My Favourites–2014 Edition

またも超カタツムリなペースとなりました、〝普通は年内に発表するもんだろう〟マイ•フェイヴァリッツの2014年版でございます。

シーンのターン•オーヴァーが恐ろしく速く、好奇心の片鱗を刺激する=注意力を逸らすような作品が次々登場する今の時代。聴いた直後に「これは!」とエキサイトさせられたものの、少し経って平熱に戻ると魅力が褪せてしまうもの〜あるいはそれとは逆に最初は「なんじゃこれ?」と思って放ったらかしにしておいたのに、聞き返してみたら良さがしみる……というケースは増えている。

その意味で「これからも自分が聴く音楽か否か?」を年間というスパンで区切って判断するのに難儀するし、常に混濁した、オフ/オンの境目のないリスニング体験に揉まれている感覚もある(クリストファー•ノーランの「Interstellar」に描かれたテサラクト空間を観た時、「これこれ、この溺れそうな感じ!」と妙に納得したもんです)。一方で本リストにおける「デビュー•アルバム」率が低いのは、慣れ親しんだサムシングの速効性に惹かれる=己の耳が疲労し保守化している証拠かもしれないな、とも。

しかしまあ、そうした「痛い」認識を踏まえた上で色々と考えた末に絞ってのアルバム群が以下。28枚となんともキリが悪いですが、このポストを読んでくださった方達の中に「これはやっぱ良い作品だよね」の確認なり、また「知らなかったけどナイスな音」の発見なり、何がしかの感慨が生まれてくれたら幸いでございます。

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●Albums:

※冒頭に上げた5枚は「自分にとっての<2014年>を心に刻んでくれた文句無し&等級に愛しい作品」。それ以下に続く作品群はアルファベット順です。ちなみに、アルバム篇の末尾にプチ•プレゼントのコーナーもあるので、興味のある方はチェックください。

Aphex Twin/Syro(WARP)

影響力、カリスマ、ミステリアス&エキセントリシティ、そして才能という意味で、2013年のマイ•ブラッディ•ヴァレンタイン(:ケヴィン•シールズ)新作登場に匹敵する驚きとインパクトと感動を覚えたこの「レアな流れ星に遭遇した!」的作品。リチャード自身は過去13年の間も別名義リリース、DJ活動等で暗躍していて完全に「冬眠潜伏」していたわけではないにせよ、やっぱりエイフェックスのバナーとレガシーは格が違うというか。露出過多&オーヴァー•シェアリングな今の時代に肘鉄を食らわせるような、本作の降ってわいたような登場とリアクションの大きさは痛快でもあった。
向けられる批判の中に「新しさに欠ける」というのがあったけど、自分はまったく気にならなかった。その理由としては:①プロダクションの的確なジャッジメント、リズムとトーンの調和、トータルなフロウ、メロの美しさも含め彼にしか作り得ない音世界がきちんと存在し主張しているから、そして②既に時代の寵児/音霊として一世を風靡したことのある彼に、今もなお「先端」を求めることもないだろう――という思いに尽きる。それは彼以降に登場した若い世代が担っていて当然なのだから。
その2点は、ごくごく平たく/簡単に言えばアーティスティックな成熟を指すものと言えるし、そこに「かつての〝危険分子〟はどうなったんだ?」と不満を抱く人がいるのもなんとなく分かる。が、現実のホラーが芸術のホラーを凌駕している現在だからこそ、アルバム制作費用のデータ明細=文字&記号列が淡々と並ぶ以外は真っ白〜折り紙を思わせる厚紙ジャケットの懐に穏やかに畳み込まれたこの作品の意図の明解さとクリーンな率直さは、狂気に染まらないオアシスとしてエモーショナルに響く。

The War On Drugs/Lost In The Dream(Secretly Canadian)

ここ数年はTWODの元メンバーで出世頭なカート•ヴァイルの動向フォローにすっかりかまけていたのだが、セカンドでの試走を経て確信に振り切った本サードの音作りには完全にノックアウトされた。中核であるアダム•グランデュシエルはディラン/スプリングスティーン系のソングライターで、メランコリックな歌メロのクオリティは常に高い人ではある。しかし本作に耳がそばだつのは、80年代のメインストリームなアメリカン•ロック界で行われていた洗練された音作りの良さをポジティヴに再評価し、インディ•アメリカーナのシンガー•ソングライター文脈に完璧に融合させた点にある。
アナログ機材だとかライヴ録りだとかささくれた音だとか、「昔ながら」や「オーセンティックさ」へのこだわりが評価される傾向の強いフォーク/カントリー/アメリカーナ界隈において、シンセや新手のスタジオ•テクニックを駆使した80年代サウンドのスムーズさは唾棄の対象になりがちだ(ディランやニール•ヤングといった60年代のアイコン達が模索し苦闘した時代だったのも、その悪印象を強めているかもしれない)。
しかしロキシー•ミュージックが「Avalon」でひとつの頂点を刻んだAORサウンドを解釈•敷衍することでダイアー•ストレイツ、スプリングスティーン、ドン•ヘンリーらが見事なポップスを生んでいた80年代の一時期の意志を受け継いだこの作品は、パーソナルな思いをハイ•プロダクションで鳴らすことで真情のこもった歌の魅力を心の壁にパノラミックに投影していく。それは「真正さ」を求めるあまりヴィンテージのギターやバンジョーやペダル•スティールをいたずらにジャグルし、時代錯誤なレトロ•ファッション&ヒゲに身をやつしてその気になっている(さっさと淘汰されてほしい)昨今の勘違いなフォーク/SSW系アクトの空疎さをあぶりだすことにもなっている。
ゆえに「要は、新手のAORなんじゃないですか?」とクサされることにもなるのだろう。しかし過去数年フリートウッド•マックでインスピレーション源が足踏みしていた感のあるUSインディ•ロック族の「過去ディグ」が、この1枚で前進したのは間違いない。と同時に、実に緻密で知的なバランスが求められるゆえに――80年代はライアン•アダムスもタックルしたけど、アルバム1枚でこれをやるのは楽じゃないです――この作品は1枚で完結したトライアルになりそうな気もしている。ブレイク後にありがちな「安易なリピート」はこれからも生まれないだろう(生んでほしくもないが)……ということで、その意味でもワン•オフで美しいプレシャスな作品だと思っている。

Scott Walker+Sunn O)))/Soused(4AD)

