Beat of My Own Drum: 86.Mice Parade


少し前に「秋の気配を感じるとサイケを聴きたくなる」というポストをしましたが、その続編で、今回はマイス•パレード。季節の変わり目というのは日々変化に富んでいて、こういうデリケートでも重くはない「かそけき音」に惹かれてしまうのかもしれません。生命感のたぎるくっきりした春とも、境界線が熱で溶けてにじんでいく夏とも違って、寒さの銀線がうっすら見えて来る秋、そして透明に息を凍らせる冬が近づいています。

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Beat of My Own Drum: 85.The Early Years


ちょっと前まで午前5時には明るくなってつい目が覚めてしまったロンドン。日が短くなり、ようやく7時頃に普通に目が覚めるようになりました。日中は暑くても夜には秋の気配が感じられる、こんな時期になるとなぜかサイケやドリーム•ポップを聴きたくなるんですよね。特に今だと、ロバート•ワイアットとかヨ•ラ•テンゴ90年代作品が自分的にはどんぴしゃ。ジョン•マーティンもいい。

そんなことを考えているうち、イギリスのクラウト/サイケ系バンド、ジ•アーリー•イヤーズの新作が来月発売なのを思い出したので、今日はご紹介。00年代デビューのこのバンド、イギリスではベガーズ•バンケットと契約したことで当時のインディ界隈では注目を浴びていた。でも、その後音沙汰がなくなってしまい、いつの間にか解散しちゃったのかな…と思っていたところ、どっこい継続。デビュー•アルバムから10年ぶりのセカンド=その名も「Ⅱ」が登場することになりました。

リリース元はサイケ/シューゲイズ/クラウト/ドリーム•ロックの専門アウトレットとも言えるSonic Cathedral。趣味性が強過ぎなレーベルではあるけれど、そのぶん所属アクトやジャンルに注ぐ愛情と忠誠心は強く、このバンドには良い相性ではないかと思います。

上記に貼ったのは、「Ⅱ」からの予告編として6月に発表されたトラック。アルバム1曲目にもってこい!なグルーヴが盛り上げるのはもちろん、ヴォーカルがかなりエコー&ザ•バニーメンなのも好き者にはたまらないです。アルバムがトータルでどうなるのか、乞うご期待。

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TV round up : The Night Manager


実に久々〜〜ですが、テレビねたのまとめをちょっと続けていこうかと。

きっかけは、偶然に行き当たった日本のある書評ブログを読んでいて、「すごい」と感心したから。この方、ほぼ毎日アップしてるんですよ。でも、あくまで謙遜したスタンス。書き方の妙というか、そうした読みやすさはもちろん大事なんですが、取り上げている書物もほぼ自分の興味にヒットするので読みまくっていたんですが、そのうち、ふと、「自分のブログは、定期的に更新もしてないし、いかんなぁ」と。

そんなわけでちょっと反省して&励まされて、久々のネタとしてテレビを取り上げていこうか、と。もっとも、このしおらしい反省がいつまで続くのかは、自分でも疑問ですけど〜。

さて:第一弾として今回メインで取り上げるのは、BBCの威信をかけた(いや、さすがにそれは大袈裟か…)2016新春豪華ドラマとしてイギリスでは大いに盛り上がったミニ•シリーズ「The Night Manager」。「寒い国から帰ってきたスパイ」他の諜報ミステリおなじみの英大家:ジョン•ル•カレが1993年に発表した同名小説が原作になってます。「ナイト•マネージャー」と言っても、夜のお仕事ではありませんよ。ホテルの、夜間宿直マネージャーのことです。

なるべくスポイラー無しで書くつもりですが、「前知識や先入観は一切無しで、完全ニュートラルな状態で観たい!」という方は、以降の文章は回避いただく方が無難かもしれません。というわけで念のために、警報発しておきます:

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このシリーズは3月のオン•エア開始の約1ヶ月前(早い!)から宣伝が始まっていて、イコール:前あおりも周到。「わーお、ってことは結構気合いの入った『旗艦ドラマ』なんだな」と居住まいを正して待つことにもなった。

何せ、主役は今をときめくトム•〝ロキ〟ヒドルストン。贅沢ですよね。彼のBBC登板というのは、2012年に発表されたシェイクスピアの歴史悲劇サイクル「The Hollow Crown」の一篇で演じたハル王子=ヘンリー五世役以来じゃないか?と思うけど、このシリーズ放映中に最新主演劇場作であるJGバラード原作の映画化「High-Rise」が公開されたタイミングも相まって、英メディアは「プチ•ヒドルストン祭り」とすら言える状況に。いわゆる「ヒドルストーナー」たちの温度も急上昇して、そのムードには数年前のカンバーバッチのブレイクがデジャヴするほどでした。その後テイラー•スウィフトも混じってきて、ますます大変なことになっているわけですが。

<こちらが、シェイクスピア•サイクル作「The Hollow Crown」のクリップ:ナレーションはベン•ウィショーの愛い声。見返しても、キャストの豪華さにはびっくりさせられます。さすがイギリスの国民的劇作家というか>

