Beat of My Own Drum: 48.Buzzcocks

長いこと頭に引っかかっていたものの、タッチすることのないままなんとな〜く過ぎていたこの愛すべき曲を今日は取り上げます。バズコックスの数あるアルバム未収録の名シングルのB面から、「Why Can’t I Touch It?」。

<シングルのA面は「Everybody’s Happy Nowadays」>

この曲を知ったのはバズコックスのシングル•コンピ集「Singles Gong Steady」がきっかけだった。

バズコックスは、たぶん日本においては「パンク•バンド」の代名詞=ピストルズやクラッシュのレベルまでは知られ•愛されていないバンドのひとつじゃないかかと思う。しかしイギリスに暮らしていると面白いのが、バズコックスやマガジン、ワイアーやストラングラーズといった「ちょい地味/二番手」的なイメージを持つアクト達の、母国における根強い人気と定着ぶりに気づかされる点だったりする(特にストラングラーズとマガジンは、なにげにしぶとく支持者が多い)。60年代に置き換えれば、ビートルズ&ストーンズ両巨頭の世界的な知名度&人気にまでは達しないアクト=ザ•フーやザ•キンクス、スモール•フェイセズの浸透ぶりをイギリス人の中に目の当たりにさせられるのにちょっと似てる?かも。

ちなみに言うまでもないことですが:知名度や人気やセールスといった「数」の尺度が、彼らの作り出した音楽そのもののクオリティと等価だ、と言ってるわけではありませんので誤解なきよう。

んなわけで「Singles Going…」は何の気なしに色んな場面で(:パーティで酔っぱらった誰かが「バズコックス!」とリクエストした際の安全弁、深夜のレコード•リスニング大会でのブレイク〜和み策etc)活躍してきたコンピなんだけど、ある時半ばぼんやりしていた時に流れてきたこの曲をフニフニと聴いているうちに、突如フレミング•リップスが浮かんできて仰天させられた。時期としては「ヨシミ」〜「ミスティックス」あたりのリップスで、ウェインが歌っていてもまったくおかしくない曲ではないだろうか。

別に「リップスがバズコックスをパクった」と言いたいわけではないし、あくまで「フィーリングに相通じるものがある(気がする)曲」という主観的な感想に過ぎない。ゆえに「全然共通項が感じられない♨」と感じる方がいてもおかしくないだろうし、もしかしたら単純に高音ヴォーカルに引っ張られただけの感想かもしれない。しかし、こういう風に過去ーーバスコックスのこのシングルは1979年リリースーーがうにょうにょ〜と自分にとっての個人的なリスナー時系列とその理解とに流れ込んでくるのは、驚き/興奮/恐れ/喜びの入り交じる複雑な経験だったりする。

こういう驚きに触れて、「自分は無知や、アホや…」と首を垂れることはしょっちゅうなんだけど、と同時に、自分がまだ知らない世界はこんな風にいくらでも待ち受けているんだわ!と嬉しくなってもしまう。人間、「何もかも悟った」と満足してしまったらおしまいじゃないでしょうか。

……といった無知を棚に上げる自分話はさておき:バスコックスがもはや「パンク」の狭義に括れないバンドであることを証明した一例と言えるこの曲、サイケデリックな味わいもさることながら、シュールな歌詞は今聴いても違和感がない。要約すると「見えるし/感じるし/味わえるし/聞こえる/それくらいすごくリアルなのに/じゃあなんで触れることができないんだ?」って内容のこの歌詞、バイであるピート•シェリーの抱えていたフラストレーションが淡くにじむと同時に、ヴァーチャル度が高まる一方な今の世界に生い茂るもどかしさの薮を前にした時の感慨にも被るものがある気がするのです。

ちなみにこの曲はライヴァル•スクールズもかなり忠実にカヴァーしていた。ウォルター•シュレイフェルズが在籍したゴリラ•ビスケッツもバズコックスの(これまた素晴らしい曲)「Sitting Round At Home」をカヴァーしていたし、彼のDNAのひとつみたいですね。

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Mariko Sakamoto について

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