色んなところでしつこく書いてきた気がするけど、それでも書くと――スコット•ウォーカーの新音源発表にリアル•タイムで立ち会うことができるのは、僥倖にほかならない。彼の音楽はケイト•ブッシュの作品と同じくらいに「これから」の世代に新たな意味や意義を発見されていく/発見され続けていくもの=タイム•カプセルだと思っているので。
その僥倖感〜神話性は彼の寡作ぶりによって助長されてもいて、一般的には1995年の「Tilt」から始まるとされる三部作(この間に「Pola X」サントラやモダン•ダンス団向けのオリジナル音楽も含まれるとはいえ)が「Bish Bosch」で完結したのは17年後のこと。それゆえにたった2年でこのサンO)))とのコラボ作が登場するとの報に触れた時は、盆と正月が同時にやってきたような嬉しさだった。
それ以上に嬉しかったのが、本作が期待を裏切らない内容であったのは言うまでもない。モダンなドローンの覇者であるサンO)))が生み出すオーガニックな波状音とサイキックなGは、オーケストラ他を用いての大アンサンブルだけがスコットの領域ではないことを確認させてくれる。彼にしては「ミニマル」と言えるその音空間の中で、シンガーとしてのドラマの喚起力――ヴォーカルを音(ノイズ)や色彩として扱う感性ゆえにメロディックな美や高揚をストイックなまでに排除し抽象に走ってしまうこともある人だ――を存分に発揮してくれているのも本作の魅力。マーロン•ブランドやスコットがこだわり続ける歴史上の独裁者ネタといった、奔放なイマジネーションと漆黒に突き抜けたユーモアもますます妙なチャームを増している。
以前だったら高尚なアート•メディアのトピック欄での扱いで終わっていたであろうカルト:スコット•ウォーカーの動向も、こうして浮上しつつある。かつ、前述したケイト•ブッシュのもっかの最新作「50 Words for Snow」が実は非常に聴きやすい作品(:コマーシャルな作品、と同意ではない)だったのを思い返すと、現在というのはもしかしたら、反知性主義が強いのと同じくらいにそのスペクトラムの逆に位置するクレヴァー&プログレッシヴな聴き手達も増えていて、アウトサイダーと誤解されがちなハイ•コンセプトな音楽を評価し受容するニッチが確立している時期なのかもしれない。そこに希望を抱くし、今回の柔軟度の高いコンテンポラリーなロック•バンドとの共演を経て、スコットがライヴ•パフォーマンス実現への可能性&興味を育んでくれたらいいなぁ〜と祈らずにいられない(というわけで、「もしかしたら、もしかして?」とかすかに期待しつつ11月に行われたロンドンでのスティーヴン•オマリーのショウに足を運びましたが、スコットの登場はなかったです:涙)。
他に追記したいことをランダムに並べると:精神的に荷重の大きい前衛ロックという意味ではスワンズに負けていないので、スワンズが好きな人はトライしてみてほしい/筆者としては(非常に残念ながら)ハマれなかったアースの「Primitive and Deadly」の欠損感を埋めてあまりある1枚でもある/「Herod 2014」の印象的な鞭のサウンドは、長らく筆者に付きまとってきた明け方に聞こえる不気味な耳鳴り(現実で鳴っている音ではなく、心理的な音)と酷似していて最初に聴いた時はマジにゾッとした。が、この作品を聴いて以降、その耳鳴りは止んだ。エクソシスト効果でしょうか?

Steve Gunn/Way Out Weather(Paradise of Bachelors)

メランコリックで端正で、でもちょっとだけ顔を出すボヘミアンな放埒さにうっとりせずにいられない優男なアルバム。テレヴィジョンを経由したモダンなギター•ラーガ•インストの「瞑想」の名手として親しんできた人だが、今回証明されたヴォーカリストとしてのセンス(声域や声量、テクニックといった話ではなく、ブレスやトーンとギター•プレイとの和やかな一体感が絶妙)とプロダクションの見事なバランスも含め、彼にとってのポップ/ロック•ファン向けのブレイクスルー作品になってくれたら……と願わずにいられない。
この人の作品に対する自分のエキサイトメントは、「絶対に自分には手に入ることのない美しさを、それを承知の上で、でも遠くからそっと讃える」という性質のもの。「所有したい」的な欲望のレベルを越えた――「アガペー」と呼んでしまうときれいごと過ぎるので避けるけども――まあ割とそれに近い、これが常に自分のそばで流れ•漂ってくれていたら理想的/でもそんな世界は現実に存在しないのよね、と悲喜こもごもを感じずにいられない憧憬を純粋に掻き立てる音楽ということ。小津安二郎を思わせる音楽と言ってもいい。
ちなみに彼は本作の他にコラボ作品もリリース。ひとつは再発コーナーでも紹介するイギリス生まれのベテラン•フォーカーであるマイク•クーパーとの素晴らしい共演作「Cantos De Lisboa」、そしてペルト〜ブラック•トゥィッグ•ピッカーズでも知られるマイク•ガングロフとの「Melodies For A Savage Fix」。前者は南欧のレイドバックした日差しを感じるフリー•フォームな美が冴える内容で、対する後者はよりテンションの高いインプロ•プレイが楽しめる。もし「Way Out Weather」を気に入ってもらえたら、ぜひ聴いてみてほしい2枚です&スティーヴ•ガンが所属するレーベル:Paradise of Bachelorsからはバンジョー/ドラム奏者として知られるネイサン•ボウルズの森閑なアパラチアン•フォーク作品「Nansemond」、同レーベルのオーナーのひとりでもあるヒス•ゴールデン•メッセンジャー(こちらはMergeより)の作品も登場したので興味のある方はチェックしていただければ。

Ty Segall/Manipulator(Drag City)

ブレイク作「Goodbye Bread」以降、多産なガレージ•ロッカーとしてガリガリ君なペースで作品を送り出し続けるタイ•シーガル。最新作はここしばらくのメロウ化傾向とポップなメリハリとがジャストに噛み合った傑作だ。看板と言えるファズ•ギターやスペイシーなサウンド•エフェクトは健在ながら、オルガンやファンキィなグルーヴがもたらすよじれたアクはティラノザウルス•レックスからT•レックスに転じる頃のマーク•ボランもよもやの味だし、ビートルズのジョージ•ハリソンの王道なアンセム感覚からザ•トロッグスの抜群ないなたさやB級バンド(ジ•アタックとかね)のけれん味までためらいなく憑依させているのも最高。捨て曲無しで寄り道しないソリッドなソングライティングはもちろん、アメリカンなガレージ•ロックンロールのパンチとブリティッシュなフォーク〜サイケデリック•ポップ〜初期グラム味を融合させながら、このアルバムならではのすっぽりとハマれる音宇宙を生み出している。「今どきはちゃんとギターを使ったバンドが少ない」とかブーブー文句を言って60年代バンドのアナログ再発を金にあかせて買い続けてるようなオヤジは、すべからくこのアルバムを聴くべし。

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Ariel Pink/Pom Pom(4AD)

ポップの満漢全席を果たしてくれたアリエル•ピンクの新作。ノベルティ•ソングから悪ノリ全開なコマーシャル•ジングル風、ゴス•ロックに大仰なパワー•バラッド(「Miami Vice」のエンディング•テーマとしても通じる?)等々、50年代から80年代に至るアメリカン•ポップ話法をジャグルする様は片手間にカーステのラジオを次々にチューニングしていくのに似ている。しかしそのどれもが、ポスト•モダン流のアイロニックなパロディとしてではなく真顔で再構築されたフラッシュバックであるのに気づくと泣かされるはず。絶賛された「Before Today」はそれ以前の彼の音楽にあったフラジャイルな劣化の感覚が薄まってどうもノれなかったが、「Mature Themes」を経てソングライターとして新たに開花している。アングラとコマーシャルとの境界線を混ぜ返し続けたモンド•ハリウッドのひとり:故キム•フォウリー(合掌)が病いを押してコラボを果たしており、「新旧カルト•ヒーローの顔合わせ」という意味でもグレイトな1枚。

Richard Dawson/Nothing Important(Weird World/Domino)

ニューキャッスル出身のミュージシャンであるリチャード•ドーソン。テクニカルに分類すれば一応「ギターの弾き語り」ということになるのだが、字面から想像されるサウンドとはかけ離れた音楽を生み出している鬼才だ。イギリス的なフォーク/ストーリー•テリングの伝統を解体する彼のセンスはキャプテン•ビーフハートのブルース解釈を思わせるもので、北部人らしいドライなユーモアやシュールな言葉&世界観にアイヴォー•カトラー(更に言えばロバート•ワイアットも)が浮かぶ歌声、ビル•オーカット的なインプロ•ギター•インストだけで聴かせてしまう音楽そのもののピュアさには圧倒される。たとえばこの人だけではなくデイヴィッド•トーマス•ブロートンの作品に対しても感じるが、首都カルチャーやトレンドに均質化されることなく、イギリス地方都市の風土に育まれた奇妙な/しかしユニークな「声」が、こうして静かに息づいているのを知るのはやはり心強い。

Mac Demarco/Salad Days(Captured Tracks)