ヒドルストンの他にもヒュー•ローリー、オリヴィア•コールマン、トム•ホランダーといった実力豊かな人気英アクターが並ぶキャストからも、力が入っているのはみしみし感じた。監督も、「In A Better World」(2010)でアカデミー外国映画賞を受賞したデンマーク人の実力派監督スザンネ•ビアを起用とふるっている。近年の風潮である「映画監督のテレビ進出」、そしてイギリスにおける「根強いスカンジ/ノルディック人気」のクロス例と言えるし、更に付け加えれば映画版「Tinker Tailor Soldier Spy」(2011)でのトーマス•アフルレッドソンに続き、ル•カレ本が再び北欧勢によって映像化されたことになる。

ちなみに:「まだ続くスカンジ人気inイギリス」を思わせるネタで言えば、昨年の「The Bridge:シリーズ3」が大好評だったのはもちろん、①「The Killing」の監督でおなじみのビルヤ•ラールセンが「Murder」というオムニバス形式のBBCシリーズの一話に再び登板/②その「The Killing」を送り出したDR(デンマーク放送協会)産の経済スリラー「Follow The Money」がオンエア/③BBCに後塵を拝してきたITVも遂に北風に屈し(?)。「The Bridge」の作者ハンス•ローセンフェルトにとって初の英語脚本作になる「Marcella」なるドラマを制作。/④これは「スカンジ」とは言いがたいけれど、ご近所=アイスランド産の本格的なミステリ「Trapped」も軽くカルト人気を博していました〜。

この中で観たものでは、②は捜査スリラーでありつつエコロジー産業の陰謀が浮かぶ一種の社会派サスペンスで、野心は買うもののキャラクターがいずれものめりこみにくく磁力が弱いのは残念。かつ、デンマーク•テレビ界の俳優使い回し(?)がさすがに飽きてきた……演技は上手いんだけど、「あれ、この俳優、以前どっかで観たよ?」と妙なポイントが気がかりになってIMDBのウサギ穴に落ち込むことになったり。そのぶん④はストレートな刑事ものミステリで、王道。アイスランド俳優の新鮮さに加え、過酷な風土や近隣国と似て非なる文化のビミョーな違い、過疎地ゆえの警察署/警官のユニークなあり方や魅力的なキャラ造型も含めて楽しめた(とはいっても、「The Killing」ファンにはおなじみな「あの人」が出演してるんですけどね)。

<「Trapped」の英版予告編。予告編なのでやたらドラマチックですが、実際に作品を観ると、もうちょい地味。でも、見続けたくなるサムシングがあるドラマでした>

イギリスの北欧状況から話をドラマ本題に戻しまして:そんなわけで期待は否が応でも高まったし、元英諜報機関員に見込まれ、高級ホテルの夜間マネージャーからエージェントに転じた主人公:元兵士のジョナサン•パイン(トム•ヒドルストン)と、彼の挑む国際規模な兵器売買ビジネスの汚職と政治にまみれたネットワークとの闘い……という骨子のストーリーだけあって、シリーズの始まりからしてエジプトでの群衆シーン、続いてロケ地はスイス、スペイン等々各地をホップしていくゴージャスさ。撮影も実に美しくてワイド•アングル多数なカメラ•ワークも映画的、全編にわたって見応えは充分でした。

ジョナサン•パインの標的になる冷酷無比な兵器ディーラー:リチャード〝ディッキー〟•ローパー(ヒュー•ローリー)は言うまでもなく大金持ちなので、ドラマの背景もホテルのVIPスィートだの個人所有の小島&ヨット&大邸宅なんかが多く、高そうなビスポークのスーツや腕時計、シャンペンをあおる若いモデル系の愛人だのもふんだんに出て来る。そのブリングでコスモポリタンでカラフルな世界におとり捜査員として潜入し、違法な兵器取引の複雑なからくりとディッキー•ローパーの尻尾を捕まえようとるすジョナサン•パインがいる一方で、彼を操る「人形師」として元MI6職員:アンジェラ•バー(オリヴィア•コールマン)が配置されているんだけど、彼女の主な登場場面であるロンドンのしょぼさと灰色な空気はなんとも対照的だった。

その「しょぼいロンドン」で思い当たったのだが:実はここしばらく、BBCは結構頻繁にスパイ•ドラマを送り出してきたのだった。1970年代/冷戦を舞台に、ル•カレ×レン•デイトン的な世界観を作り出そうとした「The Game」(主役のトム•ヒューズはバーバリーのモデルみたいなイケメンなんだけど、このシリアス過ぎる「全身苦悩のスパイ」役には、ちょっと綺麗過ぎた。彼は実はコメディも達者なので、そっち方面での活躍を希望)。現代におけるシークレット•サーヴィスと陰謀を描いた(タイトルもそのものずばりな)「London Spy」(ベン•ウィショーが主演ってことで非常に嬉しかったんだけど、いかんせんラヴ•ストーリーとスリラーのふたつを欲張りすぎた結果、どちらも半端かつ破綻した内容になっていてほんと、ガックリ…クラーク•ピータースやシャーロット•ランプリングといった贅沢なキャスト、どちらも「使い損ね」のまま終わってた。何より、ドラマの核になる「秘密」がちっとも面白くない。駄作っす)。ライトな「午後の紅茶」調コメディなので少々毛色は違うものの、スパイもののバリエーションと言えるアガサ•クリスティーの「トミーとタッペンスもの」を元にした「Partners in Crime」も、このスペクトラムに含めていいだろう。

