祖から伝えられたイギリスの伝統的な民謡を代々受け継ぎ、いわば「口承」の形で現代に伝え続けるファミリー•シンガーズ:ザ•コッパー•ファミリーのショウを観に行ってきました。

農民や牧童達の労働歌、あるいは庶民達の集いの場で披露されるエンターテインメントだったフォーク•ソングは、伝統的に歌い伝えられてきた。より高尚な音楽=クラシックや教会音楽は、作曲家やアレンジャーによって採譜•記録されたのだろう。が、作詞家も作曲家もその多くが不明であり、同じ曲でも時代によって歌詞やメロディが微妙に変化することもあるライヴリーな大衆音楽=フォーク•ソングの収集•記録が始まったのは、クラシックに較べればずっと後の話になる。

英南東部サセックス州で農家を運営していたコッパー家は、地元の民謡を家族で歌い継いできた「地の塩」的存在。無伴奏で歌う彼らのユニークなスタイルがイギリスのフォーク音楽蒐集家の耳にとまり、ファミリーの家長は後にEnglish Folk And Dance Societyへと発展する組織の一員に迎えられることに。ボブ•コッパーは、トラッド音楽に関する著書の執筆、ファミリーが歌ってきた民謡や近隣エリアのフォーク•ソングの記録にも携わってきた。そこから若い世代(子供、孫、ひ孫、嫁……)を加えながら、イギリスの過去の遺産を今に伝えているコッパー•ファミリーの歴史は、イギリスにおけるザ•ウォーターソンズの先駆け、あるいはアメリカで言えば戦後のブルースやフォークの蒐集熱〜カーター•ファミリーに通じるものがあるだろう。

このイベントそのものは、ローカルなパブが会場のギグだった。そこに金曜夜という状況も加わって、ライヴ目当て以外の飲み客が生み出す騒音が邪魔になることもままあった(先述したようにこのファミリーは楽器伴奏なしのア•カペラ•シンガーズで、マイク以外はアコースティック。ゆえにお客のマナーと静寂がとても重要なのです)。

彼らは地元やフォーク•フェスを中心に演奏しているグループなので、ロンドンでのパフォーマンスは実は珍しい。あ〜、もったいない……と残念に感じずにいられなかったけど、おじいちゃん世代から孫まで含む男女混成7人のファミリーがスツールに腰掛け、素朴なメロディを軸に力強いカウンター•ハーモニーを生み出す様は素晴らしかった。いつかまた、次回はもっと落ち着いたセッティングで、彼らの「語り」――曲の背景やストーリーの説明も、このトラディショナルな素人シンガー達のパフォーマンスのひとつです――も含めた歌唱を楽しみたいなと思った。

で、彼らがセットの最後に披露してくれた曲が「Spencer The Rover」だった。これは、後にジョン•マーティンが1975年のアルバム「Sunday’s Child」でカヴァーしているトラッド•ソングでもある。ジョン•マーティンの元パートナーだったベヴァリー•マーティンが久々のソロ作をリリースした、というニュースを少し前に耳にしたこともあり、たまたまジョン•マーティンは聞き返していたところだったので、面白い偶然であります。

というわけで――その「Sunday’s Child」も、あるいは「Inside Out」もいいんですが、今日は「One World」から大好きなこのトラックを。「One World」はスティーヴ•ウィンウッドのセンスあふれる鍵盤使いにもうならされるアルバムですが、この曲はリー•ペリーとの名コラボ。

<希望と絶望、オプティミズムと厭世が常に隣り合わせだったジョン•マーティンの赤裸々すぎる/ゆえにテンションと豊穣ではち切れんばかりだった感性は、歌詞はもちろん音楽の振れ幅――フォーク、ブルース、ジャズ、ダブ、ワールド•ミュージックといった具合に、伝統とアヴァンを奔放に行き来していた――にも反映されている。しかしリー•ペリーの天然なユーモアに感化されたというこの曲は、「意識の流れ」とグルーヴに心身を委ねたジョンの、リラックスした表情を聴かせてくれると思います>

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Mariko Sakamoto について

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