カナダ生まれ:ブルックリン経由の今風スラッカー•ソングライター。写真を見ての第一印象は「またネル•シャツにヴァンズでスケーター調の、ウェイヴスみたいな人?」だったし、昔の音源はアリエル•ピンクまがい……ということで新たなピッチフォーク•インディ君だとばかり思っていた。しかしソングライティング/サウンドの両面で明度を増した本作は、ニルソンがよく引き合いに出される優しいメロディと夏が似合うレイドバックしたヴァイブがなんとも愛らしい。他とはひと味違うインディ•ギター•ポップになっているキモは秀逸なベース•ラインで、今後もっとR&Bの側面を追求していってくれたら面白そう。

Grouper/Ruins(Kranky)

ギター、ヴォイス•サンプル他のループを駆使したアヴァン•エレクトロのクリエイターとして知られるグルーパーことリズ•ハリスだが、ほぼ全曲でピアノをフィーチャーし、繊細な歌唱でまとめた夜想曲集とも言える本作のミニマリズムとスピリチュアルな響きは新たな到達点だろう。「Ruins」=廃墟というタイトルにこめられたエモーションこそ辛く侘しいものの、朽ちた堆積の中をとぼとぼと歩き、心の瓦礫を手で掘りながら何かを見つけ、形にしていこうとする強さを芯に秘めた音楽。

Hurray For The Riff Raff/Small Town Heroes(ATO)

アラバマ•シェイクスとも縁がある、ニューオーリンズを拠点とするネオ•ブルース〜ルーツ•ロック•アクト。ローファイ他のインディなセンシビリティをフックにしていた初期を経て、フル•アルバムとしては5作目の本作はフォークやカントリーの多彩なサウンド話法をバランス良く包括した淀みのない/贅肉のないプロダクションとソングライティングの成熟&知性が光る1枚になった。そのしっかりした礎ゆえに、このバンドの最大の魅力であるプエルトリコ系シンガー/バンジョー/ギター奏者であるアリンダ•リー•セガラのソフトで麗しい歌声もより映える。ギリアン•ウェルチに向かう頼もしい若手だと思う。

Julian Casablancas+The Voidz/Tyranny(Cult)

抑制されたモダニズムを研ぎ澄ますのではなく過剰•不整合•カオスを取り込み、その中からいびつな、しかしフレッシュなポップを叩き出した素晴らしい1枚。ギター•ロックの古典をリファインし改良するマニアックな連中はいくらでもいるが、異なるパーツをあちこちから引っ張ってきて組み合わせ、新たなカスタム•モデルを作り出す勇気のある人間はなかなかいない。イコール量産が利かない作品とも言えるが、ザ•ヴォイズには開かれた「実験場」であり続けてほしい。ジュリアンがストロークスを通じてやってきたのは常に主流の価値観や疑問符を有耶無耶にする満足に対するカウンターの提示(押しつけではない)だったわけだが、そのスタンスを現時点でのリミットにまで押し進めたこの作品は巷でよく言われる「ヤケな開き直り」でも、「血迷っていて面白い風変わりなポップ」でもない、ヴァイタルなステートメント作だ。

Damien Jurado/Brothers And Sisters Of The Eternal Son(Secretly Canadian)

1曲目「Magic Number」からしてモロにニック•ドレイクの「At The Chime of The City Clock」ではないですか?……と、ニクくもちょっとズルい!が入り交じる感慨を覚えつつ、しかしやっぱり惹かれてしまうダミアン•ジュラードの11作目。デビュー期から聴いていた人だったとはいえ(サブ•ポップ期の作品なら「Rehearsals For Departure」がお勧めです)、ここ数年マイ•レーダーから外れていた――のだが、前々作=2010年代からの付き合いとなる才人プロデューサー:リチャード•スウィフト(ザ•シンズ他)の名前に引き込まれて再び聴くようになった。リチャードが得意とするバロック〜プログレ•サイケ趣向とダミアンの味出しな歌&メランコリックなメロディのぶつかり合いはディープで、90年代末に起きたシンガー•ソングライターの波から生まれたこの人がなにげにルネサンスを迎えているのを嬉しく思う。

Angel Olsen/Burn Your Fire For No Witness(Jagjaguwar)

ボニー•プリンス•ビリーとの共演を始め、ティム•キンセラ/リロイ•バック、カイロ•ギャングといった渋〜いコラボで「知る人ぞ知る」的にUSインディ好きに知られてきた才女。前作のフォーク味からしてもルーツ•ミュージックが根底にある人だと思うが、エレクトリックにも手を伸ばした本作はグランジからレナード•コーエン/ジョニ•ミッチェルに至る多彩な振れ幅を違和感なく聴かせており、見事としか言いようがない。その意味でキャット•パワーやシャロン•ヴァン•エッテンの系譜に連なっていく人だろう。2014年に大活躍したジョン•コングルトン仕事その①。

Oso Leone/Mokragora(Foehn Records)

この作品は実は2013年発表なのだが、去年初めて聴いていたく感銘を受けたので特別に紛れ込ませていただきます。オーソ•レオン(Osoはスペイン語で熊の意味。熊さんレオン?)はスペイン:マジョルカを拠点とする5人組で、本作はセカンドに当たるという。穏やかに寄せては返すシンセの波やギターの残響に洗われているだけでも心地よいが、水底で揺れるベースのヴァイブ、玉砂利のように粒ぞろいなビートは確かな足跡を耳に残していく。激しく沸騰する/煮詰まって凝固した/蒸留された類いの音楽が多い中で、このスローにふつふつと温度を上げる美しいアルバムは清涼剤のようによく聴いた。90年代中期のヨ•ラ•テンゴ、ボーズ•オブ•カナダ、傑作「At Dawn」期マイ•モーニング•ジャケットらに宿るメロウなサイケデリアが好きな人におすすめ。特に、夏の夕暮れが似合います。

Ought/More Than Any Other Day(Constellation)

シングル集に続いて登場したカナダ:モントリオール発(でもメンバーは全員アメリカ人らしい)バンドのオリジナル•スタジオ作。フォーキィなSSW系インディ志向からポスト•パンクに振り切ったのは正解で、「ギャング•オブ•フォー×フガジ×トーキング•ヘッズ」とでも言いたい、空間とインパクトとの押し引きがスリリングな音楽が生まれている。それだけにストイックなタメ(我慢)からロックンロールの疾走へとバーストする瞬間は実にかっこよくて、パーケイ•コーツのライヴで感じるエクスタシーが甦りもする。

Owen Pallett/In Conflict(Domino)

アーケード•ファイアの同志としても知られるヴァイオリンの王子:オーウェン(AKAファイナル•ファンタジー)。ゆえにメルヘンの森にさまよいこんでしまうこともある人だが、本作はプリティだけではなく危機感や不穏や獰猛さも醸せるストリングス/オーケストラ/ニュー•エイジの持つ幅広い表現力&威力とポスト•ロックやクラウト、アソシエイツ的エレ•ポップに至る電子音楽の話法とを熟練した執刀医のシャープさで腑分けし、寸分の狂いなくリアレンジ。その上で落下と高揚の交錯するダイナミックなポップの快へまとめ上げてみせる、シビアな知性とエモーションの噛み合った見事な1枚。

Perfume Genius/Too Bright(Matador)

「タン•タン•タン!」とソフトに、しかし虚ろな悲しみを醸すピアノを相手にモノローグをしたたらせるパフューム•ジニアス。「社会の他者」の抱える疎外と孤独を具現するその色白な背中にアイデンティファイする、根源的に/色んな風に切ない人間達の数は少しずつ増えてきたが、ダイナミック&グラマラスにブーストされた音像で自らのベースであるLGBTコミュニティへストレートに同胞愛の腕を伸ばした本作に触れた感動は、ファーストのフラジャイルな美に打たれた以上に大きかった。基本的に非常にシャイでプライヴェートな歌い手だけに、このあでやかな転換――「Queen」は新たなゲイ•アンセムとしても愛されている――は逆にプレッシャーでもあるだろう。が、ここから開けた地平とドアとをまずは存分に味わい、そこからもたらされたインスピレーションをこれまで通り実直に音楽に反映していってほしい。