とはいえ:上記の3作は、なんだかんだ言っても「ビッグ•ベンにテムズ川、赤いダブル•デッカー」調な「絵葉書のロンドン(ノスタルジックなイギリス)」を基調に据えていたわけだが、対するこの「The Night Manager」は、スケールにしろプロダクションにしろ(テレビにしては)野心的かつ無国籍で、その意味でなかなか新鮮だった。

これに近い印象は2014年発表のミニ•シリーズ「The Honourable Woman」という興味深い作品(中東問題が核にある)を観た時にも抱いたものだけれど、両作に通じるのは「ドメスティックな観点ではなく、政治•経済といった世界全体の構図の中で現在のイギリスがどういう地位を占め、どんな役割を果たしているのか?」という俯瞰の視点の存在、だろう。もちろんしょせんはフィクション/ドラマ作品なので根本的に絵空事であり、「The Night Manager」の原作が90年代発表であることを考えても、コンテンポラリーとは言いがたい。が、どうしても時代がかったイメージがクリシェ(ある種の安心できるチャーム)として付きまとう「英国スパイもの」を現代にアップデートしよう、という心意気はうかがえる。

しかし、全6話から成るシリーズがエピソードを重ねていくうち、こうした自分の見方がややズレていることにも気づいた――というのも、ネット他での反応や評判をチェックしていたところ、イギリス人たちはどうも「The Night Manager」を「週末の終わり/日曜の晩を飾る、お酒を飲みながらリラックスして観る娯楽作」的に割り切って捉えているフシがあるのだ。不正兵器売買、汚職、秘密捜査…といった具合に入り組んだモチーフや人間関係のテンションを真剣に観ていた自分としては「えー、そうなの? そうなんだ?? そうかぁ???」と反応せずにいられなかったんだけど、次第に彼らの視点にあって、自分に欠けているものが何かが分かっていった。何かと言えば――


:

ボンド。

それに気づいたとき、「The Night Manager」に対して自分が抱える「スッキリしない感」に説明がついた気がしたし、かつ、現時点での作品評価がほぼ軒並み高くバズってもいるドラマになぜかノリ切れない自分の「少数派の寂しさ」も、少しは紛れました。いやー、元来へそ曲がりな「悪しき天の邪鬼」人間なのは重々承知してはいるんですけど、主流トレンドにピンと来なくて一緒に盛り上がれないのって、やっぱちょっぴり孤独な気分になるものですよね。

「ボンド映画/007シリーズ」というのは、自分にとって盲点だったりする。有名な作品はそこそこ観ているはずだし(主にショーン•コネリー時代)、最新版ボンド=ダニエル•クレイグ作もほぼフォローしている――んだけど、この人気長寿フランチャイズのいわゆる「大ファン」だったことはない。これはおそらく、自分のボンド体験のタイミングの悪さのせいもあったのだろう。

子供時代に親に連れられて映画館/あるいはテレビで観た頃は、毛深くてやたらギラギラした印象のショーン•コネリーはもちろんグラマーな美女との絡みがトゥーマッチ!だったし(「ルパン三世」や「ナポレオン•ソロ」がオッケーだったのは、エッチでも基本はコメディだったからか?)、思春期の頃にはSFの方が面白く思えてノータッチ。90年代の60年代リヴァイヴァル傾向/ブリットポップの影響で「スパイもの」を再確認した時も、肝心なボンドを迂回して「Austin Powers」や「Modesty Blaise」、「The Avengers」(マーヴェルではなく、ダイアナ•リグのあれです)のキッチュさ、あるいは「The Ipcress File」等のハリー•パーマーものに向かってしまったのだ。まあ、昔のボンドだって、今観ればものすごーくキャンプ!なんですけどね。

<「オースティン•パワーズ」予告編。マイク•マイヤーズの〝ざーとらしい〟英国アクセントに苦笑してしまいますな>

<「モデスティー•ブレイズ」予告編。いやー、モニカ•ビッティもテレンス•スタンプも、きれいで可愛くて最高ですね。テーマ音楽もいかにもスウィンギンな60年代。しかしこの映画で素晴らしいのはダーク•ボガードだ!>

<あーこれまた最高!な「The Avengers」のタイトル•ロール。ダイアナ•リグは「Game of Thrones」でも活躍と、いまだに素晴らしい>

<マイケル•ケインの出世作のひとつ、「The Ipcress File」の予告編。モノクロ映画だとばかり、なぜか思い込んでいたけど、カラーだったか……スーパーマーケットの場面が好き&グレアム•コクソンの眼鏡もこのハリー•パーマーに影響されてます。サントラはジョン•バリーと、これまたツボ>

