Steve Reich’s Different Trains@QEH,10April/2018

お色直しされたQEH。

「Differenet Trains」演奏中の模様。

今回は久々にライヴ体験記。っていうか、もう1ヶ月以上も前の話ですが。

このコンサートは、スティーヴ•ライヒの弦楽カルテット向け作品「Differenet Trains」の初演から30周年を祝う企画イヴェントだった。クロノス•カルテットの盤でご存知の方も多いかもしれないこの作品、2年前にリヴァプールの駅で上演されたことがあり、そちらには行けなかったのでとても楽しみにしていた。

いそいそとサウスバンク•センターに向かったが、このコンサートは同施設の1つであるクィーン•エリザベス•ホール(1967年オープン)改装後のこけら落としイヴェントのひとつでもあった。外観の60年代コンクリ建築っぽさこそ変わっていないとはいえ、内部はバーのレイアウト他も変わって以前よりも通気が良い雰囲気になった印象。肝心のオーディトリアムも床•座席等がリニューアルされグレード•アップしていたし、音響も言うまでもなく素晴らしかった。

演目は、まずはザ•ナショナルのブライスのコンポジションから。ロンドン•コンテンポラリー•オーケストラのカルテットによる演奏は、アルペジオで急襲するドラマチックかつダークなトーンだ。そちらがクラシック音楽的な曲だったとしたら、続く2曲目はアトーナルな不協和音から始まり、弦のベンディング、ドローンがよく効いた現代音楽調でまた別の味わいだ。ヴァイオリンの響きも美しかったが、やはりアーサー•ラッセルを想起させるチェロのふくよかな不穏さが心地よい。

続いて、ミカ•リーヴァイのコンポジション「You Belong To Me」。映画サントラでめきめき躍進中の彼女だけれど、この曲の繊細さとイメージの豊かさは期待に違わぬ素晴らしいものだった。ダンス音楽他にも腕を伸ばしているし、今後も目が離せない才能だ。

続いてブライスのソロで「Electric Counterpoint」。アルバム版「Different Trains」のB面では、パット•メセニーが演奏したギターとテープによるコンポジションだ。寄せては返すミニマルなリフの点描、アジア風パッセージ、ハイライフ風……と徐々に変化していく様にはやはり酔わされます。

いよいよ、メインの「Differenet Trains」。カットアップされループされた人々の声が浮かんでは消える中、弦楽カルテットは張り詰めた演奏を展開していく。その人声の抑揚や響きを、ヴァイオリン他が細かくなぞってハモらせる場面には軽く痺れました。このパフォーマンスはビル•モリソンという映像作家による短編映画付きで、ヨーロッパからアメリカにかけて、列車や駅、線路を捉えた第二次大戦期の記録フィルムを用いた映像がシンクロ上映される内容だった。アイデアそのものは納得……とはいえ、音楽だけでも充分にイマジネーションが刺激されたし、作品の背景•文脈を「説明」するタイプの映像だっただけに、音楽がサントラになってしまった気がした。かつ、ナチス収容所のショッキングな映像が混じるシークエンスは、どうしてもそちらに目が行ってしまうこともあり、音楽に集中するために後半は目をつぶって聴きました。既に存在する映画にオリジナルのスコアやサントラを作る、というのは多いけれど、その逆は案外難しいのかもしれない。ともあれ、カルテットの一糸乱れぬ力演も含め、ライヒ音楽の魅力と、彼が若手に与えている影響を味わえた、良いコンサートでした。

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Mariko Sakamoto について

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