Protomartyr/Under Color Of Official Right(Hardly Art)

デトロイトが「モダン•アメリカの栄枯盛衰の縮図」と形容されて久しいが、プロトマタイアはかの地に息吹いたローカルなDIYパンク•シーンから登場したバンド。とはいえデトロイトの歴史/トポロジーから連想されるソウル•パンク、あるいはガレージ•ロックではなく、ジョイ•ディヴィジョンやワイアーといった英ポスト•パンク(更には初期ゴスも含む)の影響が濃いエコーたっぷりなトレブル•サウンドは、むしろジ•ウォークメンあるいはインターポールあたりと共振している。しかしヴォーカル:ジョー•ケイシーの歌声はボブ•モウルド、あるいはポール•ウェスターバーグ的な米中西部/ワーキング•クラス•ロッカーのガッツを感じさせるもので、NY勢が醸す「摩天楼の憂鬱」型なクールなムーディさではなく工業都市の泣きを宿すパンクとして成立している。

Real Estate/Atlas(Domino)

3枚目ながら、佇まいもサウンドも「永遠の学生バンド」と呼びたいクリーンさを驚異的に維持している人達。神経質なリズム感を少しずつ洗練させていった頃のフィーリーズ(特にサード「Only Life」)が、ロックンロールではなくメロディックなポップに専念していたらこんなアルバムを作っていたかもしれないな――というフィーリーズ•ファンの戯れ言はさておき。新味や驚きはないかもしれないが、きめ細かいソングライティングから天然泉のように湧き出す美しいメロディがリラックスしたプレイで次々心に花を咲かせていく。聴いているうちに、「普通」をきっちりやり通すことの良さに改めて気づかされる作品だ。トム•シック(ルーファス•ウェインライト、ライアン•アダムス他)によるアナログのテンダネスに満ちたレコーディングとの相性も抜群で、2014年でも屈指の優雅なサウンドを誇るレコードでもある。

St. Vincent/St. Vincent(Loma Vista)

セイント•ヴィンセントことアニー•クラークが、スフィアン•スティーヴンスからデイヴィッド•バーンまでラヴ•コールを寄せるUSインディの才媛からハイパーなポップ•アイコンへ鮮やかな転生を遂げた1枚。チェンバー•ポップ/ソウル/ロック/ジャズ/フォーク……と緻密に混じり合った音楽性でカテゴライズをすり抜け続けてきた彼女だが、ヴィジュアルからライヴ•パフォーマンスに至るまで天与のエキセントリックなカリスマを前面に押し出し、焦点を絞った音作り(エイドリアン•ブリューばりに変態なエレキも素敵)を敷いた本作はポップの祭壇に新たな「聖人」をもたらした。プリンス、あるいはジャネール•モネイのように優れたアーティストが自己流の神話体系/ペルソナを創出するケースは多いが、リアルさを重視するゆえにフェイクにアレルギー反応を起こしがちなインディ界において女性がこれだけ見事なトランスフォーメイションを果たしたのは痛快としか言いようがない。コンセプチュアルなペルソナの介入は聴き手との距離感を生むこともあるとはいえ、それを補って余りある「Prince Johnny」「Severed Crossed Fingers」といった名曲でのヴォーカルの熱とフェミニスト詩人エドナ•〝セイント•ヴィンセント〟ミレイばりに大胆かつエモーショナルな歌詞のバランスも絶妙だ。ソロ•デビューから7年で4枚(「Love This Giant」も含めれば5作)というハイ•ペースで溢れんばかりのクリエイティヴィティ&アイデアを試走してきたアーティストが、真の意味で手綱を掌握したパワフルな1枚。ジョン•コングルトン仕事その②。

Sleaford Mods/Divide And Exit(Harbinger Sound)

白を白、黒を黒と表立ってはっきり言わずにおけば対立や摩擦を回避できるわけで、無難。それが現実界における「相手の気に触らないのが良きマナー」になりつつある一方で、匿名をかさにかけてネットでは色んな横暴がエスカレート……という奇妙な時代。PCな抑圧に対する反動の顕われということかもしれないが、そんな中でスリーフォード•モッズの言葉が耳に刺さるのは彼らが「クソはどうごまかしたって/金箔で飾り立てたとしても、所詮はクソ」とためらいなく言い切るゆえだ。壇上から共闘の理想をアジるパンク系の社会派アクトとは異なり、ミもフタもないどん詰まりな現実をグロテスクな毒気とシュールさ、かつ掘建て小屋なプロダクションで描き出す感覚はファット•ホワイト•ファミリーにも通じるイギリス的なものだが、彼らと違って悲哀がにじむ点にメンバーは共に40代というリアリティがあるのもいい。プロディジー新作にゲスト参加しているそうだが、そこで「ワーキング•クラスのおっさんも怒ってる!」型のぶいぶいなステレオタイプに陥ることなく、こつこつ切り開いてきたニッチをマーク•E•スミスのように偏屈に深く掘り下げてほしいもの。

Sun Kil Moon/Benji(Caldo Verde)

長いキャリアを通じ、私小説調なソングライティングとマーク•コズレク本人というエニグマの磁力とのブレンドは熱狂的なフォロワーを生み続けてきた。しかし旅芸人の悲喜をホームシックからカップラーメンをすする男おいどんレベルの赤裸々さで綴ってみせた近年のダイレクトさは、SKM名義でのスタジオ•オリジナル最新作に新たなエモーショナルな高みをもたらすことになった。親類の身に降りかかった悲劇的な死を契機に、そこからいずれ訪れる愛する者達の死、老いへの恐れや未来への不安、ノスタルジックな瞑想……と次々に連鎖し広がる思いが浮き彫りにされていく。ディテールと言葉の喚起するイメージが巧みに結びついたソングライティングの冴えもさることながら、母や父といった対象に捧げた心からのオマージュを多く含むこの作品。伝えておかなくてはいけない言葉•言わずに終わって後悔したくない思い•残しておきたい情景がいっぱい詰まっていて、胸が詰まる。見えない「前」へとしゃにむに進んでいく若者の季節を過ぎ、人間はやがて「終わり」から逆算して人生を捉え始めるもの。そんな年代に入ったマーク•コズレクは、これからも時間を無駄にすることなくエッセンシャルな歌だけ書いていくことだろう。

Toumani&Sidiki Diabate/Toumani&Sidiki(World Circuit)

西アフリカの21弦ハープ:コラの名手/伝道者にしてグラミー受賞アーティストでもあるトゥマニ•ジャバテ。タージ•マハル、ビョーク、デーモン•アルバーンらを始めとするクロス•ジャンルなコラボでも知られる彼だが、本作は祖父の名を受け継ぐ息子シディキ•ジャバテとのコラ•デュエット作品になる。親子共演というのは珍しいが、これは彼らが西アフリカに今も続く世襲制のアーティスト/音楽家/口承文化人の家系(グリオー)に属するから。シディキ•ジャバテは、今どきの若者らしくコラ奏者ばかりでなくヒップホップ•アクトとしても人気だそうだ。しかし古くから伝わる伝統的な楽曲を取り上げたという本作は、西アフリカが起源とも言われるブルースを筆頭に、中近東音楽、フォーク、クラシック、スパニッシュ•ギター等々、様々な音想の混じり合うつづれ織りをコラの端整な響きで紡いでいく。ほぼオーヴァーダブ無しのライヴ•レコーディングというプロダクションも、父子の息の合ったアコースティック•プレイと緻密なインタープレイを堪能させてくれる。紛争により国内の一部で音楽が迫害を受けたマリだが、本作は静かなる抵抗の譜だろう。