00年代になってボンド人気がリブートされた…という現況もあるとはいえ、イギリスにいるとジェームズ•ボンドはやっぱりビッグな「アイコン」であることを強く感じる。ボンド•マニアが多いのはもちろん、お酒の場の雑談でも「ボンド俳優は誰がベストか」、「好きなボンド作品を5つ選べ」、「主題歌はどれが最高か」等々の暇つぶし談義が普通に出て来る。「Come, come, Mr. Bond!」みたいな有名な台詞/決まり文句がジョークに使われたりと、「007」のコードは英大衆カルチャーの生地にしっかり編み込まれているわけです。

「ボンド慣れ」したイギリス人たちにははっきりと観えていたのに、ボンドが盲点な自分には、「The Night Manager」のエンタメとしての側面をウォッチする目線がボロっと抜け落ちていたことになる。先述した「地中海から砂漠まで世界各国を転々とする豪華なロケ地」、「キャラの立った悪役/国際規模の犯罪」、「危険な美女」といった要素は、いずれもボンド映画の定番。ここにハイテクな秘密兵器を加えれば、スーパー•スパイのいっちょあがり、と言える。MI6&CIAが絡むのもそれっぽいし、このドラマ化では原作と設定を変更し、隠密な潜入捜査を仕掛けるエージェント/操り師が男性ではなくアンジェラ•バーと女性になっているのも、ジュディ•デンチの「M」を思わせる。ついでに言えばタイトル•ロールの雰囲気も、「ボンドを狙っているだろう」と指摘されれば、なるほど確かにそう見えてくる。自分、反応が鈍過ぎ。

そんなわけで、イギリスにおけるこの作品の評には「〝The Night Manager〟はトム•ヒドルストンのボンド役オーディションを兼ねているのかも?」なる憶測も混じっていった。ダニエル•クレイグ降板の気配が濃いだけに、「次代ボンドは誰か」という話題はメディアのプロモ効果も抜群。かつ、本ドラマではヒドルストンもびっくりするくらいに身体を鍛えてシャープさを増していて、これまでの線が細めの知性派/アート/文学系イメージを脱皮してみせたのは確かに立派ではあった。ソーもうかうかしていられません。にしても、ほぼ毎エピソードでトムの「特にストーリー的には必要と思えない」ヌード場面が登場するのは、やはりファン•サーヴィスの一種なのだろうか?

そうして改めて考えてみると、なるほどこれはテレビにおける「ボンドもの」への挑戦だったのかも……と思えてくる。「Sherlock」もどんどんボンド味が増しているけれど(これは脚本も兼ねているマーク•ゲイティスのボンド•フリークぶりも影響大。「The Abominable Bride」は彼のホラー映画好きが爆発した変化球/番外編だったけど、次シリーズはどうなるのかな〜)、カンバーバッチにしろヒドルストンにしろ、「イギリス俳優にとっての勲章」な映画キャラと言えばいまだにボンドと相場が決まっているようだ。アメリカだと、スーパーマンとかバットマンがこれに当たるのだろうな。

と同時に、どうしても抵抗感を拭えなかったストーリーの穴やキャラ造型の物足りなさ、キャスティングに対する疑問等々、このドラマに対して抱いた細かいケチの数々もまた、「なーんだ、気にしなくていいんじゃん!」という大らかな気にもなってくる。要は深く考えずに、ヒドルストンの逞しい色男ぶりとキザな演技、美しい風景の数々、アクションのセット•ピース、ポリティカルからセクシャルまで多岐にわたるサスペンス/心理戦を楽しめばいいでしょうね。

そうは書きつつ、自分が感じた一種の「物足りなさ」の要因もまた、そこにあったのではないか?と思っている。原作者のジョン•ル•カレは、実際にかつてMI6所属〜外交官だった経歴を活かした濃厚で緻密な著作で知られる…なーんて、知ったように書いていますけど、実は彼の本は1、2冊しか読んだことがない。それでも、おそらく彼の代表作とされる70年代の「スマイリー三部作」の主人公:ジョージ•スマイリーが「ボンド映画に象徴されるグラマラスな〝スパイ〟のイメージに対するアンチテーゼ(=リアリスティックな〝政府仕えの公僕〟としての諜報員/諜報活動)」として創作されたキャラであることは、割と広く知られている話だろう。

その意味で――もちろん、90年代に発表された「The Night Manager」が、ソビエトとアメリカに挟まれたイギリスにおける冷戦をテーマにした70年代作品とはそもそもトーンが異なるのは理解しているのだが――「ル•カレ作のキャラをモダンにボンド化した」とでもいうべき「The Night Manager」のドラマとしてのデザインは、自分にはちいっと居心地が悪い。もっとも、ル•カレ本人はこのドラマ化を高く評価しキャスティングも誉めているそうで、カメオ出演までしている=ノっているという点は付け加えておく方がフェアだろう。そもそも「The Night Manager」という本が、彼のそれまでの作風やイメージを覆すものでもあったのだろうし。

