日々の雑感:鳥、猫、レコ屋。

 一昨日はピンク・ムーンの晩だった。もしかしたら見れるかな?と期待していたんですが、残念ながら曇り空でした。

 そんなわけで『DUNE part 2』を鑑賞することにしたら、月ではなく砂漠には奇妙な太陽が昇っていた。前作も素晴らしかったけど、今作も『不思議惑星キン・ザ・ザ』というか、『風の谷のナウシカ』というか、『最後の戦い』というか、実にゴージャスな「異界」感を堪能〜〜! ヴィルヌーヴの映画作りはますます「見せつつ」、でも「説明しない」体感型になっていて、大胆な編集のリズムが気持ちいい。チェックしたらこのエディターさん、ヴィルヌーヴの諸作はもちろん『The Creator』(これも、かなり面白かった)も担当したんですね。

 この手の「スペース・オペラ」とか「ファンタジー巨編」って、やっぱり戦闘場面はスペクタクルなセット・ピースとして目玉になるケースが多いんだけど(例:ピーター・ジャクソンの『指輪』&『ホビット』シリーズ)、そこらへんがあっさりしていて、逆に新鮮かつ痛快(でも、白兵戦やチャンバラ好きな人には物足りないのかもしれない)。……と書いたが、もしかしたらこのテンポは、原作が超大作なので仕方ないのだろうか? ともあれ、165分の長さがまったく気にならず、世界に引き込まれました。

 にしても、MCU出演者が多いのは、ある意味微妙だなぁ。ドラックスが、サノスが、MJが、エレーナが、ジェーンのお父ちゃんが……他にもいるけど、観ていてたまにフラッシュバックする。まあ、それだけこの映画が「今の人気アクターを総結集」な内容だってことなんでしょうが、この作品でブレイクする役者が出て来て欲しいところです。そう言いつつ、たぶんやっぱり、『Furiosa』は観てしまうだろうな。

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 以前に書いた巣箱ですが、まだ鳥(たぶんミソサザイ)が往復する姿は見かけます。警戒されないように、なるべく近づかずに遠目に観察してるんだけど、ヒナがピーピー鳴いてる音は聞こえない。巣箱の中はどうなっているんだろう? 子育て用ではなく、別荘OR仮住まい? まあ、望遠鏡は持ってないし、気が向いたら眺める程度のランダムな観察なんで、色々見落としてるんでしょうが。もうしばらく様子見ですな。

 でも数日前の朝に、シジュウカラが巣箱をチェックしに来た場面を目撃したのは面白かった。他の鳥の使ってる物件なのにガン覗きに来るなんて、なかなか無作法&失礼な連中です。そのせいか(?)、鳥たちの動きがにわかに激しくなったのでちょっと眺めていたら、コマドリさん登場〜。

 コマドリは、オレンジ色のチョッキもナイスな愛らしいルックス……なんだけど、小鳥勢の中では一番大胆不敵だと思う。窓のすぐそばまでひょこひょこやって来るし、人間が見えてもなかなか飛び立たずに、じーっとこっちを凝視したり。肝が据わってます。

 なのである意味キャラが立っていて自分は好きな鳥なんだけど、この日登場したコマドリさん……丸い……丸過ぎるよ! ほとんどもう、空飛ぶゴルフボール? ぽんぽこにポッチャリ。それでも窓の近くまで飛んで来て、あれこれついばんでいるので、古くなったパン屑を提供してみた。

 パンは栄養価が低いので、鳥のエサとしては良くないそうです。ただ、物価高で、以前たまに置いていた乾燥ミールワームも高くてね……ごめん。ともあれ、パン屑を置いて屋内に引っ込んだところ、間髪入れずにゴルフボールが飛来。しかしこの時は、茶色くてごま塩で地味な鳥も一緒についばんでいた。コマドリは縄張り意識が強いので、他の鳥が近くに来たら蹴散らすんだけど、ゴルフボールが、なんと口移し(っていうかクチバシ移し?)で、この鳥にパンを与えているではないか。可愛い〜〜。

 鳥の場合、オスが派手な見た目でメスは地味、というケースは多い。なので、「あれは夫婦の触れ合いだったのかな?」と思ってネットをさらってみたところ、コマドリの成鳥はオスもメスもそんなにルックスに差が無いらしい。なのであれはたぶん、お母さんORお父さんが、子供にエサを食べさせていた光景だったんじゃないか?と思います。春に子供は巣立つのね……と、つかの間ですが、ほっこりしました。