Tweedy/Sukierae(dBpm)

<カメオの中にさくっとアルビニ先生が混じってます★>

偶然とはいえ、前項に続きこちらも父子共演となるウィルコのジェフ•トウィーディと息子スペンサーのデュオ。元々はジェフのソロ作として始まったそうで、恐らく彼のやってきたアコースティックのソロ•ショウ的なシンプルな内容がイメージにあったのではないかと思う。しかし既に自らバンドでプレイ〜父のレコーディング•セッションに参加した経験もあるスペンサーがドラムおよびソングライティングに関与した結果、長い付き合いのスコット•マッコーヒーらゲスト•ミュージシャンも迎えてのバンド•サウンドになった。2枚組/20曲のヴォリュームゆえに幅は広く、プログレ調な「Diamond Light Pt.1」や「Being There」期のデモだったという「I’ll Sing It」といったロック曲、ジェフらしいエグいプレイが顔を出す場面もある。とはいえ名プレイヤー揃いゆえに個性の総和=質量のすごいウィルコとは異なり、下半身より上半身の闊達さやニュアンスが冴えるドラム&パーカッション、風のように吹き抜ける女性コーラス、てらいなくメロディックな楽曲の数々、抑え気味なプロダクションは本作をリラックスしたホーム•スパン•ポップのチャームで包んでいる(アルバム•タイトルはジェフの妻スージーのニックネームにちなんだもの)。ジェフにとって大いなるクリエイティヴな触媒になったルース•ファーのように、ここからまた何かが広がるのかもしれない。

Sharon Van Etten/Are We There(Jagjaguwar)

前作「Tramp」でのブレイクスルー経て、ソングライティングを確実にマスターフルな域へと進めていて頼もしい新作(しかも自主プロデュース)。前作では共同プロデューサーも兼任したザ•ナショナルのアーロン•デズナー&彼の人脈が援護に当たっていたように、今回もザ•ウォー•オン•ドラッグスのデイヴィッド•ハートリーとアダム、シェアウォーターの才人ジョナサン•メイバーグ他のインディ勢が多数参加。ロックなエッジはやや後退〜フォーク、ソウルといったクラシカルな志向を強めたソングライティングをオルガン/エレピやリヴァーブ•ギター、木管といったひなびた音色で染めつつ、アーシー:地母神的な包容力に向かうことなくエピックな感動を引き寄せる歌唱はこの人ならではの個性を強めていて素晴らしい。歌詞や感情面でのヘヴィさは前出のパフューム•ジニアスといい勝負な人だが、ダークにもがく情念すら冷静に見つめ凍結させる彼女の視線はむしろ男性的なのも面白い。

Wand/Ganglion Reef(God?/Drag City)

ジョン•ドワイヤーを起点とするサン•フランシスコ•ガレージの新たなポスター•ボーイの名をほしいままにしているタイ•シーガル。常になんらかの関連アクトが作品をリリースしているのでは……と錯覚させられるほど多作で賑やかな彼の周辺人脈も興味深いわけだけど、ホワイト•フェンス、ミートボディーズ、ジグ•ザグズといった連中の(どれもサイケ好きなら聴いてみて損はない)作品を押しのけるインパクトを放つのがこのLA出身の4人組。タイ•シーガル当人がドラッグ•シティ傘下で始めた自己レーベルに契約〜ツアーのオープニングに起用と肩入れしているだけあって、ファズ&リヴァーブでべっとりしたギターにオルガンのレトロな鳴り、とガレージ•ロックの基本はきちんと踏襲。しかし「Nuggets」やブリティッシュ•ビートの切迫感あるいはハード•ロック/グラムのヘヴィネスだけではなく、このバンドはスペース•ロック〜サイケ•ポップのドリーミィでポンチな甘さもブレンドしているのがミソ。アメリカン•ガレージの粗さを増したテーム•インパラ、あるいはローファイに毛深くなったフォクシジェンというか、このポップ•ポテンシャルがどういう方向に伸びるのかが楽しみな人達だ。まだこちらの試聴ストリーム•リンクは生きてるみたいなので、興味のある方は是非。

Withered Hand/New Gods(Slumberland)

キング•クレオソートを核とするフェンス•コレクティヴのメンバーでもある、ダン•ウィルソンAKAウィーザード•ハンドのセカンド。アメリカーナ風も似合う声質やフォークをベースとするソングライティングは、DCFCのベン•ギバードとの資質の近さを感じさせるもの。しかしあたたかみのある美メロやハーモニーへの愛は、ティーンエイジ•ファンクラブに象徴されるスコティッシュ•ギター•ポップの伝統を宿している。プロデュースはトニー•ドゥーガン、ゲストにユージン•ケリー、ベル&セバスチャン、フライトゥンド•ラビットのメンバーらを迎えており、スコティッシュ•インディの層の厚さが伝わる意味でもつい頬がゆるむ1枚。ちなみに上にペーストした動画曲も含め、コーラスにブラック•タンバリン〜カルトなジン「Chickfactor」の創始者のひとりであるパム•ベリーをフィーチャーしているのもナイス。

Xiu Xiu/Angel Guts:Red Classroom(Polyvinyl)

ジョン•コングルトン仕事その③。学習•模倣ではなく直観に従うゆえにいびつで、食い合わせの悪い音のコンビネーションも躊躇しない――探検者であるシュウ•シュウの音楽は基本的にチャレンジングなものだが、しばらく続いてきたシンセ•ポップ志向に終止符を打ち、アナログ•シンセとミニマル&アヴァンな曲想を追求した本作のアプローチはバンド初〜中期を思い起こさせる。とはいえスーサイドとノイバウテン、ニコをインスピレーションに上げる荒涼たるインダストリアル•サウンドはスコット•ウォーカーの「Tilt」に通じる黒さで、これまででももっともヘヴィなアルバムへと繫がった。風変わりなアルバム•タイトルは日活ロマン•ポルノ発のカルト映画「天使のはらわた 赤い教室」にちなんでいるが、同作監督の曽根中生とも縁のあった若松孝二の「ピンク映画」がエロくないように、本作もセックスと暴力を通じて情念と恐怖が渦巻く人間の業をえぐっていく。ちなみにシュウ•シュウ名義で去年もう1枚登場したアルバム「Unclouded Sky」はアイスランドにあるシガー•ロスのスタジオでの録音で、2013年に行われたツアー(実質ジェイミー•スチュワートのソロ)で披露された古いブルース/フォーク•ソングの弾き語りとフィールド•レコーディングから成る簡素な作風は「Angel〜」とまったく異なる。しかしテンションのレベルは同じく高く、アントニー•へガティとソロ時のマイケル•ジラが交錯したようなヴォーカルに引き込まれる。

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よくぞここまでお付き合いいただき、読んでくださいました!というわけでお礼のつもりでプレゼントです――と言っても大したものじゃないですが、当方の2014年ファイヴァリッツ作品の中から、ザ•ウォー•オン•ドラッグスの傑作「Lost In The Dreams」のフル•ダウンロード•コードをおひとりに進呈します。

別にあやしいDLではなくて、同作のアナログ盤を買ったら付いてきたおまけ=同作のHQデジタル版をダウンロードできる正規コードになります。自分には必要ないので誰かにあげよう……と思いつつ、そのままになっていたのを思い出したのでブログ読者にお裾分けすることにしようかと。欲しい方は、この「マイ•フェイヴァリッツ」のポストのコメント欄にコメントを残してくださればオッケーです(ポストに対するコメント•感想は必要ではないので、「聴きたい」「コード欲しいです」「TWODくれ」程度のメッセージでもまったく構いません)。締め切りは2月10日、応募の声の中からランダムに抽選させていただき、当たった方にメールを差し上げようと思います。