ただ、グラマラスさや映像美を重視したためにかえって筋の穴が目につくことになったし、「それでも構わない、目をつぶる」と思わせるだけ共感できるキャラクター、いわばこのお話の伴走者を自分は最後まで見つけられなかった。彼らの相関関係や複雑なパワー•バランス、タイムラインも圧縮されていて、「なんでこのキャラはこう行動する?」「ここでこういう反応はないだろう」「この面をもうちょっと前もって提示しておけば、いざとなった場面でカタルシスがあるのに〜」等々、実はさりげない積み重ねが大事なこういうお話では痛い疑問ややきもきが浮かんでしまう。

いわゆる「至れり尽くせり」でいちいち説明的なのも苦手とはいえ、このドラマはどうも、「もうこのポイントは、あなたも押さえましたね? じゃあレッツゴー!」的に、キャラの大雑把な輪郭だけ提示して、観る側にその内面を埋めてもらう感じ。書き込まれていないぶん、キャラの動きが予測にしにくなる、という「意外な面白さ」はあるかもしれない。しかしこの作品は割とオーソドックスな行動原理に沿っていくので、小さな疑問や納得できない点が解消されないまま、スリルを畳み掛けることで筋を引っ張っていき、あれよあれよと大団円に向かう…という印象を抱いた。どんなに些細なことでも、チリも積もれば山となる=未消化感に繫がる。中でもいちばん「え〜?」と感じたのは、エンディング。ネタバレになるので詳細は書きませんが、「これはないだろう…」と思ってしまいました。原作の結末とも違うんだそうです。

このドラマはあくまで「翻案」であり、変更は結末以外にも各所で加えられている。なので変更自体を問題視するわけではない。ただ、どうしてこういう結末になったのか?と考えてみるに、色々理由はあるんだろうけど、ひとつにこの作品が「対外仕様」との前提のもとに制作されたから…というのが大きいのではという気がした。このドラマはアメリカにももちろん輸出されたし(日本でも――もう観れるのかな? DVDくらいは出ていてもおかしくないだろう)、ヒュー•ローリーが起用されたのも、アメリカでは「House」でおなじみな彼の方がネーム•ヴァリューがあったからじゃないの?なんて邪推まで浮かんだ。いや、ヒュー•ローリーは「喜劇系」という長年のステレオタイプを挽回すべくがんばってはいた。が、このレベルの「悪役」なら他の英俳優だって演れただろうなと思ったし、本作で求められていたはずの「ものすごくおっかない、ソシオパス型の悪役」像に達していなかったのも自分は不服。悪役が印象的で良ければ良いほど、主人公も光るわけですし。

今みたいにネットTVやストリームが一般化して世界各地のタイムラグが狭まる一方の状況で、英テレビもこうした「グローバルなアピール」を持つプロダクションに力を注ぐのは当然の話。その中でもたぶん、一番分かりやすい英国味というのは、やっぱり「王室/貴族/コスチューム•ドラマ」と「ボンド/スパイ」なのだと思う。リオが終わって今や遠い過去…な印象の2012ロンドン•オリンピック開会式でも、クィーンとボンドは出てましたし。そこを否定するつもりはないにせよ、超人アクションと荒唐無稽なストーリーが基本のボンドの世界観と、リアリティを重視した諜報活動のフィールドワークとしての側面や複雑な社会情勢までを融合するのは、やはりなかなか難しいな、と。

その意味で、同じくル•カレ原作で同じくBBCが制作したドラマ「Smiley’s People」を観返して興味深かった。1982年発表のこの作品も、「Star Wars」のオビ•ワン役で当時に返り咲いていた名優アレック•ギネスという「看板」を前面に押し出したプロダクションだった、と言える(この前=1979年にテレビ版「Tinker Tailor Soldier Spy」も制作された)。そんなわけで、もっとも大きな英語圏国=アメリカへの輸出はある程度想定されていた作品なんだろうけど、ばりばりにイギリス調が貫かれている。暗く、地味で、鬱屈したキャラばっか。海外ロケにしてもパリ、ドイツ、スイス撮影なので、全体的に画面が寒々しいことこの上ない。もちろん今の自分には知る由もないのだが、「70〜80年代イギリスのイメージってこんなもんだったんだろうなぁ」と。

しかし「語らずに見せる」のじっくり演出と相まって、役者の演技の奥行きと厚み、徐々に繫がっていくプロットや伏線の上手さにはうならされる。スパイものとはいえ派手なアクション場面は少なく、そうした場面もむしろ「秘密工作」というノリだったりする。そのぶん逆に「人はこうやって消されるのか」「プロの手にあかると、誰にも気づかれずに誘拐できちゃうんだ」と怖くなるし、サスペンスフルでもあったり。見方によっては「展開が遅くて退屈」な時代がかった作品かもしれないけど、「The Night Manager」が「1回観れば充分、納得できる」な喉ごしのいい作品であるのに対して、「Smiley’s People」は何かが引っかかって見返したくなる。ミステリ部を消化した上で、キャラクター部を味わいたくてリピート鑑賞してしまう。自分はもうこれ、3回くらいは通しで観ています。