 子供と言えば、先日、子猫が大漁。あれは一種、シュールな光景だった。

 何が目的だったのかよく覚えてないんだけど、たまたま日曜の朝にカメラを持って外出。自分の住まいから歩いて15分くらいのエリアをぶらぶらしていたら、通りに猫が5匹くらいいた。乳離れはしていそうだが、明らかにまだ子猫な連中が、わらわらしている。しかも、みんなキュート。

 一瞬、「去勢されていない野良猫が、路地裏で産んだ子供?」と想像したのだが、筆者の存在に気づいた1匹はそそくさと窓越しに目の前の家の中に避難。野良ではなく、一応、家はあるみたいです。ちょっと安心したし、少しずつ近寄っても逃げない子もいたので、人にはそこそこ慣れている模様。

明らかに兄弟か姉妹ですね。無邪気にじゃれてます。
この子は一人だけ、明らかに毛並みが違う。先住猫??

 しばし、彼らがのほほんとしている光景を観させてもらいました。このエリアは、よく水道工事をしていてパイプから水があふれるようですが、猫もあふれるんだなと思うと可笑しかった。ともあれ、再会したいので、時間があったらこの家の前を通りかかろうと思います。

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 この猫町のすぐそばに、レコード屋=Lorenzo’sがあります。自分の住んでるフラットから、徒歩圏内にレコ屋が登場!と盛り上がった……のは、実はかれこれ4、5年前だったりする。ブログに書こう、書こうと思っていたのに、ズルズルと時間が経ってしまいました〜。パンデミック期の、みんながまだマスクを被っていた頃の店内の写真が以下です。

 このお店は、以前はペッカムの屋内マーケットにあった。しかしまあ、家賃高騰だの色々あったのだろう、店長のロレンツォさんが近所に移転。小さいながら、落ち着ける店内。丁寧にキュレートされた品揃えは中古8割、新譜2割くらいのミックス。基本はダンス・ミュージック系ですが、ロックも少し置いてあるし探せば色々と出会いもあるはず。ロレンツォさんの趣味は、お店のシャッターのストリート・アートの顔ぶれを見れば、なんとなく掴めると思います。

店長さんが特注したシャッター・アート。ギル・スコット・ヘロン、サン・ラー、教授、ホルガ―、プリンス。下段の真ん中がすぐにピンとこなかったので店長に訊いたら、「マエストロだよ!」の回答。
ロレンツォさんはイタリア系なので、モリコーネは外せない、と。

 徒歩圏というか、家からは20〜30分くらい歩く覚悟で到着するエリアであるデプトフォードにも、去年の冬に中古レコード屋がオープンした。名前はUpside Downで、もちろん、ジーザス&メリー・チェインの曲にあやかってます。以下の写真は、オープン初日の模様。レコードおじさんたちがサクサクしてますね。

犬が、ちょっと寄る辺なさそうですな。開店時の写真なので壁は殺風景ですが、
今はちゃんと壁にもレコードが飾られてます。
Upside Downは、以前はロンドンの庶民の食堂=パイ&マッシュ店でした。
その旧サインはある意味「味だし」なので、そのまま残してくれそうです。

 このショップは、キャンバーウェルにあったレコ好き&ディガー御用達のお店=Rat Recordsの元スタッフが立ち上げた。Rat Recordsが22年に長い歴史に幕を下ろした時は、南ロンドンの音楽ファンはがっかりしたはず。でもこうして、その精神を受け継ぐ次世代ががんばってくれてるのは、暖簾分けみたいで、泣けますね。

 今のところ、Upside Downは中古ヴァイナル9割。ジャンルは特に「これ」と固定されていないので、ロカビリーからテクノまで、色々出くわします。お店の雰囲気もナイス&スタッフもフレンドリー。また、「レア盤、輸入盤他の高価な作品に重点を置く」のではなく、「フツーに聴きたい作品を、手頃な値段で回転率良くガンガン回す」ことで人気のあったRat Recordsの精神に則っているので、リーズナブルな作品にも出会えます。新作レコードはやはり東ロンドンとウェスト・エンドのショップに頼るしかないんだけど、Lorenzo’sもそうですが、レコ好きのオアシスがちょっと増えている。