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メインの音楽作品に続いて、その周縁のフェイヴァリッツ。あまりライヴに行けなかったので(涙)、今回はコンサート•セレクションはお休みします。

●Reissues:

Lucinda Williams/Lucinda Williams(Thirty Tigers)

1988年にラフ•トレードから発表されたセルフ•タイトルのサード。長らく廃盤になっていたので非常に嬉しいし、ペイズリー•アンダーグラウンド〜ニュー•フォーク•ロック勢の60年代的愛とカントリーとをブレンドさせた本作は彼女の「原点」と言えるだろう。秀曲ぞろい。

Mike Cooper Reissues(Paradise Of Bachelors)

イギリス生まれのカルトなカントリー/ブルース/フォーク•ギタリストが、70年代にDawn Records(パイ傘下のプログレ/アングラ部門)から発表した3作の再発。40年以上にわたるキャリアでフリー•ジャズやインプロにも手を伸ばし、映像作家としても活動している「探究者」である彼の作品はさすがに今聴いても発見が多い。旧作は日本で数年前に限定CD再発されていたが(日本ってやっぱりマニア度がすごい……)、こうして再びアクセスしやすい流通に乗った機会を逃すなかれ。

Slint/Spiderland(Touch&Go)

オリジナルのアナログ•マスターからボブ•ウェストンがリマスタリングした、不朽の古典。一家に一枚。

Lewis/L’amour(Light In The Attic)

代表的なロック/ポップ作品の発掘があらかた済んだところでリイシューもますますカルト度を深めている昨今、そのクレート•ディギングの指先はプライヴェート•プレス=無名に近いアマチュアが趣味的に制作した作品にまで向かっている。1983年にカナダでリリースされたこのミステリアスなアルバム――ちなみに「ルイス」は本名ではありません――も一種の「私家版」で、中古ショップや蚤の市を日夜あさる熱心なレコード•マニア達の尽力で再発に漕ぎ着けたとか。ジャケット写真の「勘違いしたブライアン•フェリー」的なダンディぶりからもうかがえるように、サウンドは夢追い人のナルシスティックなロマンの結晶。一部に「これは出来過ぎ。ネット•デマで、ルイスは存在しない」説すら流れたが、こちらのレポートによれば当人はちゃんと存在しているみたい。

しかしロドリゲス、あるいは2013年から続く再発作業で注目を集めるナイジェリア生まれのアフリカン•シンセ•ポップのマエストロ:ウィリアム•オンニェボーのように再発見され、若い世代の盛り上がりを受けてツアーや新作に乗り出すことなく、この人がリイシューによる印税すら受け取ろうとしないというのは面白い。言い換えれば音楽キャリア的な野望のまったくない、酔狂/手遊びで生まれたワン•オフの珍作なわけだけど、なぜか心に残る1枚。

ちなみに:ルイスにまつわる「本物か/偽物か」議論を眺めていてふと頭に浮かんだのがイギリス産のTVドラマ「Brian Pern」シリーズ。これは「This Is Spinal Tap」以来ニッチなファンを広げているモッキュメンタリー(架空のロック•アクトを扱った似非ドキュメンタリー)で、ギャグの素材に上がっているのはピーター•ゲイブリエル(=劇中のBrian Pernのモデル)&ジェネシス(=Thotch)。

<昨年末放映された第2シリーズの予告編。ドキュメンタリーの主役であるブライアン•パーンのバンド•ヒストリーをミュージカル化した「Stowe Boys」(=「Jersey Boys」や「We Will Rock You」のパロディ)のリハーサル場面のクリップ、若き日のブライアン•パーンを演じて本人から叱咤されるのはマーティン•フリーマン>

ネタがすぐ割れるのはもちろん多彩なコメディアンのカメオを含めやや「訳知り顔」で、かつプログレの風刺としてはストレート過ぎるのでちょっと抵抗もある作品。しかし偽の「過去の映像」や「ミュージシャンの証言」をそれっぽく交える様は上手くできていて(ピーター•ゲイブリエル本人もカメオ出演します)、ジェネシス他を一切知らない真面目な人が見たら「これは実在するバンドの話か」と勘違いしても不思議はない。それくらいVH1「Behind The Music」の話法は定着しているとも言えるし、ゆえに「ルイスはコンスピラシー/でっちあげじゃないか?」と疑う人もいるのだろう。嗚呼、現実はますますメタになっている。

Robert Wyatt/Different Every Time – Ex Machina/Benign Dictatorships(Domino)

純粋な再発作品ではないものの、「ロバート•ワイアットをより深く知りたい人達のために」編まれたとも言える好作。タイトルになっている「Different Every Time」は彼がソロ•アーティストとしての声を確立した「Rock Bottom」収録の「Sea Song」の歌詞から採られているが、ソフト•マシーンから始まる長いキャリアを俯瞰すると共に多彩なコラボレーションから選りすぐられたレア•カットの並ぶ本作は、今もメタモルフォーゼし続ける天才の宇宙図をナビゲートするひとつの指針だろう。爺の代表作を聴いた上で更なる興味を惹かれた若い世代にぜひトライいただきたいアンソロジー。

●Music Documentaries:

Breadcrumb Trail(Dir:Lance Bangs)

スリントというドアを開く鍵にして、90年代アメリカン•アンダーグラウンドのミッシング•リンクをも浮かび上がらせる優れたドキュメンタリー。もちろんここから始めるのもアリだけど、まずはインターネットの無かった90年代当時のようにストレートに音楽(スリントだけではなく関連•周辺バンドも含めて)だけから体験してもらい、さんざん頭をワープさせられ、あーでもないこーでもないと考えた挙げ句に、この映画を「ご褒美」のように観るのがいいと思う。

20,000 Days On Earth(Dir:Ianin Forsyth and Jane Pollard)

コンサート•ビデオはもちろん映画(出演、脚本、音楽)など、ヴィジュアル•メディアとも長い付き合いのあるニック•ケイヴ。そんな彼を素材にした本作はキャリアを追うドキュメンタリーとしての基本資質とフィクション――カイリー•ミノーグやレイ•ウィンストンが「カメオ」を演じる場面等――との合間を自由に行き来する野心的な構成からアーティスト像を掘り起こしていて、巷に氾濫する安直なドキュメンタリーとは一線を画す内容になっているのはさすが。神話と当人との間に隔たりや矛盾のない、非常にレアなアーティストであることを確認できる一本でもある。

Sonic Highways(Dir:Dave Grohl)

究極的に言ってしまえば、フー•ファイターズ新作「Sonic Highways」の長大な解説にしてプロモ•ビデオ集だろう――というのは、自分の中のシニカルな側面の率直な反応だ(しかも昔から生理的に受け付けないブッチ•ヴィグが全エピソードに漏れなく付いてくる:嗚呼……)。しかし初監督作「Sound City」のコンセプトをアメリカ8都市に押し広げたこの作品は、デイヴ•グロールのパーソナルなパンク•コネクションを軸に多彩なローカル•シーンやミュージシャン•ネットワークに光を当て、歴史や変遷、今や消えてしまったレガシーを愛と共にあぶり出してみせる(アーカイヴ映像他を集めた資料リサーチ•チームとエディターの仕事は全編通して見事)。この作品をきっかけに、少しでも多くの人間がスクラッチ•アシッドやトラブル•ファンク、カイアスの作品に手を伸ばしてくれたら――それはポジティヴなことだ。ロック•スターがどんな風に持ち金を使っても勝手なわけだけど、かつては公共局の仕事だったこうしたオーラル•ドキュメンタリーの制作に労力を傾けるデイヴは、やはりロック•コミュニティ思いのナイス•ガイである。