<「スマイリーズ•ピープル」の、ブルーレイ向けトレイラー。古臭いですよね。でも、観るとうなるはず>

アクションのすごさやテンポの良さを楽しみ、テクノロジーやゴージャスさの夢を満たすという意味では、ボンドはもちろんボーンもの、「Mission:Impossible」に、やはりテレビはかなわない。そこらへんも吸収した上でちゃっかりパロってみせた「Kingsman」や「Spy」といった軽快な作品もヒットしてしまった以上、だったらいっそ、他と張り合って「新たなハリウッド型のスーパー•ヒーローなスパイ」を生み出そうとするよりも、イギリスにしか出せない味を追求するのもいいんじゃないかなぁ、と。「それだと売れないんだよ!」と言われたら、それまでですけど。

ちなみに、テレビ版「Smiley’s People」を観返しているうちに、「Tinker Tailor…」のテレビ版も観たくなったのでトライしてみた。この作品に関しては、映画版「Tinker Tailor…」の方に、自分は軍配を上げる。もともと分かりにくい「二重スパイ摘発」のお話、しかも特殊な職場で隠語も飛び交う諜報局が舞台なだけに複雑なんだけど、時代色や情感といったディテールは映像で感覚的に伝えつつ、主要キャラのエモーショナルな場面は怒り•悲しみ•愛情他が、現代人である観る側にも身にしみてくるように(でもあざとくない程度にブーストされて)作られている。エコノミカルだけど、すごく効果的なのだ。

監督のトーマス•アルフレッドソンは、ジョー•ネスボ原作の「The Snowman」映画化で忙しいらしい。こちらはマイケル•ファスベンダー主演なので、それはそれで楽しみ〜〜〜なんだけど、ぜひギャリー•オールドマンを筆頭とする主要キャストをそのまま移行して、続く「The Honourable Schoolboy」、そして「Smiley’s People」のスマイリー/カーラ三部作を映画化してもらいたいなぁ。Brexitで難しいとか、そういうのは無いよね? あと、「裏切りのサーカス」という邦題は、やっぱ微妙だと思う…「サーカス団の話かいな?」と誤解されても、おかしくない。ポプラ社少年探偵団的なイメージが浮かんでしまうのが、自分は良くないだけの話かもしれないけど。

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お知らせ:Bonnie Prince Billy&Bitchin Bajas 日本ツアー


<ウィルのドライなユーモアがにじむ歌声とサイケデリックなバッキング。枯れたヴェルヴェット•アンダーグラウンドとでも言うべきナイスなトラックです>

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スウィート•ドリームス•プレスさんより、嬉しいお知らせが届きました。来る10月、ボニー•〝プリンス〟ビリーことウィル•オールダムが12年ぶり(!)に来日ツアーを行います。公演日程/会場等のインフォを以下に。詳しくはスウィート•ドリームスさんのこちらのサイトもご確認ください〜

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Bonnie ‘Prince’ Billy & Bitchin Bajas Japan Tour 2016
ボニー・プリンス・ビリー&ビッチン・バハス ジャパン・ツアー 2016

10月26日(水)京都 アバンギルド(075-212-112 5)
京都府京都市中京区木屋町三条下ル ニュー京都ビル3階
出演:ボニー・プリンス・ビリー、ビッチン・バハス、風の又サニ ー
開場 6:30pm/開演 7:30pm
料金 4,500円(予約)/5,000円(当日)*ドリンク代 別
予約:会場(詳細ページ)

10月27日(木)金沢 アートグミ(076-225-7780 )
石川県金沢市青草町88 北國銀行武蔵ヶ辻支店3階
出演:ボニー・プリンス・ビリー&ビッチン・バハス、ASUNA quintet(ASUNA+宇津弘基+黒田誠二郎+ショーキー +加藤りま)
出店:喫茶ゆすらご
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 3,500円(予約)/4,000円(当日)/2,500 円(学割)
*学割:学生証など証明となるものをご持参ください。
予約:ao to ao(詳細ページ|windowofacloudyday@gm ail.com)

10月28日(金)名古屋 KDハポン(070-5257-13 24)
愛知県名古屋市中区千代田5-12-7
出演:ボニー・プリンス・ビリー、ビッチン・バハス、Gofis hトリオ(テライショウタ+黒田誠二郎+稲田誠)
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 4,500円(予約)/5,000円(当日)/3,500 円(学割)*ドリンク代別
*学割:学生証など証明となるものをご持参ください。
予約:会場(詳細ページ)

10月29日(土)東京 O-Nest(03-3462-442 0)
東京都渋谷区円山町2-3 O-Westビル6階
出演:ボニー・プリンス・ビリー、ビッチン・バハス、井手健介と 母船(墓場戯太郎+清岡秀哉+石坂智子+山本紗織+羽賀和貴+岸 田佳也)
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 5,000円(予約)/5,500円(当日)*ドリンク代 別
チケット:会場、チケットぴあ(Pコード:307-809)、ロ ーチケHMV(Lコード:77670)、e+