 ……と書きつつ、南ロンドンのレコ屋でやっぱり外せないのが、グリニッジにある老舗のMusic and Video Exchange(通称MVE)。ここはチェーン店で、過去には関連ショップも含めてロンドン内に数店舗あった。しかしレコ屋という意味では、キャムデン店が何年か前に店じまいした後では、現在はポートベロー店とこのグリニッジ店だけになってしまった。マーケットのあるエリアは観光客も多いのでエクストラな客足を見込めるけれど、そのぶん家賃が高いのだろうなぁ。

 ここも中古ヴァイナルが主体で、そこそこ広い店構えなので、78回転からローレル・へイローまで、とにかくマジにオールジャンル。地下一階もあって、そちらではバーゲンCDやアナログ、DVD/ブルーレイ、カセットテープ等がわんさか。ジャンル区分を細かくやっているので、じっくり時間をかけてサクサクすれば、何かしら欲しいものが見つかるお店だと思います。

 店員教育が徹底してるので、価格設定は正確&慎重なお店。レア盤は、きっちり高いです。なので、ドカン系の掘り出し物はしつこく通わないと出くわさないかも? 筆者はバイアグラ・ボーイズのアナログを探してるんですけど、なぜかなかなか出会いに恵まれない。

 なーんて、あれこれと書いたのは、先日がレコード・ストア・デイだったから、というのもあると思う。このブログでも、RSDに関しては過去に何度か書いたことがあるけど、すみません、近年は足が遠のいてます。

 それはたぶん、イギリスではヴァイナルの売上が毎年伸びていて、レコード店文化もひとまず一部のストリーミング世代に浸透したようだ、という安心感のせいだろう。また、独立系で奮闘している個人経営のレコード店にとっては、この日がクリスマス時期並みの貴重で重要な書き入れ時であろうことは、重々承知です。

 ただ、ここ数年のRSDは、カラー・ヴァイナルだの、ボックスだの、人気アーティストや名盤のスペシャル再発だの、高額な限定版が多い印象。今年のラインナップにはフリートウッド・マックの『噂』再発も混じってたけど、いったい何回再発されるのやら……。自分的に嬉しい貴重な再発作品や新作には年間を通じてあれこれ出会えるし、安定のベストセラー志向~モノカルチャーの影響でRSDも様変わりしているようだ。

 一説では、メジャー会社の作品がRSD向けにプレス工場のスケジュールを占めてしまうので、そのしわ寄せでインディ系の作品が後回しにされることもあるらしい。しかもウクライナ侵攻以来、原油価格が上がったのでレコード価格も上昇している。少し前に買ったドナルド・バードの『Electric Byrd』のブルーノート&サード・マンのコラボ再発は、ノーマルなブラック・ヴァイナルですら40ポンドもした。まあ、リマスター作業を始め、手間ひまかけて作ってるから、ということでこの値段が正当化されるんでしょうし、中古オリジナル版の高価さに較べればありがたい話なんですけどね(サード・マンと言えば、先月知人がコンサートを観に日本から来たので、ご飯を食べがてらお土産買い物にお付き合い。その際にカーナビー・ストリート近くにあるサード・マンのショップにも行ったんだけど、紙製のブックマッチが5ポンドだったのには、思わずふたりで大笑いしたっけ。いくらなんでもぼったくり過ぎだろ、ジャック……)。

 というわけで、「レコード・ブーム」が叫ばれるものの、その実態は様々なのだと思う。中古マーケットに関しては、昨今のシビアな物価&生活費上昇の煽りで消費者の財布のヒモが締まり、最近はDiscogsの動向もさっぱりだ、と上記のレコ屋の面々もこぼしていた。一方で、「今が狙い目」とばかりに、底値のCDを漁るフィジカル志向の音楽マニアも出て来ているとか。新品のアナログ1枚分に相当する額で、CDなら新作2枚くらい、中古なら4〜5枚は買えるもんね(CDにはアナログ再発の見込みがまずなさそうな作品や権利関係で廃盤のままなアルバム、またアルバム2枚を1枚に収めたヴァージョンなんかもある)。

 時代の主流は全体的にストリーミングに向かっているので、こうした話はあくまで「一部の愛好家の話」ではある。だが、レコ屋文化も再び変化の時を迎えているのかな、と感じました。

おまけにもう1匹、近所の猫写真。確実に飼い猫で、愛嬌あり過ぎ。

Mariko Sakamoto について

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