●Films

Calvary(Dir:John Michael McDonagh)

モダンなアイリッシュ•コメディの秀作「The Guard」に続く、ジョン•マイケル•マクドナーの新作。再び名優ブレンダン•グリーソンが主演を張ったこのドラマでも巧みな台詞&コメディは維持されているものの、その味はアイルランドらしいほろ苦さと痛みをぐっと増している。ミヒャエル•ハネケほど厳粛ではないが、本質的には同じ=人間の業と宗教をじっくり見据えるユーロピアンな重みがじわじわと沁みてくる、後に残る力作。

Under The Skin(Dir:Jonathan Glazer)

プロモ•ビデオや広告畑から登場した映画監督はいまや主流を脅かす勢いだが、中でももっともユニークなヴィジョンを持つ監督のひとりがジョナサン•グレイザー。14年で3本という寡作な作家ながら、テクニックやアイデアのホッピング(スパイク•ジョーンズ)とも、あるいは一目で「それ」と分かるエキセントリックさへのチャーミングな固執(ミシェル•ゴンドリ)でもなく、人間ドラマのベースを維持したまま1作ごとにまったく異なる映像と物語を生み出し、異なる感動をもたらしてくれるのは見事としか言いようがない(「私は女優!」を全身で主張するニコール•キッドマンが苦手な自分ですら、「Birth」を観て彼女を見直させられたくらい)。実に10年ぶりになるこの劇場作は、大雑把に言えば「現代グラスゴーを舞台にした一種のSF」。そのミスマッチなシュールさだけでも興味をそそられるが、そこに放り込まれた究極のエイリアン(=ハリウッド•スター)であるスカーレット•ジョハンソンが辿るぎこちない足取りから浮かび上がる人間の内面は美しく、醜く、悲しい。アブストラクトな筋運びやキューブリック/日本の前衛映画を思わせるダイナミック&ミニマルな映像のシャープさも含め、これまででもっとも彼のプロモ•ビデオ経験が活かされた作品――という印象は、ミカチュー&ザ•シェイプスでおなじみのミカ•リーヴァイが担当した秀逸なサントラによるところも大きいかもしれない

The Grand Budapest Hotel(Dir:Wes Anderson)

ウェス•アンダーソン作品はどれも好きだが、カラフルなキャラクタ―/精緻なプロダクション•デザイン/入り組んだメロドラマのメカニズム/キャスティングの妙を統合できる「グランド•ホテル」形式のバリエーションとも言える本作は、優雅で古式なロンドをモダンに踊りこなしてみせる。リズムと華をかねそなえたそのステップさばきの妙には、ただただうっとりさせられる。

Only Lovers Left Alive(Dir:Jim Jarmusch)

「Ghost Dog」や「Broken Flowers」といったカリスマ俳優主導の作品もいいのだが、ジム•ジャームッシュが彼本人の個人的なフェティッシュに暴走すれば暴走するほど面白くなってもいる近年。仏頂面コメディを飄々と演じる「呪われた恋人達(ヴァンパイア•ラヴァーズ)」のシュールさも抜群だし、彼のロック愛が目に見える形で表出している意味でもものすごくチャーミングな、音楽が感じられる映画。

The Double(Dir:Richard Ayoade)

リチャード•アイオアディの長編2作目は、ドストエフスキーの短編小説が素材。「分身」というタイトル通りドッペルゲンガー譚/寓話の一種であり、ゴーゴリ/カフカ流のブラック•ユーモアも巧みに織り込まれている。前作「Submarine」はリチャードの愛するヌーヴェル•ヴァーグとウェス•アンダーソンが強く感じられたが、原作のロシア=旧共産圏色が引き金となったのか(?)本作でのヴィジュアルと閉塞感はかつてのアキ•カウリスマキやゴダールの「Alphaville」を思わせてこれまたナイス。「The Trial」系の不条理なストーリーでありながら、「現代社会の風刺」云々の重苦しさ――それは寓話をベースとするこうした映画の前提だ――に引きずられることなくユニークなトラジ•コメディとしてまとまっているのは、達者な主役2名:ジェシー•アイゼンバーグとミア•ワシコウスカのエアリーな存在感も大きいだろう。ちなみにこの作品で筆者の脳裏にもっとも焼き付いているのは、坂本九の「上を向いて歩こう」(英題は「Sukiyaki」)が流れて主人公のエモーションを伝える感動的な場面(ジャッキー吉川とブルー•コメッツの「ブルー•シャトウ」という選曲にもうならされたが)。ポール•トーマス•アンダーソンがピンチョンに挑んだ「Inherent Vice」でもチラっと使われていた同曲、いまだ誰も乗り越えていない「日本語ソングの全米1位」の浸透ぶりを感じると共に、純粋に「いい曲だなぁ……」としみじみ感じ入ってしまった。

Snowpiercer(Dir:Bong Joon-Ho)

原案はマンガやゲーム、舞台を未来に据えたSFアクション……という映画は増加の一方で、頭を空っぽにしたい時のエスケープ手段として自分もよく観る。だがこの作品の持つ妙なクセは、大抵は1回観たら忘れてしまうアメリカ的なエンタメ•スペクタクルとは異なるサムシング=リピート鑑賞を促す引っかかりを残す。原作はフランス産のグラフィック•ノヴェルで監督は韓国人、主役こそマーヴェル作品で知られるクリス•エヴァンスながら重要な役回りのキャストはUK発という「非ハリウッド的」な構成――これにもっとも近い感覚はギレルモ•デル•トロ作品だろう――も、そのひねった印象を増す。「1984」型のディストピアン世界を描くストーリーも充分に面白い&キャラもいい。が、何かというと「空を飛ぶ」「爆弾が四方八方から追撃」「蜂の巣銃撃戦」「常に無傷なヒーロー」に向かいがち:物量&メカ重視の派手なドンパチの連続に感覚が麻痺させられるアメリカン•アクションとは異なり、列車内が舞台で火薬も限定と制約の多いこの作品はクレヴァーな水平方向のアクション&刃物や格闘技主体の白兵作劇で魅せる(それとは逆に、垂直に絞られた割と最近のブリリアントなアクション映画でハマったのが「The Raid」)。
こういうのに喜んでしまうのは、平屋でのチャンバラ時代劇やカンフー映画の体当たりな超技を普通に観ながら育った日本人ゆえかもしれない。しかし「銃に騎馬」の西部劇をルーツとする古典的なアクションのモダナイズという意味で、「The Lone Ranger」に負けてない。ちなみにこの作品はキャストもふるっている。本リストの「The Grand Budapest Hotel」、「Only Lovers left Alive」も含めればハット•トリック!なティルダ•スウィントンのサッチャーを思わせる戯画調演技を筆頭に、「大きくなったねえ」と泣かされるジェイミー•ベル、数分で画面に重みを与えてしまう名優ジョン•ハート&エド•ハリス、ラテンな顔立ちの陰りが素敵★な新鋭ルーク•パスカリーノら英米勢はもちろん、ポン•ジュノの「グムエル」に出演したソン•ガンホとコ•アソンが再び親子を演じているのもナイス。「The Good,The Bad,The Weird」でのキャラにも通じるここでのソン•ガンホの怪物ぶりは相変わらず抜群で、ジェラール•ドパルデュー的な「王道美男俳優とは異なる道」をこれからも邁進してほしい。

●TV:

True Detective:Season1(HBO)

完全にオリジナルな新シリーズという意味で、「2014年テレビ」の勢いを象徴する話題作。ストーリー/演出/プロダクション/キャストとどれをとっても一級で、DVDで何度も見返して台詞やシーンを反芻する喜びは大きい。テレビ界の野心が映画をしのぐことを証明してみせた傑作。