10月30日(日)東京 7th FLOOR(03-3462- 4466)
東京都渋谷区円山町2-3 O-Westビル7階
出演:ボニー・プリンス・ビリー&ビッチン・バハス、ダスティン ・ウォング
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 5,000円(予約)/5,500円(当日)*ドリンク代 別
チケット:会場(店頭販売/電話予約)、e+ *会場/プレイガイドとも、チケットの発売は8月24日からとな ります。

*チケットの発売は、東京7th FLOOR公演を除いて、8月22日(月)からとなります。あら かじめご了承ください。

企画・制作:スウィート・ドリームス・プレス
協力:株式会社ディスクユニオン、株式会社Pヴァイン、ao to ao(金沢)
招聘:OURWORKS 合同会社

ボニー・プリンス・ビリー(Bonnie ‘Prince’ Billy):1993年にパレス・ブラザーズ名義のシングル「 Ohio River Boat Song」(ドラッグ・シティ)でデビューした米ケンタッキー州 ルイヴィル出身のシンガー・ソングライター。パレス・ ブラザーズ、パレス・ソングス、パレス、パレス・ミュージック、 本名のウィル・オールダムと作品ごとに名義を使い分けてどこかミ ステリアスな存在として登場したが、1998年からはボニー・ プリンス・ビリーとしてネーミングを(ほぼ)統一、 これまでに編集盤/共作盤を含めて30枚以上のアルバムをリリー スしている。ビョークの全米ツアーのオープニングに起用され、 ジョニー・キャッシュやマリアンヌ・ フェイスフルら彼の曲をカバーする者、ボビー・ギレスピー( プライマル・スクリーム)、スチュワート・ブレイスウェイト( モグワイ)など彼に賞賛を送る者は枚挙にいとまがない。今やアメ リカを代表するアーティストのひとりである。
 また、十代より俳優としても活動し、ジョン・セイルズの『メイト ワン1920』(1987年)等に出演、ケリー・ライヒャルトの 『Old Joy』(2006年)では主役を演じ、カニエ・ウエストのビデ オ・クリップ「Can’t Tell Me Nothing」にも客演している。 最新アルバムはシカゴの3人組ビッチン・バハスとの共作盤『Ep ic Jammers and Fortunate Little Ditties』(ドラッグ・シティ/ディスクユニオン)、20 16年10月に12年ぶりに来日する。

ビッチン・バハス(Bitchin Bajas): 2006年からシカゴで活動を始めたクラウト・ ロック/サイケデリック・バンド、ケイヴのギター奏者、クーパー ・クレインのソロ・プロジェクトとして2010年にスタートした アンビエント/スペース・ロック・ユニット。その後、マージャン (Mahjongg)のダン・クイリヴァンと同じくケイヴからロ ブ・フライが参加してトリオ編成に。2013年のアルバム『Bi tchitronics』からドラッグ・シティに移り、 ナチュラル・インフォメーション・ソサエティとの『Automa ginary』や、映像作家オリヴィア・ワイアットとの『Sai ling a Sinking Sea』、ボニー・プリンス・ビリーとの『Epic Jammers and Fortunate Little Ditties』含め、計5枚のアルバムをリリースしている。

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Beat of My Own Drum: 84.Little Feat


今日はここのところの愛聴盤:リトル•フィートの「Feats Don’t Fail Me Now」から、こちらの1曲。

リトル•フィートと言えば、ニューオーリンズのソウルにR&B、カントリーなどが混じった南部色の濃いグループとして有名。若い頃にチェックした「ロック定番作品選」みたいなリストでも、「Sailin’ Shoes」あるいは「Dixie Chicken」が含まれていた記憶がある。だったら聴かなくてはいけないだろうな…と、まあ、若者らしい律儀さでトライしたものの、当時ははっきり言ってその良さがよく分からなかった。ので、かなり長いこと「未処理箱/今後の宿題」に放置していたわけです。

それに近い個人的なケースとしては、ザ•バンドやキャプテン•ビーフハート体験もある。これまたオーソドックスな「聴いておくべきアルバム」みたいなリストだと、ザ•バンドは「Music From Big Pink」、キャプテン•ヒーフハートなら「Trout Mask Replica」が選ばれているケースが多いと思うんだけど、どちらも敷居が高過ぎて、最初にこれらの作品から挑戦したのはある意味自分には失敗(笑)。今はまあ、ある程度ロック•ヒストリーも理解している(つもりな)ので、これら2枚のもたらした当時における意義やユニークさ、コンテクストは飲み込めている。どうしてこの2枚が彼らの代表作として選ばれるのかも、承知の助。ところがそういった前知識なしに聴いたために、思いっきりクラッシュ&バーン→→「いやー、自分には無理だわ」とばかり火傷した手を引っ込めることになった。

その後、ザ•バンドは「The Band」、キャプテン•ビーフハートは「Clear Spot」を聴いて、途端に目からウロコが落ちた/すっかりハマった。最初にどの作品を聴くかは、やっぱ大切ですね。もちろん、いわゆる「名作」を聴いて即座に感動するケースもあるとはいえ、アクトによっては一般的な評価をいったん脇において、違うルートから再トライするのもアリなのだろう。

