Beat of My Own Drum: 88.Davy Graham

珊瑚色の夕焼け雲が、数分後には色を変え、空に横たわる大らかなクジラに見えていた…なんていう、秋らしい風情が深まっています。朝晩の爽やかな空気もこの時期ならではですが、そんな気分にぴったりのブリティッシュ•フォークの逸材:デイヴィー•グレアムの曲。

<〝めくるめく〟という形容がぴったりなパフォーマンスです>

これはご存知、ジョニ•ミッチェルの代表曲のひとつなんですが、収録された名作アルバム「Large as Life and Twice as Natural」のジャケットを眺めたところ、デイヴィーはジュディ•コリンズ版を聴いてこの曲をカヴァーすることにしたんだとか。そちらとはアレンジも唱法もムードもかなり違う解釈で、若い頃にモロッコ他を旅したこともあったというデイヴィーの音楽的な引き出しの多さを感じます。ジョニのヴァージョンももちろん素晴らしいんだけど、この流れ行く雲のような滑走感はどこか浮世離れしたスナフキンなキャラ(バート•ヤンシュといった同輩フォーク勢の生真面目な「学徒」的姿勢からは、やや逸脱したところにいる。ユーモラスな「軽み」があると思う)というイメージの強い、デイヴィー•グレアムならでは。

しかもこのヴァージョンでは、最初のヴァースを「ムムム〜…」というランダムなハミングとラーガ風な2分以上のオープニングに集約していて、肝心なはずの「歌」の部分は第2ヴァースからスタートする仕組み。自分の好みで勝手にジャズ•フォークに編集しちゃってるわけですが、こういうのこそ、カヴァーの優れたマナーではないでしょうか? にしても、ジョニのメロディの感覚はすごい。動きがアクロバティックなのに自然に聴ける。

そんなわけでリピートして聴いているんだけど、このジャケのイラストそのものも、デイヴィーの放埒なそれまでの半生や、その動きを通じて彼が拾ってきた様々な影響(中東、インド音楽etc)を絵で集約しているようで印象的。そこでイラストに署名されたDavid Ansteyという名前をチェックしたところ、あれまー、この人はムーディ•ブルースの出世作「Days of Future Passed」のイラストを筆頭に、デラム/デッカにおいて(おそらくハウス•デザイナーとして)サヴォイ•ブラウン、メロウ•キャンドルなんかのジャケを手がけてきたらしい。そう思うと、自分の知らない/気づかないところで、サブリミナルな影響は受けているのかもしれないなぁ、と思った次第。それでもやっぱり、自分はムーディ•ブルースはハマれないんですけどね。ごめん。

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Mariko Sakamoto について

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Beat of My Own Drum: 88.Davy Graham への4件のフィードバック

  1. スギモト より:

    davyだったりdaveyだったりするgraham. アナログ盤はどれもくそ高い!高すぎる!HATとかはアナログで欲しい。ジャケットも良いし、顔もすきなので。しかし色々聴いてますね、流石です。
    p.s. 最近H.M.S. donovanを安価でゲット(当然アナログ)素敵過ぎる。。。

    • Mariko Sakamoto より:

      スギモトさま:って、このメッセージはmakiさん発でしょうか? たぶんそうだろうと思いますが、そうだとしたらおひさしぶり&お元気でしょうか(もしもmakiさんじゃなければ、馴れ馴れしくてすみません)。
      デイヴィーは確かに伊達男なのでアナログで欲しいけど、私はHATはCDのみです。でもアナログとはジャケ違いで、それはそれで好き。ちなみに知人がLarge As〜のオリジナルのDECCA盤を慈善ショップで70ペンス(!しかもコンディションも良い!)でゲットして、さんざん自慢されて悔しい。HMS Donovanはちゃんと聴いたことがないのでトライしようかな〜。どうもドノヴァンは、Hur Gurdy ManとBarabajagalあたりで立ち止まっているので。ともあれ、わざわざメッセージありがとう。

  2. スギモト より:

    10年くらい前、荻窪の古本屋の店先で100円でwilliam eggleston’s guideを入手。あとで調べたところしばらく絶版だったMOMAの展覧会用カタログの1st editionで4~5万円の価値のある写真集である事が判明!さすがに日本でdaveyのアナログが100円で手に入る事はないだろうが、field workはやはり大事である。h.m.s. donovanはbritish folkの大名盤なので聴かないのはもったいない。今すぐyard saleにgoだ!海賊盤のCDあげようか?

    • Mariko Sakamoto より:

      エグルストンのカタログって、76年のあれ、ですか?! すごい&羨まし過ぎる(こればっか)! 辛抱強さがないんで、そういうラッキーな目に遭遇したことはまずないです。でも、今ロンドンで開催中のエグルストンの「ポートレート展」はもうじき行く予定。生のプリントを観るのは初めてだから楽しみ。ドノヴァンは気をつけるようにしますわ〜

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