Toast Of London:Series2(C4)

イギリス産コメディで、ゆえに日本に達する可能性はゼロに近い(=無駄)……とは思いつつ、看過できない秀逸な作品。前シリーズがカルトな人気を博したことでめでたく登場と相成ったこの第2シリーズは、評価を踏み固めるべくアピール要素/愛されキャラや「待ってました」なオチを拡張•進化させると共に、前シリーズ以上にシュールで大胆な(アホな)プロットをがんがん投げ込むそのバランスが絶妙だ。原作者にして主役のスティーヴン•トースト(売れないくせにやたらプライドが高い、あらゆる意味で時代遅れな中年俳優)を演じるコメディアン/ミュージシャンである鬼才マット•ベリーの見事な代表作だと思う。

Game Of Thrones:Season4 (HBO)

あああああ! もうじきシーズン5もオン•エアされますねぇ!!……ということで、心が高鳴っております。ともあれ2014年海外放映のこのシーズンは、ダイナミックなストーリー展開と「世界的な大ヒット作」という自覚•誇りと勢いを手にしたクリエイター陣のノリっぷりとが相まって、毎エピソード見応えのあるトータル力の高い内容になっている。このクオリティを次シーズンでも維持してほしいところ。

Cardinal Burns(C4)

キャラクタ―重視のシットコムがもてはやされている現イギリスでコメディ•スケッチはここのところあまり奮わないが、その潮流に反旗を翻す2人組がセブ•カーディナル&ダスティン•バーンズのコンビ=カーディナル•バーンズ。スケッチの妙は「今笑える」巧みな風刺であり、コンテンポラリーなポップ•カルチャーの暗黙コードに多くを追うゆえに、すぐ時代遅れになる率は高い。また、数分の枠でケリをつけなければいけないスケッチ形式はアイデア&キャラの強さがポイントで逃げ場がないため、ギャグの当たり外れの幅も大きい。それでもリピートしたくなる名キャラ群の数々を新たに生み出した本シリーズは、スタジオ内のセットに終始しがちなコメディらしからぬ映画的なプロダクションも含め、近年のスケッチ番組でも出色の出来。

Detectorists(BBC4)

またコメディかよ……と我ながら笑ってしまう。というのも、イギリス産ドラマは他にも色々と注目•話題作があり、新規なオリジナル作では主演のマギー•ジレンホールが光った政治サスペンス「The Honourable Woman」、児童失踪という重いストーリーを知的に扱った(オランダ映画「The Vanishing」と「True Detective」の構成を併せ持った内容と言っていい)力作「The Missing」が浮かぶし、シリーズものでも「Line Of Duty」や「Peaky Blinders」は第2弾でドラマ•パワーを増していたから。しかし緊迫した国際政情だのダークな犯罪ドラマをフォローしがちな性向ゆえに、逆に電気毛布にくるまれるようにまったり和めるこのドラマに惹かれてしまうのかもしれない。タイトルは「Metal Detector」(=金属探知機)から派生した造語で、地中に眠る前世紀の貨幣•アクセサリー他の遺跡を追い求める人々が主人公。中古レコードの山を掘って「埋もれたお宝」を探し続ける輩に、ちょっと似ている? 「The Office」や「Pirates Of The Caribbean」でおなじみの個性派:マッケンジー•クルックが脚本•監督•主演と才能を発揮した作品で、イギリスらしい自虐ユーモアと日常的な軽いペーソス、しかし風変わりなキャラ達を笑いの対象に貶めるのではなく愛情を持って描いた内容はプチ秀作の名にふさわしい。マッケンジー•クルック演じる主役:考古学者に憧れるダメ男アンディの、同じくらい情けない相方:ランス役のトビー•ジョーンズの抜群な演技を筆頭に、アンサンブル•キャストも素晴らしい。

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Mariko Sakamoto について

Hi.My name is Mariko.Welcome to my blog,thanks for reading.坂本麻里子と言います。ブログを読んでくれてありがとう。
カテゴリー: film, music, TV タグ: パーマリンク

My Favourites–2014 Edition への8件のフィードバック

  1. DLコードほしいです!
    個人的には巷の雑誌やブログよりも一番しっくりくるリストでした。
    ちなみにずっと聞きたかったのですが、ブログタイトル画面の左上のアルバムだけ何かわからないんですが、ヒントを頂けませんか?

    • Mariko Sakamoto より:

      edamamedonさま

      こんばんは。ブログ読んでいただいた上にコメントもいただきありがとうございます。
      今のところ応募いただいているのはedamamedonさんだけなので、このまま何事もなければゲットできるでしょう!

      お問い合わせいただいたブログタイトルの左上の作品ですが、確かにあれはちょっと分かりにくいトリッキーな1枚です。
      「Blue Telephone」に引っ掛けて青がメインの好きなアルバムのジャケットを床に並べて写真を撮ったのですが、あのジャケだけは
      肝心の「青い」部分(=ジャケの左方向に偏っている)が写真の中で活かせなかったです。
      ヒントは:1985年発表のアメリカ人アーティストの作品。この人の作品は、1985年前後のアルバムは
      どれも好きなので実はどれでも良かったのですが、「青」がジャケで目立つのはこの作品だったという次第。
      そういえばタイトルはずっと変えていないので、ここらで何か別の大好きな「青」いアルバムを並べてみるとしますか。

      • 表紙のアルバム、わかりました。正直。アメリカ

      • 坂本様

        丁寧にお返事くださってありがとうございます。

        表紙のアルバムわかりました。ブログタイトル内では一番メジャーなアーティストかもしれなかったです(笑)

        タイトルにもあるフレイミングリップスの日本盤解説の坂本さんの文章は大変印象に残っています!

      • Mariko Sakamoto より:

        edamameさま:
        割とすぐにピン!とくる作品ですが、ああやって細部のイメージをクロップすると分不可解ですよね。知名度という意味では、確かにあそこに並べたアルバム群の中では、ジョニ•ミッチェルと並んでもっともメジャー=名前の知れた人かもしれません。
        リップスの日本盤の解説についても、わざわざ感想ありがとうございます。今の彼らも好きですが、「Transmissions〜」から「〜Bulletin」にかけてのリップスはやはり黄金です。

  2. 色物みたいな名前ですみません。初めまして!ブログはたまに拝見させて頂いておりましたが、
    DLコード欲しさにコメントしてしまいました。笑 空気ぶち壊しですみません。。
    正直去年は新譜もあまり買いませんでしたが、マックデマルコとエンジェルオルセンはよく聴きました。今日久々にレコ屋行って、TVオンザレディオのSeedsが麻里子さんの解説だったので、お!と思い手にしましたが買わずに帰ってしまいました笑
    去年はブレイキングバッドにドはまりして、二周目視聴中です笑 TVオンザレディオのDLZも途中で使われていて、というか使用曲もやばかったので、惚れ込んでしまいました。Dear Scienceから持ってきているのもニクかったです笑 長々とすみません!

    • Mariko Sakamoto より:

      山瀬ノスフェラトゥさま:初めまして。コメントいただきありがとうございました。「DLコード欲しい」でまったく問題ありません……知り合いに貰い手がいないので、このまま無駄になるのはもったいない>>だったら、聴きたい方に譲るのがいいだろうと思う次第です。「Breaking Bad」はハマるドラマですよね。アメリカよりも着火の遅かったイギリスでは、いまだにたまに「ハイゼンバーグ」ファッションを真似たなおじさんを見かけます。スピンオフの「Better Call Saul!」ももうじきNetflixでスタート。果たしてどうなるか……ともあれ、ブログ読んでいただきありがとうございます。

    • Mariko Sakamoto より:

      山瀬さま こんにちは。例のDLコードですが、山瀬さんにお送りすることになりました。後ほどメール差し上げます。坂本

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