リトル•フィートに関して言えば、自分にとって「ああ、そういうことか!」と合点がいったのはこのアルバムを聴いた時だった。たまたま知人が流していて、何も知らないまま「いいアルバムだな〜」と感じ、ジャケットを見せてもらっても一瞬どのバンドか分からなかったくらい(ネオン•パークの手がけたリトル•フィートのカヴァーでも、おそらくこちらは先述の「Sailin’〜」や「Dixie〜」ほど有名ではないだろう。「紫の峡谷?」と、ライ•クーダー作品と勘違いしてしまった)=構えずに聴いてピン!と来た、というシチュエーションも良かったのかもしれない。ともあれ、これからもうちょっとリトル•フィートを探っていきたいな〜、と思っている次第。

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R.I.P.Alan Vega(Suicide)


またも鬼籍入りの話で、なんとも切ないですが……スーサイドのアラン•ヴェガが亡くなったそうです。

ヴェルヴェッツ、ストゥージズに次ぐ「オリジナル」にして、アメリカという名の美しい悪夢の語り手でもあったユニークな声が、またひとつ消えたことになります。合掌。というわけで、聴いていて寒気に襲われる怖さという意味ではスロッビング•グリッスルかスーサイドか?と思わずにいられない、このすさまじく極北なトラックを。

真骨頂。何度聴いてもゾッとするけれど、ホラー映画を怖くても観てしまうのと同様、最後まで聴かずにいられない。フランキーという若者の狂気を描いたこの曲ですが、最後の「We are all Frankies/We are all lying in hell(俺たちは誰もがフランキー/俺たちはみんな地獄にいる)」の歌詞は、予見的とすら。

しかしブルース•スプリングスティーンがカヴァーしたことでも知られる「Dream Baby Dream」を始め、スーサイドは甘すぎてヤバい、陶酔感あふれる楽曲も魅力。これまたファースト•アルバムから。

スペースメン3ではありません(念のため)

スーサイドと言えば1枚目の衝撃がすごかったわけだけど、以降の作品(ヴェガ、レヴのソロも含む)にも興味深い楽曲は色々とある。その中でも、大好きなこの曲で締めくくります。

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Beat of My Own Drum: 83.Alan Hull


あれまー、前ポストから1ヶ月近く経過しているのに気づきました。お世辞にも「ブログ」とは言いがたくなっているわけですが、ここしばらく、自分的にテンションの上がる面白い仕事(原稿、通訳&翻訳)が偶然にもいくつか続いておりまして、アップロードもすっかり放置状態。基本的に趣味でやっているブログなので、マジに気が向かないとどうにもキーボードを叩く意志が長続きしない……というのも、もちろんありますが。

そんなわけで映画やテレビ鑑賞からもずいぶん離れることにもなっていて、寂しいです。これはまあ、毎週釘付けでガチンコに集中しながら観ていた「Game of Thrones」最新シーズンが終幕したことでやや脱力したっていう恒例の心理(4月から6月にかけては、ここ数年ずっとこんな調子)も重なっているだろうけど、そんなことを言っているうちに「True Detective」、「Better Call Saul」以来もっともハマった米産ドラマ=「Mr.Robot」の第2シーズンも始まってしまい、お気に入り俳優のリズ•アーメド主演が話題のHBOの新シリーズ「The Night Of」、ジョゼフ•コンラッドの「The Secret Agent」(「密偵」)を原作にした(これまたお気に入り)トビー•ジョーンズ&ヴィッキーマクルーアが出演するBBC同名ドラマもスタート……という状態。キャッチアップに大忙しになりそうっす。

そんな中でも、息抜きとして映画はちょこっと観ていた。息抜きとしての映画鑑賞は、やっぱりおなじみの映画=筋も運びもセリフも知っていてリラックスして観れる映画-――ここしばらくだとウィル•ファレル&マーク•ウォールバーグ「The Other Guys」、メリッサ•マッカーシー「Spy」、「The Magic Christian」、クリストファー•ノーランやデル•トロ映画といった「マイ定番」をシャッフルーーがメインになりますが、新しめの映画にもちょこちょこチャレンジ。その中では、アメリカ開拓時代の「魔女迷信」をユニークな視点で描いた「The Witch」、パンク•バンドをやってるキッズが悲惨な運命に直面する「Green Room」の2本は印象に残りました。どっちも「ホラー」ジャンルに属するけれど、イギリスのベン•ウィートリーにも通じる感性がアメリカでも同時に芽生えているのかな〜と思うと、興味深い。っていうか、「High-Rise」もまだ観てないやん……ダメ自分。

ともあれ:なにやかやと燻っているポップ•カルチャー•ライフの中で、配線が混雑していて疲れた時はこの曲を聴きながらダーッと寝転がり、ストレスを頭から追いやって眠りに就くのは幸福な一瞬です。リンディスファーンでおなじみ、アラン•ハルの素晴らしいソロ作「The Squire」(1975年)収録。おやすみなさーい。

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