Beat of My Own Drum: 74.Barry Hines

<イギリス映画の隠れた名作のひとつ、「Kes」より>

今回はまたも(またも!)追悼ネタになります。と言っても音楽関係ではなく、英ヨークシャー出身の作家バリー•ハインズが亡くなった、というニュースに接しての思いを少々。

バリー•ハインズと言われても、すぐにピン!と来る方は多くないと思う。こう書いている自分も、この人の書いた本は一冊しか読んでいない。が、その一冊「A Kestrel for a Knave」が、ケン•ローチの初期の傑作のひとつ「Kes」の原作であると言えば、英映画ファンには「ああ…」と思い当たるんじゃないだろうか。

家庭でも学校でもはみだしっ子でいじめられ、小突き回され、孤独を抱えた少年:ビリー•キャスパーと、彼の唯一の友であるハヤブサ種の鳥(kestrel)ことケスとの交流を描いたこの美しくも胸が張り裂ける映画は、舞台となった1960年代末の英北部ヨークシャーの田舎(=バーンズリー)はもちろん、当時のイギリスの学校教育システムや一般庶民の生活風俗をドキュメンタリー調に捉えていて、初めて観た時はショッキングですらあった。今から47年も前に発表された映画ながら、核になるメッセージとエッセンスはまったく古びていないと思います。

バリー•ハインズと言えば「Kes」だとばかり思っていたんだけれど、イギリス人と色々と話していた中で、何度か「Threads」という作品の話も出てきた。これはバリー•ハインズの原作に基づき1984年にBBCが制作したテレビ•ドラマだそうで、英北部シェフィールドを舞台に、核戦争の恐ろしさを描く…という内容だそう。カルト•ドラマとしても知られているんだけど、この作品について訊ねると、観たことのあるイギリス人はまず大体「絶対に、もう観たくない」、「観てトラウマになった」、「今まで観たドラマの中で、いちばん怖い」という反応を返してくる。相当に暗い内容みたいです。というわけで、以前から「いつか『Threads』は観るぞ」と思っていたんですが、バリー•ハインズ追悼の意味で、近々なんとか作品を入手して、観てみるつもりです。

ともあれ:なかなか表舞台に立つことのなかった、イギリスの地方の「声」を代弁した作家のひとりであったバリー•ハインズとそのヴィジョンに、冥福を。

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Mariko Sakamoto について

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